Generative Design & BIM for Design Dx

BIMとジェネレーティブデザインの導入へ

Designcafe™️ では、2019 年から空間デザインにおける BIM※1 の導入検討を開始し、2020 年からはプロトタイピングにダイレクトモデリングを並行導入、直感的で創造的なデザインワークフローの実現に向けてスタートを切りました。既に一部のプロジェクトではBIMモデルとして、ダイレクトモデリング→3Dビジュアライゼーション→2D設計図書の自動生成まで同一のデザインデータ(設計データ)で行っており、竣工図書の属性情報のプロトタイプ化も並行してています。

また、建築業界では進んでいるジェネレーティブデザイン※2 も 2021 年より試験的な運用を始めており全デザイナーへの習得を目指しています。日本における空間デザイン業界の BIMやジェネレーティブデザインへの取り組みは大変遅れており、空間デザイン業界全体の Dx(デジタルトランスフォーメーション)を阻害している原因にもなっています。Designcafe™️ では、ただ先進技術を追求するだけでなく、これらのDesign-Dxの実現で生まれた「時間」「新たな創造性」をお客様に対してさらなる付加価値のある提案につなげ、届けることを目標に取り組んでいます。

 

※ BIM:Building Information Modeling は、コンピューター上に作成した3次元の形状情報に加え、室等の名称・面積、材料・部材の仕様・性能、仕上げ等、建築内外の属性情報を併せ持つ情報モデルを設計データ内部に構築すること

※ ジェネレーティブデザイン:AI(人工知能)の一種で、より良い建物やシステムを生み出すために活用されており、アルゴリズム、機械学習、計算幾何学を駆使し、設計の課題に対して複数のソリューションを迅速に探索、最適解を導き出す手法

BIM、ジェネレーティブデザイン導入の経緯

BIMやジェネレーティブデザイン導入を検討し始めたきっかけは、49Architekt(2年前に平澤が役員として経営参画した建築設計会社)で運用されていたArchiCAD+Rhino+Grasshopperによるジェネレーティブデザインの実践を目の当たりにした事からでした。高度なデザインスタディをデザイナーが設定したアルゴリズムから何パターンも生成され、選定されたデザインデータがそのまま建築設計に反映、設計図書の自動書き出しまで行われていく様子は、未来のデザインそのものといった感じで人とコンピューティングの新しい関係性も示唆するものでした。何より、建築家やデザイナーは、設計やデザイン成果物の作業から開放され、よりインテリジェンスなクリエイティブワークに没頭することができます。これを Designcafe™️ でも取り入れることができないかと考え導入が始まります。

 

BIMがもたらすメリット。自動化と高度な整合性。

Designcafe™️ での設計の手順は、3Dモデルを一旦作成(ダイレクトモデリング)するところからスタートします。3D-CADと3Dモデラーソフトを併用してプロジェクトの初期段階から3Dでの空間形状を制作(プロトタイピング)し、そのまま設計に移行していきます(下記図参照)。ここまでは、比較的よくある流れになりますが、通常の設計の手順とは異なり(3Dデータをそのまま活用することで)平面図や展開図といった2Dの図面は同一の3Dモデルから切り出され自動的に生成されます。この3D設計データとなった3D設計モデルに様々な情報を追加していくことで、区画図、仕上表、照明配灯図などを自動的に作成することができます。これらの成果物は相互にリンクしているため、展開図を直せば、直ちに3Dモデルにも修正され、全ての図面(成果物)が自動的に更新されます。そもそも従来デザイナーが作図していた2D図面を作図からは解放される上、高度な整合性が担保されるため、チェックしていた整合作業からも解放されることになります。

BIMモデルを活用する最大のメリットは、設計データーとして3Dモデルを内包していることで変更や調整が発生してもそのままパースに反映させたり、各図面に自動的に反映されるため、設計時の工数が大幅に減り、クライアントとのコミュニケーションが容易になることです。

空間デザインにおけるジェネレーティブデザイン

BIMが空間デザインのワークフローを大きく変革することに対して、ジェネレーティブデザイン(建築業界ではコンピューテーショナルデザインとも)は、AIを活用しデザイナーや設計者が設定したアルゴリズムに即したデザインのシュミレーションを行い、最適な形状、最適なプランを導き出すというデザインのインテリジェンスに踏み込んだデザインスキームです。

Designcafe™️ ではジェネレーティブデザインを試験的にオフィスのプランニングや展示会ブースデザインの展示台の形状やブースの外観などのシュミレーションに活用し、新たな価値を提供できるようにトライアルしています。例えばオフィスの場合、常在する人員数とテレワークしている人員の割合を変えるだけでデスク数等の物性が変わってきます。ここにフィジカルディスタンスなどの属性を加えると更に複雑になります。このような検証は、人力で行わなくてもコンピューティングで解決した方が効率的です。また、ブースの形状も面積+高さ規定に加え「最大限接客できる面積のカウンターを保持する」「接する面は二面のみ」などの要素を入れるだけで物性が複雑になり、何通りもパターンが導き出せます。

このジェネレーティブデザインで導いたシュミレーションからいかに新しい価値を生み出せるかがポイントであり、そこには暗黙知や経験に裏打ちされた部分が生きてきます。デザイナーによってフィジカルにコントロールされた従来のデザインから、ジェネレーティブデザインによって偶発性、機能、コスト、耐甚性など複合的な要素も加えた、新たな美しさを創造できるかもしれません。

 

拡張性を考慮したアウトドアキッチンカーのコンセプトデザイン (1)

BIMとジェネレーティブデザインがもたらすDesign DX

BIMとジェネレーティブデザインが齎らすメリットは、Dxそのものと言えます。Dxの文脈を語る上で重要なことは「新しいデジタルテクノロジーを導入・利用することで、新しい価値を生み出し、ビジネスを変革し、その優位性によって事業成長させること」です。次の3つのキーワードに集約されます。

  • 新しい技術
  • 新しい価値創出
  • 競争上の優位性

Design+Dxとなると、どうしてもデザイン思考的な話に行きやすいのですが、個人的にはとてもシンプルに考えており「新しいテクノロジーの力で今までやっていた事をやらなくする事」「新しいテクノロジーの力で今まで出来なかった事を行うこと」の二つのテーマに集約されます。一見相反しそうな二つのテーマを軸に置き、価値創出や競争優位性が生まれる方法を模索している中で既出の通り、BIMとジェネレーティブデザインの現場を目の当たりにするわけです。

Dxは経営上の戦略でもあるわけですが、小規模のデザイン会社が新しいクリエイティブ=価値を創出させるときに、新しいテクノロジーを無視して取り組むことは競争優位性を阻害してしまいます。使えるリソースを勘定しながら、省力化と創造性のバランスを見極める上でもデザインDxは避けて通れない道です。同時に、Designcafe™️ が取り組むDesign Dxは、デザイナーに期待されている多様的な役割にも寄与できると考えています。