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Designcafe™ の主宰者、平澤太のブログです。デザイン考、ライフワーク、インサイト、旅行などを不定期に綴っています。

環境デザインのこと・その2

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写真は僕が参画しているプロジェクトの1つで某駅ビルの環境デザインプロジェクトの現場です。週末で完成しますから今が佳境ですね。僕の事務所はお陰様で色々なお仕事の相談を頂くのですが、今年はこの環境系のインテリアデザインのプロジェクトに参加する機会に恵まれたと思っています。この写真のプロジェクトは、設計というよりも環境と接点を持つテナントのデザインディレクションが僕のミッション(環境のデザインも参加していますが)で、テナントサイドのデザイナーとデザイン上の調整や指摘、指導を行っていく仕事です。テナントによっては、グランドルールやSI(ショップアイデンティティー)を持っているテナントもあるので、そのルールとの整合をある程度考えてあげないと旨く纏まりません。

環境デザインは、施設のコンセプト、戦略、ターゲットクラスターを明確にしデザイン言語を確定していくのですが、通常の店舗(路面ショップの建築からテナントショップまで問わず)と異なり、内外要素との折衝や接点が多い故の問題事項が山積することが常です。それをデザインという方法で解決していく訳ですが、自分たち以外の立場の人たち・・営業、運営等のクライアントサイドから構造、設備、施工等の施工サイド、そしてテナントサイドと周辺の方達への理解を持ち合わせないと上手くいきません。

先週、僕の事務所でデザインを手伝わせて頂いた池袋P”Parcoの地下1階の環境リニューアルがオープンしたのですが、同じ環境デザインでもクライアントの考え方やポリシーで進め方は180度違います。そういう意味で高い柔軟性とデザインとしての解決手段の引き出しの多さが必要なのかもしれません。今回、2つの案件を経験して改めて感じました。

テクノラティプロフィール

環境デザインのこと その1

僕のような商業施設やショールームをメインに設計している方は皆さん一緒だと思うのですが仕事的には1年で一番ピークがこの時期。12月に向けてオープンする案件の施工(の設計管理)と来春オープンする案件の設計業務が丁度バッティングするんですね。大手の設計事務所やディスプレイ会社の設計部門ですと、ノルマもあるでしょうからもっと忙しいかも知れませんね。

今年は去年以前と比べて環境設計(500坪以上の商業施設のテナント以外のパブリックデザイン)の案件が多く一番の変化なのですが、今まではテナント側で設計していた立場がパブリックデザインという立場で逆転すると、色々とまどうことが多いのです。まずジャッジを受けるべき相手、協議し折衝しないといけない相手が格段に増えること。当たり前なのですが、規模の大きさに比例して関わる方の数も増えるのでコミュニケーションを円滑に取っておかないと現場の人たちに迷惑がかかってしまうんですね。

環境設計の多くは、消防と建築の各種法規との格闘になります。法規と格闘すること自体は、あらゆる建築物、商業施設、展示施設全てに言えますが、大型商業施設の環境は、施設の環境以外にそこに出店するテナントの設備要素も加味して絡んでくるため、複雑で難しいのです。その為、僕らのようなデザイン(意匠設計)担当以外に、建築実施設計担当、給換気設備担当、給排水設備担当、電機設備担当、テナント調整&折衝する内装管理室、コストマネージメント担当、そして実際の施工を行うゼネコン(サブコン)と施工担当以外の各種設計&エンジニアが協働して、実際のファシリティの構築と平行してこの法規と格闘していくわけです。「僕、このデザインが良いから、みんなこれでいくよ!」とはいかないのです(笑)。通常一番大変なコスト調整以外の部分にも難しさがあります。

色々な難局があるわけですが、オープン1ヶ月前がヤマでそこまでにテナントとのデザイン調整が完了すれば、概ね現場の設計管理のみですみます。現場は一番大変なのですけど、もうちょっとでこの状況なるので、待ち遠しいです。仕事はこれだけでは無いのですが、大きい案件から落ち着くと仕事のペースも落ち着くので、頑張りたいです。。