ザハ・ハディド

Designcafe™ の主宰者、平澤太のブログです。デザイン考、ライフワーク、インサイト、旅行などを不定期に綴っています。

Madrid_2018_Vol.09|Hotel Silken Puerta America

建築家、デザイナーの競演。ホテル シルケン プエルタ アメリカ。

マドリッドでの楽しみにしていた一つがこの「ホテル・シルケン・プエルタ・アメリカ(Hotel Silken Puerta America)」。場所的には中心地の中でもやや外れにありますが、メトロが充実しているマドリッドではあまり気にならないロケーション。ロケーション以上に、各エリアごとに異なるデザイナーを起用して競演しているその設えとファシリティーが最大の魅力です。ジョン・ポウソンが担当したレセプション&ロビー、クリスチャン・リアグレが担当したレストラン、実質2Fの1stフロアー全体と客室を手がけたザハ・ハディドなど他もノーマン・フォスター、ジャン・ヌーベル、ロン・アラッド、磯崎新、デイビッド・チッパーフィールド、マーク・ニューソンなど錚々たるメンバーが客室やパブリックスペースをデザインしています。建築実施設計とデザインマネージメントは、スペイン人のフェリペサエス・デゴルドア(SGAエステュディオ)が担当しています。多様性、価値観の解釈を自由に表現するため、各建築家やデザイナーに自由な裁量が与えられてデザインしておりテーマは「夢を見られる場所」。浮世離れということでしょうか。

ホテル・シルケン・プエルタ・アメリカ(Hotel Silken Puerta America)のファサード。デザインは、ジャン・ヌーヴェル。

ホテル・シルケン・プエルタ・アメリカ(Hotel Silken Puerta America)のファサード。デザインは、ジャン・ヌーヴェル。別角度で。

ホテル・シルケン・プエルタ・アメリカ(Hotel Silken Puerta America)のファサードのディティール。全ての部屋にオーニングが付いています。日差しが強いスペインではお馴染みの仕様。

ホテル・シルケン・プエルタ・アメリカ(Hotel Silken Puerta America)のフアプローチ脇。サインがかわいいです。AMERICAとあるのは、目の前の通りがアメリカ通りなので。

ホテル・シルケン・プエルタ・アメリカ(Hotel Silken Puerta America)のレセプションロビー。デザインは、ジョン・ポーソンが担当。

ホテル・シルケン・プエルタ・アメリカ(Hotel Silken Puerta America)の1Fレストラン。デザインは、フランス人のクリスチャン・リアグレが担当。

ホテル・シルケン・プエルタ・アメリカ(Hotel Silken Puerta America)の1Fレストラン。デザインは、フランス人のクリスチャン・リアグレが担当。

ホテル・シルケン・プエルタ・アメリカ(Hotel Silken Puerta America)のアプローチから見た、レセプションロビー。デザインは、ジョンポーソンが担当。

ホテル・シルケン・プエルタ・アメリカ(Hotel Silken Puerta America)のレセプションロビーをレストランサイドから。デザインは、ジョンポーソンが担当。

ミニマムで端正な作風で「Theモダニズム」な印象の空間を設えたジョン・ポーソンのレセプションロビー。決して広くはないのですが、このホテルでもっとももてなしの接点になるエリアをジョン・ポーソンが担当したのは興味深く、印象的。他が浮世離れしすぎていますからね 笑。 クリスチャン・リアグレのレストランは、2Fのビュッフェエリアも含めてバーチカルに空間を捉えていて、全体的にオーセンティックな設え。コーディネートの質も高く安定しています。 ジャンヌーヴェルのファサードは、マドリッドの気候や陽気にマッチした彩度の高い鮮やかな印象ですが、オープンして13年たち少し褪せてしまった印象(笑)グラデーションが左右に広がっているので否が応でも目立ちます。

ホテル・シルケン・プエルタ・アメリカ(Hotel Silken Puerta America)の1Fレストラン。デザインは、フランス人のクリスチャン・リアグレが担当

ホテル・シルケン・プエルタ・アメリカ(Hotel Silken Puerta America)のビュッフェエリアもフランス人のクリスチャン・リアグレが担当

ホテル・シルケン・プエルタ・アメリカ(Hotel Silken Puerta America)のビュッフェエリア。宿泊客以外もビュッフェ目的で外来客が来ます。

ホテル・シルケン・プエルタ・アメリカ(Hotel Silken Puerta America)のビュッフェエリアのテーブルセット。

ホテル・シルケン・プエルタ・アメリカ(Hotel Silken Puerta America)のビュッフェの食事。メニューも多様で食事が楽しいです。

 

1st Floor のZaha Styleへ。

ホテル・シルケン・プエルタ・アメリカ(Hotel Silken Puerta America)の1st Floor のエレベーターホール前のシンボルライト。デザインはザハ・ハディド。

ホテル・シルケン・プエルタ・アメリカ(Hotel Silken Puerta America)の1st Floor のエレベーターホール前のシンボルライト。デザインはザハ・ハディド。LEDのRGBで色彩変化します。

ホテル・シルケン・プエルタ・アメリカ(Hotel Silken Puerta America)の1st Floor のエレベーターホール前のシンボルライト。デザインはザハ・ハディド。LEDのRGBで色彩変化します。

ホテル・シルケン・プエルタ・アメリカ(Hotel Silken Puerta America)の1st Floor のエレベーターホール前のシンボルライト。デザインはザハ・ハディド。LEDのRGBで色彩変化します。

ホテル・シルケン・プエルタ・アメリカ(Hotel Silken Puerta America)の1st Floor のエレベーターホール前のシンボルライト。デザインはザハ・ハディド。LEDのRGBで色彩変化します。反対側から。

ホテル・シルケン・プエルタ・アメリカ(Hotel Silken Puerta America)の1st Floor の分岐点。左右の通路で部屋が分かれます。デザインはザハ・ハディド。

ホテル・シルケン・プエルタ・アメリカ(Hotel Silken Puerta America)の1st Floor、部屋のドア。デザインはザハ・ハディド。コーリアン製で部屋のナンバーと在室の有無がバックライトで表示されます。

ホテル・シルケン・プエルタ・アメリカ(Hotel Silken Puerta America)の1st Floor の128号室。デザインはザハ・ハディド。今回宿泊した部屋です。写真の露出的にはこの写真が現実に一番近いです。

ホテル・シルケン・プエルタ・アメリカ(Hotel Silken Puerta America)の1st Floor の128号室。デザインはザハ・ハディド。このフロアーでもっとも多い平均的な広さの部屋。

ホテル・シルケン・プエルタ・アメリカ(Hotel Silken Puerta America)の1st Floor の128号室。デザインはザハ・ハディド。直線がほぼないシームレスな空間はコーリアンとFRPでの造形。

ホテル・シルケン・プエルタ・アメリカ(Hotel Silken Puerta America)の1st Floor の128号室。デザインはザハ・ハディド。窓側からドア側を見たビュー。

ホテル・シルケン・プエルタ・アメリカ(Hotel Silken Puerta America)の1st Floor の128号室。デザインはザハ・ハディド。窓側からドア側を見たビュー。

ホテル・シルケン・プエルタ・アメリカ(Hotel Silken Puerta America)の1st Floor の128号室。デザインはザハ・ハディド。ベッドボード。

ホテル・シルケン・プエルタ・アメリカ(Hotel Silken Puerta America)の1st Floor の128号室。デザインはザハ・ハディド。収納もフューチャーな感じでかっこいいのですが、

ホテル・シルケン・プエルタ・アメリカ(Hotel Silken Puerta America)の1st Floor の128号室。収納ですが完全に隠れず反対側は見えています。笑

ホテル・シルケン・プエルタ・アメリカ(Hotel Silken Puerta America)の1st Floor の128号室。デザインはザハ・ハディド。トイレはザハデザインの便器でイタリア製。これは既製品ですが、自分のデザインという意味で徹底しています

ホテル・シルケン・プエルタ・アメリカ(Hotel Silken Puerta America)の1st Floor の128号室。デザインはザハ・ハディド。バスルームとバスダブもシームレスにつながっており、足元がハレーションして怖かったです。笑

ホテル・シルケン・プエルタ・アメリカ(Hotel Silken Puerta America)の1st Floor の128号室。デザインはザハ・ハディド。バスルームの洗面スペース。

ホテル・シルケン・プエルタ・アメリカ(Hotel Silken Puerta America)の1st Floor の128号室。デザインはザハ・ハディド。バスルームの洗面スペース。

ホテル・シルケン・プエルタ・アメリカ(Hotel Silken Puerta America)の1st Floor の128号室。デザインはザハ・ハディド。ベッドサイドボード。

ホテル・シルケン・プエルタ・アメリカ(Hotel Silken Puerta America)でも最も人気の高い1st Floorのデザインはザハ・ハディド。シームレスでザハらしいインテリアデザインです。ザハが手がけた事例だと、香港のジョッキーズクラブイノベーションタワー韓国ソウルの東大門デザインプラザ、南青山に昔あったニールバレットの旗艦店に続いて4件目の訪問。イノベーションタワーはあちらこちらで破綻していて少し残念でしたが、イノベーションタワーより前に竣工しているこちらの方が、空間としての破綻がなく施工精度もなかなか良いです。ザハのデザインは施工の力に左右されてしまいますからね。

今回宿泊した128号室も含め、部屋の狭さをシームレスな空間が解決していて開放感があります。矩形の空間であれば部屋の狭さを露骨に感じてしまうかもしれませんね。ホテル全体のデザインテーマ「夢を見られる場所」に期待を寄せれる作家ですし、期待以上にいい部屋でした。ただ、休息できるかというと、あまりに浮世離れしすぎていて長期間は泊まりたくないかもしれません(笑)

通常は景観性の悪さから避けられる低層階にザハやノーマンフォスターなど当代の建築家を起用して話題性を持たせ高層階に艶のある空間を作れる建築家や作家を起用するあたりも、全体のマネージメントの秀逸さをを感じます。セキュリティー上、他の客室フロアーにはアクセスできませんが、日に一回見学ツアーが組まれているので、全部見て見たい方はそちらを是非。

各フロアーの建築家、デザイナーのリストは下記の通り。

1st floor Zaha Hadid (ザハ・ハディド)
2nd floor Norman Foster (ノーマン・フォスター)
3rd floor David Chipperfield (デービッド・チッパーフィールド)
4th floor Plasma (エバ・カストロ、ホガー・ケーン)
5th floor Victorio & Lucchino (ビトリオ&ルチノ)
6th floor Marc Newson (マーク・ニューソン)
7th floor Ron Arad (ロン・アラッド)
8th floor Kathlyn Findlay (キャスリン・フィンドレー)
9th floor Richard Gluckman (リチャード・グルックマン)
10th floor Arata Isozaki (磯崎新氏) 
11th floor < Mariscal& Salas (ハビエル・マリスカル、フェルナンド・サラス)
12th floorとファサード Jean Nouvel (ジャン・ヌーベル)
※1st Floorが実質3階になります。

 

Lisboa / Porto / Madrid 2018 Reported by Futoshi Hirasawa

Lisboa 2018_Vol.01|Istanbu-Lisboa Aeroporto de Lisboa
Lisboa 2018_Vol.02|Chiado_Baixa Pombalina de Lisboa_Primeiro dia
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Porto_2018_Vol.04|Lisboa to Porto_Restaurante Casa Aleixo_Descobertas Boutique Hotel
Porto_2018_Vol.05|Historic Centre of Oporto_Casa de Musica
Porto_2018_Vol.06| Museu Serralves|Ponte Dom Luís I
Porto_2018_Vol.07|Livraria Lello _ O que eu vi na cidade do Porto
Madrid_2018_Vol.08|Artiem MadridLa ciudad de Madrid
Madrid_2018_Vol.09|
Hotel Puerta America
Madrid_2018_Vol.10|Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía _ Caixa Forum Madrid
Madrid_2018_Vol.11|El mercado de Madrid y la comida

Seoul 2016 Vol.04|동대문디자인플라자(東大門デザインプラザ : DDP)

ザハ・ハディドが設計した、동대문디자인플라자(東大門デザインプラザ)

仁寺洞から明洞を経由して向かったのは、先日惜しくも他界したザハ・ハディド(wiki)が設計した、동대문디자인플라자(東大門デザインプラザ : Dongdaemun Design Plaza = DDP)。敷地面積62,957平方メートル、建物面積25,008平方メートル、延面積85,320平方メートルに及ぶ広大なスペースは、大型イベントが開催できる「アートホール」、韓国デザインと世界トレンドを発信する「ミュージアム」、デザインビジネスの拠点となる「デザインラボ」、文化体験やショッピングが楽しめる「デザインマーケット」李朝時代に城壁があったことを記憶する「東大門歴史文化公園」の5施設からなります。紆余曲折を経て2014年に完成。脱構築主義建築(Deconstruction)の旗手として、また東京オリンピックの新国立競技場の一連の計画によって日本でも有名ですね。ザハが計画し提示した新国立競技場に関しては、個人的な意見は慎みますが、一昨年前にDesigncafeの研修旅行で訪れた香港理工大学ジョッキー・クラブ・イノベーション・タワーに続いて二作目のザハ建築訪問でしたので、近作比較も含めて所見を。

동대문디자인플라자(東大門デザインプラザ)乙支路側からのビュー


동대문디자인플라자(東大門デザインプラザ)グランドフロアー。ブリッジからのビュー


동대문디자인플라자(東大門デザインプラザ)ブリッジの別アングルから


동대문디자인플라자(東大門デザインプラザ)ブリッジからの覗く。アンダーグランド。


동대문디자인플라자(東大門デザインプラザ)反対側のアングル。見事に同じ風景が現れない。笑


동대문디자인플라자(東大門デザインプラザ)のファサードライン。三次元のアルミパネルによるダブルスキン(二枚幕)構造


동대문디자인플라자(東大門デザインプラザ)ブリッジのトンネル部。右がデザインショップが入るショップ棟、左がデザインセンターに区分け


동대문디자인플라자(東大門デザインプラザ)発見された遺跡を避けるように保存されている


동대문디자인플라자(東大門デザインプラザ)トンネルをくぐる


동대문디자인플라자(東大門デザインプラザ)インディペンデンス・デイで宇宙船が下りて来た時のイメージにそっくり。笑

東大門デザインプラザの地は、かつて球場やサッカー競技場などで構成された東大門運動場があり撤去移転させた後、約5年の歳月と400億円の莫大な費用が投じられ2014年に完成。先立って2009年にオープンした隣接の「東大門歴史文化公園(トンデムンヨッサムナコンウォン)」とともに、アート・デザインに触れられる観光名所として生まれ変わっています。東大門市場で賑わった地が、デザインとアート、ヘリテージを担う拠点に生まれ変わった訳です。

東大門市場が衣装関係の巨大卸売市場(日本からのバイヤーも買い付けに来ています)であることから、東大門をデザイン関係の中心地にするために計画された東大門デザインプラザ。略称として使われるDDPは、東大門デザインプラザ(Dongadaemun Disign Plaza)の英語の頭文字をとったものですが、さらにドリームDreamのD、デザインDesignのD、プレイPlayのPを隠語しています。建築としては3つの巨大な流線型のボリュームが分離せずにシームレスに融合し宇宙船の様な個性的な外観です。中心となるのは国際フォーラムや制作発表会、ファッションショーなどのイベントが開催されるアートホールと、定期的に内容が変わる博物館。アートとデザインが触れ合う場所となることを意識しています。

동대문디자인플라자(東大門デザインプラザ)文化体験やショッピングが楽しめる「デザインマーケット」


동대문디자인플라자(東大門デザインプラザ)展示室の入り口


동대문디자인플라자(東大門デザインプラザ)デザインマーケットからラボへの導線


동대문디자인플라자(東大門デザインプラザ)ラボの入り口


동대문디자인플라자(東大門デザインプラザ)ラボ入り口のフロアサイン


동대문디자인플라자(東大門デザインプラザ)ラボ入り口脇にあった消火栓。壁面と同じ仕上。笑


동대문디자인플라자(東大門デザインプラザ)ラボ内部。コラボレーションしやすい造り


동대문디자인플라자(東大門デザインプラザ)ラボの壁面。


동대문디자인플라자(東大門デザインプラザ)デザインマーケット


동대문디자인플라자(東大門デザインプラザ)デザインマーケットのコリドー。うねっているので居場所が解りにくい。笑


동대문디자인플라자(東大門デザインプラザ)トイレの導線


동대문디자인플라자(東大門デザインプラザ)企画展示室


동대문디자인플라자(東大門デザインプラザ)企画展示室

デザインマーケットは、その名の通り市場の様な様相で、その廻りにユニークなプロダクトを扱うメーカーが直営しているショップがコリドー状に配置されています。見学当日は、デザインマーケットでの買い物に時間を費やしてしまい(笑)、ミュージアムの見学が時間切れになってしまったのですが、マーケットからのラボへの導線、展示室へのアクティビティはユニークで、脚を運びたくなる(故に迷う。笑)つくりです。賛否両論分かれる所ですが、個人的にはこれはこれでありかと。クリエイティビティーを啓蒙し、デザインとマーケットを繋ぐ役割を担っている以上、このくらいのユニークさは必要だと思います。

동대문디자인플라자(東大門デザインプラザ)デザインラボの外部入り口。恣意的な入り口が多く、回遊を促すプランニング


동대문디자인플라자(東大門デザインプラザ)公園側


동대문디자인플라자(東大門デザインプラザ)ブリッジ公園側から


동대문디자인플라자(東大門デザインプラザ)敷地内のキオスク


동대문디자인플라자(東大門デザインプラザ)ブリッジ公園側の近景

アンダーグランドエリアはRC造、外壁はS造に3Dアルミパネルによるダブルスキン構造。内側の窓に合わせてパンチング状に打ち抜かれたアルミパネルが配列されていて、採光が取れるようになっています。また夜は、この窓の灯りが外に漏れ幻想的な風景を創り出します。アルミパネルの精度も納まりも美しく、雑な印象を受けた香港のイノベーションセンターに比べると、施工の精度がこの建築の魅力を引き出している一要素である事を改めて感じます。

동대문디자인플라자(東大門デザインプラザ)外壁の3D アルミパネル


동대문디자인플라자(東大門デザインプラザ)外壁の3D アルミパネル。パンチングとフラットパネルの対比


동대문디자인플라자(東大門デザインプラザ)公園側からアンダーグランドへ続くスロープ


동대문디자인플라자(東大門デザインプラザ)ブリッッジトンネルの近景


동대문디자인플라자(東大門デザインプラザ)


동대문디자인플라자(東大門デザインプラザ)ブリッジをアンダーグランドから眺める


동대문디자인플라자(東大門デザインプラザ)アンダーグラウンドから眺める


동대문디자인플라자(東大門デザインプラザ)アンダーグランドからブリッジを眺める


동대문디자인플라자(東大門デザインプラザ)遺跡エリア

この東大門デザインプラザ、建設途中に重要文化財級の遺跡が発掘された事もあり、その遺跡の保存形態やそれに伴う設計変更を幾度となく重ねた事もあり、新国立競技場同様批判にさらされています。また、デコンストラクションの「コンテクスト無視(その土地の持つ歴史や文化的な背景を無視する事)」も批判対象に。デコンストラクションはコンテクストを無視しても、モダニズム建築が辿ってしまった退屈な形態から逸脱する事に主旨を置くのですが、この辺は建築の歴史を知らないとなかなか理解されにくいのかもしれません。むしろコンテクストに主旨を置くのであれば、それを与件のプライオリティーとして先に掲げた上で、論評するべきです。

これに対してのザハの回答が新聞の記事になっていました。そのまま引用すると・・

DDPがあまりに大きすぎるのではないかとの質問に、「何を基準に大きすぎると言うのか、こちらから質問したい。スケールは建築家に与えられた要件です。DDPのように機能が特化した建物を設計するときは、厨房や台所、寝室みたいに減らせるもんじゃないんです。箱型の建築物にしたらもっと大きくなっていたでしょう」周辺のコンテクスト(脈絡)を受け入れられなかったという批判には、「DDPのような文化プロジェクトでは、都市の脈絡を再考して新たなアイデアとして始めることが重要だ。周辺の環境も重要だが『新鮮さ』『新しさ』を考えるしかない」。ステレオタイプ(固定観念)が死ぬほど嫌い、10歳からわざわざ変な服だけ選んで着ていたという彼女らしい答えだった。(朝鮮日報「東大門デザインプラザは、幼い頃から遊んでいた非対称の鏡が動機に」より 2014/03/12 03:40)

「建築という、土地との結合という意味で、展示場を地形に溶かそうと努力した」「DDPは、規模と構造の面で、建築自体が地形になった」と自負した。「建物の土地がもともと、東大門運動場だったことは知っていた」として、その歴史を保存するために、照明灯を残したとも説明した。また、建築の過程で見つかった城跡や1900年代の水門施設も「建物に溶かした」といい、「石造りやコンクリート、金属の材質が自然な調和をなした」という。(ハンギョレ「東大門デザインプラザがぶっ飛んでるって?」より 2014/03/12 11:09)

非常にザハらしい回答かなと(笑)ザハを起用したいのか、コンテクストを優先させたいのか?この辺の曖昧さがこの新聞の論評でも窺い知れますね。

동대문디자인플라자(東大門デザインプラザ)


동대문디자인플라자(東大門デザインプラザ)地下鉄駅へと続く飲食エリア


동대문디자인플라자(東大門デザインプラザ)


동대문디자인플라자(東大門デザインプラザ)ジョイント部分


동대문디자인플라자(東大門デザインプラザ)ミュージアム棟


동대문디자인플라자(東大門デザインプラザ)ミュージアム棟レセプション棟


동대문디자인플라자(東大門デザインプラザ)レセプションカウンター近景


동대문디자인플라자(東大門デザインプラザ)レセプション。コーリアンによるシームレスで美しいカウンター。


동대문디자인플라자 見る角度で見事に異なります。


동대문디자인플라자(東大門デザインプラザ)自動ドア部分


동대문디자인플라자(東大門デザインプラザ)自動ドアも斜め。笑


동대문디자인플라자(東大門デザインプラザ)


동대문디자인플라자(東大門デザインプラザ)アンダーグランドからブリッジを見上げる

ファッションビル側の地下にあるスペース。地下鉄駅からも近く、ファッションビルの前への地下道にも直結してます。こちらにはコンビニや飲食店、コスメや洋服屋さんなどがあり、このパブリック空間デザインもザハの手によります。三線直結する東大門歴史文化公園駅からファッションビルのミリオレとグッドモーニングシティへのアクセスのハブとしても機能していて、単なるデザイン施設としてのみならず、公共施設としての役割も担っています。

批判にさらされつつも、そういう当初の目的、周辺環境との接合、この建築の持つ話題性を考慮すると、十分役割を果たしているのではないかと。韓国の新聞が「大きすぎる」と書いていますが、このプログラムは韓国サイドがザハに提示したものであり、実際現地に立つと商業エリア故に違和感が無く、外苑エリアに70m近くそびえる新国立の計画に比べれば馴染んでいます。(この70mの与件も日本側が提示したものですけどね)ランドスケープの良い乙支路側からのビューはコンパクトで、グランドラインからのビューは思っている程巨大ではありません。

香港のイノベーションタワーは大学の研究施設でしたが、こちらはデザインを媒体にした公共施設。街の資産ですし、皆でシェアしながら育んで発信していく意気込みみたいなものを強く感じ、その意思をザハが建築として表現している。そういう意味でも、この建築・施設は十分成功していると思います。ザハが死んだ今、建築界の担い手たちが、世界中からこの建築を観に来る訳ですからね。。

店名 東大門デザインプラザ(DDP)
住所 ソウル特別市 中区 乙支路7街 2-1 (서울특별시 중구 을지로7가 2-1)
道路名住所 ソウル特別市 中区 乙支路 281 (서울특별시 중구 을지로 281)
電話番号 02-2153-0000  
営業時間 10:00~22:00 (デザインマーケット10:00~翌2:00、展示施設10:00~19:00/水・金10:00~21:00、チケット販売は閉館時間の1時間前まで) 
※オウルリム広場は24時間 休業日 月曜日(ミュージアムのみ)、1月1日
日本語 一部スタッフ可 その他外国語 英語 中国語
交通 ・地下鉄2号線東大門歴史文化公園(トンデムンヨッサムナコンウォン、Dongdaemun History&Culture Park)駅 1番出口すぐ
ホームページ www.ddp.or.kr
料金 無料

SEOUL  2016 Reported by Futoshi Hirasawa

Photo / Text : HIRASAWA FUTOSHI 
Camera : Fujifilm X-Pro1 & X-T10 
Lens : Fujifilm XF14mmF2,8 & XF18mmF2 & XF35mmF1,4
Photo retouch : VSCO & Lightroom