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Designcafe™ の主宰者、平澤太のブログです。デザイン考、ライフワーク、インサイト、旅行などを不定期に綴っています。

Helsinki / Porvoo 2017 Vol.05 | Helsinki Architecture / ヘルシンキの建築

アカデミア書店の吹き抜け上のトップライト

アカデミア書店の2階のカフェ・アアルト(Cafe Aalto)

ヘルシンキ中央駅

ヘルシンキ中央駅は、フィンランドの鉄道VRや地下鉄、トラムの駅、バスターミナルなどが集まり、ヘルシンキの交通の玄関口として、一日に約20万人もの人々がこの駅を利用されているフィンランドで最も利用客のある建物の1つです。

ヘルシンキ中央駅の外観。フィンランドの鉄道VRや地下鉄、トラムの駅、バスターミナルなどが集まるヘルシンキの交通の玄関口

1860年に開業。初代駅舎の設計はスウェーデン人のカール・A・エデルフェルトの手によって完成しました。後年徐々に手狭になっていき、1904年に新駅舎のデザイン・コンペが行われ、エリエル・サーリネン(エーロ・サーリネンのお父様)の新駅舎案が採用されます。サーリネンの駅舎案はナショナル・ロマニティズムと呼ばれるフィンランドのナショナル・ロマンティシズムを前面に出したデザインで、当時から見てもかなり古典的な様相から批判が殺到したようです。

この当時のフィンランドは、ロシアとの対外的な干渉から立ち上がってきた時期ですから、ロシア帝領時代に教育を受けたサーリネンとしては複雑な気持ちだったのでしょうね。

その後同業の建築家達からの批判を聞き入れたうえで、徹底的な計画変更を行い鉄筋コンクリートを使用した現在の駅舎案を1909年に完了、これを元に建設が行われ10年後の1919年に新駅舎が完成します。その面影が現在の外観になります。

ヘルシンキ中央駅のプラットフォーム

Helsinki Architecture / ヘルシンキの建築写真 (6)

ヘルシンキ中央駅のプラットフォーム

Helsinki Architecture / ヘルシンキの建築写真 (8)

ヘルシンキ中央駅のホールの内部の様子

Helsinki Architecture / ヘルシンキの建築写真 (9)

ヘルシンキ中央駅のホールの内部の様子

Helsinki Architecture / ヘルシンキの建築写真 (10)

ヘルシンキ中央駅のプラットフォームに向かうホールの様子

Helsinki Architecture / ヘルシンキの建築写真 (11)

ヘルシンキ中央駅のプラットフォームに向かうホールの様子

Helsinki Architecture / ヘルシンキの建築写真 (12)

ヘルシンキ中央駅のプラットフォームに向かうホールの様子

サーリネンにとっては、初期の出世作とも言える近世フィンランドを代表する名建築なのですが、サーリネン本人は、このヘルシンキ中央駅の完成でナショナル・ロマンティシズムから脱却し、モダニズム様式に傾倒していきます。そういう意味でも非常に貴重な建築とも言えますね。

marimekko aleksinkulma

Helsinki Architecture / ヘルシンキの建築写真 (14)

Marimekko Aleksinkulma。マリメッコの路面店では最も大きな店舗

Helsinki Architecture / ヘルシンキの建築写真 (15)

Marimekko Aleksinkulma。ヘルシンキ中央駅からストックマン(Stockmann)方面に歩いてくるとこんな感じで見えてきます。

フィンランドといえはmarimekko。街の主要な場所、ショッピングモールには必ずと言っていいほどお店があり、観光客を中心に賑わっています。ヘルシンキは比較的古い建物が多いため、リノベーション&コンバージョンによってお店にしているところが多いように見受けられます。ちなみに向こうではファブリックからアパレル、カトラリーまでなんでも揃っていて見ていて飽きません。ちなみに僕たちも買い物を楽しみましたが、この店ではありませんでした。笑

Marimekko Aleksinkulma
所在地: Aleksanterinkatu 50, 00100 Helsinki, フィンランド
時間:営業終了時間: 20:00
電話: +358 44 7194834

 

Akateeminen Kirjakauppa(アカデミア書店)

Helsinki Architecture / ヘルシンキの建築写真 (19)

アルヴァ・アアルト(Alvar Aalto)が1969年に設計したアカデミア書店(Akateeminen Kirjakauppa)

Helsinki Architecture / ヘルシンキの建築写真 (21)

アルヴァ・アアルト(Alvar Aalto)が1969年に設計したアカデミア書店(Akateeminen Kirjakauppa)

フィンランド、そして20世紀を代表するモダニズム建築家アルヴァ・アアルト(Alvar Aalto)が、1969年に設計したアカデミア書店(Akateeminen Kirjakauppa)。この国内最大の書店は、エスプラナーディ通りの老舗デパートであるストックマンの隣にあり、アアルトの建築めぐりのスタートとして最適な場所です。 

Helsinki Architecture / ヘルシンキの建築写真 (20)

訪問したのは週末。目の前では各々が料理を持ち寄りストリートパーティーが開かれようとしていました。

建築家アルヴァ・アアルト(Alvar Aalto)が、1969年に設計したアカデミア書店の吹き抜け部分

アカデミア書店の吹き抜け上のトップライト

アカデミア書店の吹き抜け上のトップライト

内部はビアンコの壁で覆われ、コリドールの三層吹き抜けの開放的な空間。天井には、彫刻のようなトップライトが並んでおり、この空間を印象付けます。光に腐心したアアルトらしい演出です。天井は波のようにゆるやかなカーブの造形があり、正面入口のドアには波が重なり合ったようなハンドルがついています。この辺の遊び心(波はアアルトのアナグラム)を失っていないところがアアルトの魅力だったりします。

アカデミア書店の2階のカフェ・アアルト(Cafe Aalto)

アカデミア書店の2階のカフェ・アアルト(Cafe Aalto)

アカデミア書店の2階奥には、アアルトの名前がついたカフェ、カフェ・アアルト(Cafe Aalto)があります。小さいお店ですが、大理石のテーブルやブラックのレザーのアントチェア、artekの名作”GOLDEN BELL”など、アアルトゆかりのプロダクトが使用されています。ちなみに映画『かもめ食堂』で、サチエ(小林聡美)さんがミドリ(片桐はいり)さんと出会って「ガッチャマンの歌」を歌ったカフェとしても有名(笑)です。

Akateeminen Kirjakauppa
所在地: Pohjoisesplanadi 39, 00101 Helsinki, フィンランド
時間: 開店時間: 土 9:00
電話: +358 20 7608999

 

KAMPIN KAPPELI(静寂の礼拝堂)

Helsinki Architecture / ヘルシンキの建築写真 (26)

ナリンッカ広場にあるKAMPIN KAPPELI(カンピ静粛の礼拝堂)

ワールド・デザイン・キャピタル ヘルシンキ(WDC)」を記念して2012年に完成。日々の忙しさから静粛を求めるために造られた礼拝堂で、フィンランドのローカルアーキテクトであるK2S 設計事務所が設計しています。もみの木を積層させた大きな酒樽のような外観が印象的な建築で、カンピ・ショッピングセンター前のナリンッカ広場という賑やかなにカンピ地区に計画されました。

Helsinki Architecture / ヘルシンキの建築写真 (33)

KAMPIN KAPPELI(カンピ静粛の礼拝堂)見る角度によってフォルムが異なるユニークなデザイン

Helsinki Architecture / ヘルシンキの建築写真 (28)

KAMPIN KAPPELI(カンピ静粛の礼拝堂)開口部のディティール。外壁部の積層材の厚みがあり痺れるディティール

Helsinki Architecture / ヘルシンキの建築写真 (31)

KAMPIN KAPPELI(カンピ静粛の礼拝堂)の内部。もみの積層材のテクスチャーコーブ照明のようなトップライトの柔らかい光が印象的

Helsinki Architecture / ヘルシンキの建築写真 (30)

KAMPIN KAPPELI(カンピ静粛の礼拝堂)のろうそく。祈りにろうそくは欠かせません

第一印象はとてもフィンランドらしい着想の建築。「光が感知できない暗闇」と「無音の静粛」は現代を生きる殆どの人が日常生活で経験できないと言われている中で、ヘルシンキのような都会の中で静粛を求めるためにこのような優しい建築を建てることは意味がありますからね。心の平穏といってもいいかもしれない。そうなると丸っこい優しい形状も頷けますよね。

KAMPIN KAPPELI(カンピ静粛の礼拝堂)
所在地: Simonkatu 7, 00100 Helsinki, フィンランド 
電話: +358 9 23402018

 

テンペリアウキオ教会(Temppeliaukion kirkko)

Helsinki Architecture / ヘルシンキの建築写真 (36)

テンペリアウキオ教会(Temppeliaukion kirkko)の外観。別名「ロックチャーチ」中の様子がうかがい知れない建築です

フィンランドは、豊かな森と氷河期から形成された湖、そして岩山が自然の象徴とされていて、このテンペリアウキオ教会は「可能な限り自然の岩を残す」をコンセプトに設計されています。設計したのはティモ&トゥオモ・スオマライネン兄弟で、1969年に完成しました。

グランドラインがいく部下がったところにあるのは、自然の岩山を掘削しているためで、円形状に抜かれた上にガラスとスチールで組み上げられたドーム型の天井が被されています。

テンペリアウキオ教会(Temppeliaukion kirkko)

テンペリアウキオ教会の1F部分。岩を掘削している跡が残っています

Helsinki Architecture / ヘルシンキの建築写真 (39)

テンペリアウキオ教会。エントランスから直線上の先にステージがあり、この日はピアノの演奏が行われていました

Helsinki Architecture / ヘルシンキの建築写真 (44)

テンペリアウキオ教会の天蓋。ダイナミックで岩との対比が印象的

Helsinki Architecture / ヘルシンキの建築写真 (41)

テンペリアウキオ教会2階席から天蓋を眺める

Helsinki Architecture / ヘルシンキの建築写真 (43)

テンペリアウキオ教会の2階席からステージを眺める

フィンランドの人々は自分たちの国にある豊かな自然をとてもリスペクトしていて、その豊かな自然を再生可能で持続性を伴った形で、寄り添いながら暮らしています。特に冬の夜が長いフィンランドでは、日中の光の取り込み方に腐心している建築が多く、結果として人工的な照明に頼らなくても十分に明るい内部空間が実現されています。この建築は自然に対しての危機感があまりなかった時代に建てられていますが、無理がなく、アノニマスだけど堅実な設計でとても印象に残りました。

テンペリアウキオ教会(Temppeliaukion kirkko)
所在地
: 
Lutherinkatu 3, 00100 Helsinki, フィンランド

 

KIASMA(国立現代美術館キアズマ)

Helsinki Architecture / ヘルシンキの建築写真 (47)

KIASMA(国立現代美術館キアズマ)の外観

Helsinki Architecture / ヘルシンキの建築写真 (55)

KIASMA(国立現代美術館キアズマ)の展示室につながるスロープとトップライト

1992年に建築設計コンペによってタイポロジーを駆使したアメリカ人建築家スティーヴン・ホールの設計案『chiasma』がえらばれ、実現した現代美術館です。chiasmaとは視神経の中枢で交差する場所のこと。当初、フィンランドなどスカンジナビアゆかりの建築家の勝利が期待され、周辺環境やフィンランドの風土にマッチした美術館が要請されていましたが、現代美術館という大きな観光資源としての要請が勝ったのかもしれません。実際、スティーヴン・ホールの代表作として、僕らも見に来ているわけですからね。笑

Helsinki Architecture / ヘルシンキの建築写真 (48)

KIASMA(国立現代美術館キアズマ)の展示室につながるスロープとトップライト

Helsinki Architecture / ヘルシンキの建築写真 (49)

KIASMA(国立現代美術館キアズマ)の展示室につながる通路

Helsinki Architecture / ヘルシンキの建築写真 (54)

KIASMA(国立現代美術館キアズマ)のチケットカウンター

Helsinki Architecture / ヘルシンキの建築写真 (51)

KIASMA(国立現代美術館キアズマ)のサインと壁面の装飾

Helsinki Architecture / ヘルシンキの建築写真 (52)

KIASMA(国立現代美術館キアズマ)の展示室につながる階段

比較的規模が小さい美術館でもあるのですが、開かれた美術館という印象で開放的な造りですが、計画当初は周辺環境に馴染めず、俗物的な建築としてフィンランドの人には映ったのかもしれません。アアルトやサーリネンのような派手さはないけれど、堅実な建築を求めていたわけですから。最終的には、観光資源としての期待が勝りスティーヴン・ホールの設計案を受け入れたような気がします。実際、スティーヴン・ホールの代表作とされていますし、こうやって遠路はるばる僕らも見にいっている訳ですからね。笑

Helsinki Architecture / ヘルシンキの建築写真 (57)

KIASMA(国立現代美術館キアズマ)ミュージアムショップ

Helsinki Architecture / ヘルシンキの建築写真 (58)

KIASMA(国立現代美術館キアズマ)ミュージアムショップとカフェの間にあるレストスペース。

Helsinki Architecture / ヘルシンキの建築写真 (59)

KIASMA(国立現代美術館キアズマ)のミュージアムカフェ”Cafe Kiasma”。

KIASMA(国立現代美術館キアズマ)
在地: Mannerheiminaukio 2, 00100 Helsinki, フィンランド
開店時間: 10:00
電話: +358 29 4500501

 

 

 

Helsinki / Porvoo 2017 Reported by Futoshi Hirasawa 
 

 

 

Helsinki / Porvoo 2017 Vol.04 | Alvar Aalto STUDIO

アアルトスタジオの正面外観

アアルトスタジオの正面外観

アアルトスタジオの裏側

アアルトスタジオ、中庭からのビュー

アアルトスタジオ、食堂を外から眺める。

アアルトスタジオの中庭から眺める

アアルトスタジオの中庭から眺める。

アアルトスタジオの隣地

アアルトスタジオのサインプレート

1Fトイレの建具

1F食堂へ向かう廊下の照明

2Fのワークスペース(製図室)。往年の状態で残されており、製図板や各種定規などの道具と当時のドローイングを見ることができます。

天井が傾斜して片流れの屋根になっているのは、ハイサイドから差し込む太陽の光を天井に反射させて、室内を明るくするため。

2Fのアアルトの仕事部屋。作品展示と膨大なドローイングの原本が保管されています。

アアルトの仕事部屋の棚にある膨大なドローイングのアーカイブ

アトリエスペース。アアルトの石像や建築模型、スツール60をはじめとするartekのチェアやテーブルやパイオミチェアがずらりと並んでいます。

アトリエスペースから中庭を眺める

アトリエスペースから中庭越しに食堂がある棟を眺める

アトリエスペースのサッシュとカーテンレールのディティール

アトリエスペース中庭側の開口部

アトリエスペースは、照明器具の検証や家具のサイズ感、所員のミーティングなどに活用されていたそうです

アアルトの仕事部屋を別角度で

ワークスペースと階段

ワークスペースより中庭を眺める

1Fの食堂。

Alvar Aalto(アルヴァーアアルト)の自邸からスタジオ・アアルトへ

自邸からスタジオへは徒歩で5分くらい。とても近所にあります。アアルトの自邸の竣工から20年後の1955年、自邸から歩いて10分ほどの場所に新しいスタジオをつくりました。ヘルシンキ工科大学やフィンランド国民年協会などの大規模プロジェクトを手がけはじめ、自邸の仕事場では手狭となってしまったためで、敷地の傾斜を活かしてつくられた中庭が広がるアトリエスペースには、パイミオチェアやスツール60、アルテックの名作椅子やテーブルがずらりと並んでおり、アアルトがデザインした照明や、曲げ木のサンプル、建築模型や貴重な図面も展示されています。 

アアルトスタジオの正面外観

アアルトスタジオの裏側

アアルトスタジオ、中庭からのビュー

アアルトスタジオ、食堂を外から眺める。

アアルトスタジオの中庭から眺める。左がワークスペース。

アアルトスタジオの中庭から眺める。正面がワークスペース

アアルトスタジオの隣地

 アアルトのスタジオの建築形状は、コの字型をしており1Fにアアルト財団のオフィス(昔はMTGスペース)と食堂、車庫、トイレがあり、スタジオの中枢であるワークスペースは全て2Fにあります。RCと組積と木造のハイブリッド構造です。傾斜地を巧みに活用して計画されていることもあり、中庭からだと1F部分が埋没して見えます。このランドスケープとの関係性がアアルトスタジオの魅力の一つになっています。

アアルトスタジオのサインプレート

1Fトイレの建具

1F食堂へ向かう廊下の照明

1Fの食堂。ここで食事をまかなっていたそうです。帆布がシェードになっていて美しい照明になっています。

2Fのワークスペース(製図室)。往年の状態で残されており、製図板や各種定規などの道具と当時の模型やドローイングを見ることができます。

天井が傾斜して片流屋根になっているのは、ハイサイドから差し込む太陽の光を天井に反射させて、室内を明るくするため。

2Fのアアルトの仕事部屋。作品展示と膨大なドローイングの原本が保管されています。

アアルトの仕事部屋の棚にある膨大なドローイングのアーカイブ

アトリエスペース。アアルトの石像や建築模型、スツール60をはじめとするartekのチェアやテーブルやパイオミチェアがずらりと並んでいます。

アトリエスペースから中庭を眺める

アトリエスペースから中庭越しに食堂がある棟を眺める

アトリエスペースのサッシュとカーテンレールのディティール

アトリエスペース中庭側の開口部

アトリエスペースは、照明器具の検証や家具のサイズ感、所員のミーティングなどに活用されていたそうです

アアルトの仕事部屋を別角度で

ワークスペースと階段

ワークスペースよりエントランス側を眺める

とても機能的で、働きやすい環境を腐心して創ったことがディティールからも見えてきます。このスタジオも自邸もフィンランド湾にほど近い場所にあり、ヘルシンキの中心地へも20分程度で行くことができます。この周りの環境と静粛さが相まって、このスタジオの魅力を生み出している部分も見逃せません。

 アアルトのアトリエ(スタジオ・アアルト)はガイドツアー(英語/€17)でのみ見学ができます。(火〜土曜/5月〜9月 11:30〜と12:30〜の2回/10月〜4月 11:30〜の1回)所要時間は約40分。ガイドツアーのあと、写真撮影や自由見学ができます。個人で見学する場合は予約は不要。

 

 

 

Helsinki / Porvoo 2017 Reported by Futoshi Hirasawa 
 

 

 

 

Helsinki / Porvoo 2017 Vol.03 | Alvar Aalto House

ヘルシンキ中心街から4番トラムに乗ります

4番トラムの車窓の風景。

4番トラムの車窓の風景。

Alvar Aalto(アルヴァーアアルト)の自邸正面

アアルト自邸の作業スペース。もともと自宅兼スタジオとして活用していたので、奥にライブラリースペースがあります。

アアルト自邸の作業スペースからダイニングへアクセスする引き戸。日本の建築からインスピレーションされたそう。

アアルト自邸。作業スペースから二階へのアクセスは暖炉を格納した階段で。その奥にライブラリーがあります。

アアルト自邸のダイニングエリア。

アアルト自邸のダイニングにあるピアノ。奥さんで同じ建築家のアイノ・マルシオのデザイン。自分のデザインのピアノがあるなんて素敵だなあと。

アアルト自邸のダイニング。スタジオスペースの反対側からのビュー。

アアルト自邸のダイニング。スタジオスペースの反対側から視点を変えて。

アアルト自邸のダイニングの書棚。

アアルト自邸のキッチンダイニング。意外と狭いですがとても機能的。

アアルト自邸のキッチン。ここは進入禁止エリアでした。

アアルト自邸の2階の子供部屋。

アアルト自邸の2階の寝室。

アアルト自邸の二階にあるラウンジ。冬の長い夜はここで過ごすことが多かったそうです。

アアルト自邸の二階にある、アアルト夫妻の寝室。

アアルト自邸の二階の窓。豊かな自然が広がっています。

アアルト自邸のライブラリースペース。

アアルト自邸のスタジオスペースにあるアアルトのデスク。ワーカーホリックではなかったようですが、近所にスタジオを移した後もここで仕事をすることが少なくなっかたようです。

スタジオスペースの別ビュー

アアルト自邸の収納。

アアルト自邸のラウンジエリア。座るとこんな感じ。

裏庭からの外観。木造と組積造のハイブリッドで粗い仕上がり。

アアルト自邸。裏庭からの外観。

アアルト自邸の外観。蔦で覆われてしまった壁。

アアルト自邸の正面側の外観。壁に隔てられており、勝手口といった感じ。

アアルト自邸ファサード面。

バーチ材の外壁のディティール。下端まで返しがあって丁寧な納まり。

Alvar Aalto(アルヴァーアアルト)を足跡を辿る

翌日は、Alvar Aalto(アルヴァーアアルト)の自邸とスタジオを見学にヘルシンキ郊外へ向かいました。モダニズムの巨匠の一人であるアルヴァーアアルトは、フィンランドが生んだ20世紀を代表する世界的な建築家、都市計画家、デザイナーであり、その活動は建築から家具、ガラス食器などの日用品のデザイン、絵画までと多岐に渡リます。 また、建築家、デザイナーとしての立ち位置に止まらず、プロダクトマニファクチャーである artek (アルテック) をパトロンや元所員と一緒に立ち上げたデザインプロデューサーとしての足跡も残しています。

Alvar Aalto(アルヴァーアアルト)の自邸

Alvar Aalto(アルヴァーアアルト)の自邸とスタジオを見学

アアルトの自邸は1935-36、アアルトが37歳の年に計画、建設されました。大学卒業後はしばらくユヴァスキュラやトゥルクなど地方都市を拠点として活動していましたが、仕事や家族に恵まれるようになり、ヘルシンキへの移住を考えるようになったそうです。アールトは、仕事に便利で自然環境にも恵まれた場所を探し、ヘルシンキ郊外のムンッキニエミという閑静なベイエリアに自邸を建てました。ヘルシンキの中心街からムンッキニエミ地区までは、4番トラムが直通しており停留所から歩いて2分くらいの場所にあります。

ヘルシンキ中心街から4番トラムに乗ります

4番トラムの車窓の風景。

停留所おり、歩いてアアルトの自邸へ

Alvar Aalto(アルヴァーアアルト)の自邸正面

アアルト自邸のスタジオスペース。もともと自宅兼スタジオとして活用していたので、奥にライブラリースペースがあります。

アアルト自邸のスタジオスペースからダイニングへアクセスする引き戸。日本の建築からインスピレーションされたそう。T型定規がオブジェのごとく飾られています。

アアルト自邸。スタジオスペースから二階へのアクセスは暖炉を格納した階段で。その奥にライブラリーがあります。

アアルトの自邸は、元々自宅兼スタジオとして建設されたので、エントランスから二手に分かれる動線になっており、一つはスタジオの前室へ、もう一つは自宅のダイニング&ラウンジの廊下へ繋がっています。非常に機能的。自宅兼スタジオは今でもデザイナーが独立するときのスタイルとして定番ですけど、大御所も御多分に洩れず、だったんですね。 

アアルト自邸のラウンジエリア。ガイドさんに説明してもらっています。

アアルト自邸のラウンジにあるピアノ。奥さんで同じ建築家のアイノ・マルシオのデザイン。自分のデザインのピアノがあるなんて素敵だなあと。

アアルト自邸のラウンジ。スタジオスペースの反対側からのビュー。

アアルト自邸のラウンジ。スタジオスペースの反対側から、別の角度のビュー。

アアルト自邸のラウンジ。スタジオスペースの反対側から視点を変えて。

アアルト自邸のラウンジの書棚。ダイニングスペースの間仕切り壁になっています。

アアルト自邸のキッチンダイニング。意外と狭いですがとても機能的。

アアルト自邸のキッチン。ここは進入禁止エリアでした。良いコンディションに保たれています。

アアルト自邸の2階の子供部屋。ベットの下は収納になっています。

アアルト自邸の2階の寝室。

アアルト自邸の二階にあるラウンジ。冬の長い夜はここで過ごすことが多かったそうです。

アアルト自邸の二階にある、アアルト夫妻の寝室。モダンなリビング。

アアルト自邸の二階の窓。

アアルト自邸のライブラリースペース。

アアルト自邸のスタジオスペースにあるアアルトのデスク。ワーカーホリックではなかったようですが、近所にスタジオを移した後もここで仕事をすることが少なくなっかたようです。

スタジオスペースの別ビュー。こじんまりとしたスタジオ。

アアルト自邸の収納。

アアルト自邸のラウンジエリア。座るとこんな感じ。

アアルト自邸のインテリアは、仕事が軌道に乗ってきた頃のアアルトの情熱を感じることができ、それまでの新古典主義的な作風から、モダニズムにシフトし、さらにモダニズムの空間に相反するフィンランドの伝統的材料である木材を用いることで、アールト独自のモダニズムのあり方を模索している感じが色濃く出ています。この後の作品は、ラウンドやアーチが多用されますが、これはサブネーム(偽名)であるアアルトの名前の意味(アアルトはSuomiで波という意味)から着想されているようです。

裏庭からの外観。木造と組積造のハイブリッドで粗い仕上がり。

アアルト自邸。裏庭からの外観。ブリックとバーチ材の外壁のコントラストが美しい家。

アアルト自邸の外観。蔦で覆われてしまった壁。

アアルト自邸の正面側の外観。壁に隔てられており、勝手口といった感じ。

アアルト自邸ファサード面。右側がスタジオスペース、左側が自宅スペースで自宅側は壁でプライバシーを考慮しています

バーチ材の外壁のディティール。軒下はトタンの波板。ランプシェードは住居表示のようです。

建築のデザインも空間同様、後のアアルトの作風を決定づけるモダニズムのアアルト的な解釈が随所に見て取れます。1935年当時の限られた建材を工夫して活用しており、端正なデザインだけど随所に工夫が詰まっていて情熱を感じます。ランドスケープとの連携、緩やかなプライバシーの確保など秀逸なプランニングから生み出される風景は、建築と空間が持つ根源的な価値を改めて感じ取ることができ、アアルトの偉大さが見て取れる住宅です。

Alvar Arlto kotitalo(アルヴァル・アアルト・コティタロ/アアルトの自邸)
住所:Riihitie 20, 00330 Helsinki
TEL:+358 9 481 350
メール予約先:riihitie (at) alvaraalto.fi
アクセス:アールトのアトリエから徒歩約15分/
トラム4「Laajalahden aukio」下車徒歩約5分
ガイド開始時間:火~土曜13:00~、14:00~、15:00~
(5~9月は16:00~も、さらに8月は17:00~も)
休館日:月曜(8月は無休、1月は土曜のみ催行)、12月
入場料:17ユーロ(学生8ユーロ)
※同日にアールト自邸も見学する場合のセット券は30ユーロ(学生14ユーロ)
※2017.8.30時点の情報です

 

 

Helsinki / Porvoo 2017 Reported by Futoshi Hirasawa