2013年の定例研修先は、シンガポール。昨年に引き続き、海外の都市に赴き”感じ取ってくる”事を目的に行っているのですが、それは写真やインターネットの情報で解ったつもりでも、実際体感してみるとスケール感やボリューム感、空気感、香りなど五感を働かせないと解らない事が多いからです。

今回のシンガポールは、個人的には3回目の訪問だったのですが、前回が8年前ですから街の様相もだいぶ変わり、マリーナベイを中心としたリゾート開発(Marina Bay Sands, Gardens by the bayなど)はもちろん、開明的な環境保全プログラム(Southem Ridgesなど)、国民の90%が住宅所有者(マンション含む)であり、その根底を支えている住宅開発局”HDB”の最新事例(The Pinnacle@Duxtonなど)、世界最先端のバーチカル&スカイグリーンの事例(PARKROYAL on Pickering)、日本人建築家がマスタープランを計画した商業施設(VIVO CITY)など見学したいものが目白押しで、これらの見学や体感から得た情報を”引き出し”として、今後の仕事に役立てられればと。 また、単に見学だけでは面白くないので、ローカルフードのレストランやホーカーズ、Barなども時間を見つけては立ち寄り、その街のローカルな空気感みたいなものも感じながら、自分たちが楽しむことを忘れずに(笑) 廻ってきました。

マリーナベイサンズ|ガーデンバイザベイ側からの遠景|Designcafe-Incベースになるホテルですが、マリーナベイ・サンズ(Marina Bay Sands)に泊まりました。シンガポールで、今一番ホットなホテル&リゾートですが、後述するパークロイヤルオン・ピッカリング(PARKROYAL on Pickering)も素晴らしく、次回はこちらかなと w   マリーナベイ・サンズは、ラスベガスのカジノオペレーターであるサンズが2010年に開業したカジノ&リゾート。設計は、ルイスカーンのお弟子さんでもある Moshe Safdie。「世界で最も高いところ(地上200m)にあるプール=Infinity Pool」で一躍有名になったホテルで、日本でもSMAPがCMのロケ場所として使ったので有名ですね。この名物プールに入場するには「宿泊しないと入れない」事と裏庭にあたる「ガーデン・バイ ザ ベイ  Gardens by the bay」も見学目的だったこともあり迷わずこちらにしました。

マリーナベイサンズ|デラックスルームのベット|Designcafe-Incホテルの部屋はデラックスルームでしたが、デラックスという程のものではなく(笑)至って普通の設え。僕らはこの部屋で十分でしたが、ラグジュアリーな空間でのステイを望まれるなら、もうワンランク上げた方が良いでしょうね。ホスピタリティも可もなく不可もなくですが、チェックインに時間が掛かるのは改善して欲しいです。6時間のフライトでチェックインに30分以上待たされると疲れが倍増しますし。

マリーナベイサンズ|インフィニティプールのレーザーショー|Designcafe-Incこのホテルの目玉である、Infinity Poolは各タワーの57階にあって、夜の11時まで利用することができます。プールとガーデンとジャグジーで構成されていて、寒くてもお風呂に入ることができ、またタオルコンシェルジュが常設されているので、暖かいタオルを無料で使うことができます。至れり尽くせり。高台にあることもあって、結構潮風が強く、タオルを羽織っていないと風邪引きます(シンガポールの室内はエアコンが効きすぎているので、暑い日でも、そのギャップに慣れるのが大変)。殆どの人は部屋で着替えて部屋のガウンを羽織ってそのままプールへ直行していました。ちなみにこのプールの上方で夜のレーザーショーが行われるので、プールの袖でこれを観るのも楽しいです。

マリーナベイサンズ|ショッピングモールのスケートリンク|Designcafe-Incこのマーリーナベイ・サンズは、運営会社がラスベガスのカジノオペレーターということもあって、施設全体の創りがラスベガスのエンターテイメントホテル&リゾートのスタイルを踏襲しています。地下にはカジノ、アネックスにはショッピングモール、そして屋上はプールと行った具合に「一つの場所で全てが完結する」ように計画されています。日本もカジノを解禁すれば、このようなスタイルのホテル&リゾートが出来るのでしょうが、施設の中に目玉を創る「ラスベガス方式」が世界的にはスタンダードである現実を考えるとカジノの有無は、ビジターの多寡に拠るのでしょうね。

 とにもかくにも、このホテルの魅力を出しているのは「Infinity Pool」。常夏でコンパクトな街、シンガポールならではのアイデアであり、特に観光資源となりうるものが少ない故に生まれたとも言えます。このアイデアそのものが日本で使えるかどうかは解りませんが、観光資源が多いのにキャッチアップする要素が少ない日本の宿泊施設は見習うところが多いと思います。  
テキスト&撮影:平澤 太

Singapore 2013 Vol.1 マーリーナベイ・サンズ
Singapore 2013 Vol.2 ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ
Singapore 2013 Vol.3 サザンリッジス
Singapore 2013 Vol.4 VIVO CITY
Singapore 2013 Vol.5 ピナクル@ダクストン
Singapore 2013 Vol.6 ボート・キー&チャイナタウン
Singapore 2013 Vol.7 オーチャードロード