Macau / Hong Kong 2014 Vol.3|Jockys Club Innovation Tower / The Run Run Shaw Creative Media Centre

 

二日目の午前中は、デコンストラクティビズム(脱構築主義)二連発でザハ・ハディット(Zaha Hadid)設計で昨年竣工した香港理工大学ジョッキー・クラブ・イノベーション・タワーとダニエル・リベスキンド(Daniel Libeskind)設計の香港城市大学メディアセンターを見学してきました。 デコンストラクティビズム(脱構築主義)とは現代建築の様式の一つで、伝統的な建築の形状に頼らず非常にアンバランスな形状を常態化させた所に特徴があります。このような刺激的な形状は、社会やその土地の歴史に対して意義のない、単なる形態の実験に過ぎないと言った批判が度々湧き出ており、日本でもザハ・ハディット設計の国立競技場の立て替えが物議をかもしていますね。

 

 ザハ・ハディット(Zaha Hadid)が手掛けた、香港理工大学ジョッキー・クラブ・イノベーション・タワーは昨年竣工・今年の春にグランドオープンした、15階建ての施設。デザインスタジオ、研究室、ワークショップ、講演会、セミナースペース、教室や展示エリアを備えています。純粋な大学の施設ですが、香港の競馬協会が資金提供した施設なのでこの名がついているようです。グランドオープンしたのは今年の三月ですが、グランド面は絶賛工事中でした。笑 このタワーは、大学の施設と言う事もあって比較的自由に見学する事が出来るのですが、僕らは外側から敷地外を回り込み→その後内部を見学。 外観の形状は見ての通りレイヤードな形状でどこから見てもボリュームが異なります。このレイヤーの部分は、庇の機能も担っておりデザインコンセプト一辺倒な建築ではありません。紅磡站からほど近い香港理工大学の敷地内と言う事もあり、周辺の環境が建築の密度が比較的に低い、恵まれたエリアに計画されています。この事も関係していると思いますが、比較的こじんまりとした建築物と言う事もあり、最近計画されたザハ・ハディット設計の建築物と比較してもスケール感もそれほど違和感が無く、大学の学術施設であると言う事を考慮しても、良く纏まった建築だと思います。

 


インテリアについても、外観の形状をそのまま引き継いだようなシームレスな設えが展開されていて、見る人を引きつけます。ヴォイドの抜け、導線方向からの視線の流れがあり、恣意的な意図がうかがえます。ディティールがもう少し納まっていたらもっと良かったのと、そのディティールからインテリアが破綻している箇所があり、その辺が少し残念でした。デコンストラクションのディティールを求めるのが無理な事なのかもしれませんけど、今年3月に出来上がった割には、内外観共に汚れが目立ち、仕上げに対する対汚性能の検討がもう少しなされていれば良かったなと、個人的に思いました。建築は長く使う都市の資産ですし、ザハが手掛けた最新作。世界中からこの建築を観に来る訳ですからね。

 

ダニエル・リベスキンド(Daniel Libeskind)が手掛けた香港城市大学メディアセンターThe Run Run Shaw Creative Media Centreは、 研究所と劇場、コンピューター工学とメディア技術の教室を配した中核施設。施設そのもののサイズは、ザハの手掛けた香港理工大学ジョッキー・クラブ・イノベーション・タワーよりも小規模で、香港の繁華街旺角よりもさらに北の九龍糖にあります。こちらも文教エリアの外れにあるので、低密度で緑の広がる好立地に位置しています。「ラフカットダイアモンド」と呼ばれる結晶に見立てた外観デザインになっていおり、構造梁、窓、ドアや天井のホリゾントパターンはラインで繋がっており。すべて形状が結晶に結びついてきます。 ザハとは対照的で、先鋭的なラインとボリュームが連なりから形成されていて、膨大なスタディを行わないと導けない形状です。色々な角度で表情を変える建築ですが、香港理工大学のキャンバス側から上がってきたビューが最もこの建築を美しく魅せます。

インテリアに関しては、ザハよりもコンサバティブに纏まっており、学生が研究開発する為のコラボレーションルームに多くの面積を割いていたのが印象的でした。空間のボリュームが建築のサイズに対して大きく取られていた事にもよりますが、ボイドの抜け感やシーケンスな見え方は破綻が無く、視線やアクティビティを誘います。細かい検討もよくなされていたんでしょうね。ディティールも良く(施工精度からくる残念な面が残るにせよ)全体として使うのが楽しい空間になっています。

現在の建築界の一派閥を形成してるデコンストラクティビズムですが、今回香港で見学した二つのケースでは、建築のボリュームがオーバースケールしていない、身体感覚的にそれほど無理の無いサイズで納まっている事と、大学の付属施設の建築であるという敷地与件的に恵まれた環境にある事、モニュメンタルな建築計画を要請した大学側の意図が明解な(国立競技場のようなヒューマンスケールを超えた感覚にならない)事もあって、個人的にはこれこれでありかなと。要請する側のリクエストにも拠りますが、デコンストラクティビズムは周辺環境にゆとりのある、低密度の環境下でないと周辺生活者の理解を得るのが難しいのかもしれませんね。。

 

 

Macau & HongKong 2014 Reported by Futoshi Hirasawa

Hong Kong 2014 Vol.1|九龍香格里拉酒店(Shangri-La Hotel Kowloon)
Hong Kong 2014 Vol.2|尖沙咀 (Tsim Sha Tsui)〜油麻地 (Yau Ma Tei)〜Peninsula HK
Hong Kong 2014 Vol.3|Innovation Tower/The Run Run Shaw Creative Media Centre
Hong Kong 2014 Vol.4|朗豪坊(Langham Place)〜力寶中心(Rippo Center)
Hong Kong 2014 Vol.5|PMQ元創方 Complex〜文武廟〜中環至半山自動扶梯
Macau 2014 Vol.6|Macau World Heritage.1
Macau 2014 Vol.7|Macau World Heritage.2
Macau 2014 Vol.8|Macau World Heritage.3
Macau / Hong Kong 2014  Vol.9|好吃的吃飯(A delicious meal)