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アルテイシア時代から仲の良い西野さんというお客様が、ある時こんな事をおっしゃった。「洋服って今着たいものを買う人もいるけど、私は違うのよね。ちょっと先の物を買っておいて、それを着る日を楽しみに過ごすのが好きなの。」
なんて素敵な気持ちだろうと思った。お仕事もプライベートもお忙しそうなのに、いつも美しくニコニコとされている西野さん。きっとこの人は、そうやって日々の生活を潤してるんだなと感じて、西野さんのスタンスに心から拍手を送った。
洋服屋には少し先のシーズンの物がいつも並ぶ。これはもちろん、トレンドを見て頂いたり、季節を楽しんでもらうという意味もあるけれど、一番はやっぱり、ちょっと先の未来に「しおり」を挿む楽しさを、受け取ってもらう事だと思う。
今着れる物も、もちろんショップには並んでるけど、そればかりだと何となく慌しい。特にお安くないアイテムを買う時は、少し先のシーズンの物を買う事で、着る前から満足感のある日々が過ごせると思いますよ。
そう、何も今週末という近すぎる意識だけでなく、一ヶ月先、二ヶ月先の楽しみを積み重ねていく事も大事だと思いませんか。そうすれば自分自身にもゆとりが生まれるし、何よりそれを少々の励みにして毎日を過ごせるし。落ち込んだり、元気が無い時でも、少し先の未来が自分のクローゼットに入っていると思うと、元気が出て明日を迎えられる気がする。
コレクションにバイイングに出向く時、元気な時もあれば疲れてる時もある。気持ちに余裕が無く、仕事に追われながら会場に入る事もしょっちゅうだ。でも、そこで並んでいる洋服を見ているうちに、少しづつ元気になってくるのが分かる。「次のシーズンではこれをご紹介しようかな」「この素材でこの仕上がり、めっちゃカワユいぞ」「これは一見普通だけど、機能的には素晴らしいな」などなど。終わる頃には、すっかり元気をもらって帰ってくる。
ショップ側も同じ。少し先のコレクションを見たり仕入れたりする事で、その日を楽しみに過ごす事が出来るのだ。売る側も買う側も、こういう楽しさをもっともっと共有できたら、きっと楽しい未来もお客さまと分かち合えると信じている。