商業施設

Designcafe™ の主宰者、平澤太のブログです。デザイン考、ライフワーク、インサイト、旅行などを不定期に綴っています。

LOG ROAD DAIKANYAMA

2015年4月17日第一弾オープンした、LOG ROAD DAIKANYAMA(ログロード代官山)に、先日立ち寄ってきました。東横線・渋谷〜代官山間の地下化に伴い線路跡地化した全長220mの敷地を再開発して作られた都心型の商業施設です。

ログロード代官山に展開するショップは全部で3つで、コアテナントは、アメリカ西海岸の老舗セレクトモールFred Segal(フレッドシーガル。これが日本初上陸)。その他に、サンフランシスコの人気ベーカリーTARTINE BAKERY & CAFE(5月以降のオープン)、キリンビールの新しいクラフトビールブランドの旗艦店で新しいビールの価値を提供するSPRING VALLEY BREWERY TOKYO(スプリングバレーブルワリー東京)が展開されています。ランドスケープも四季折々の花と緑も楽しめる空間となっており、線路跡地の細長い敷地形状に併せて展開されている建築と相まって、散歩するには丁度いい環境です。

ログロード代官山 | 代官山側からの入口サイン

SPRING VALLEY BREWERY TOKYO(スプリングバレーブルワリー東京)

代官山側から入ると手前にあるのが、SPRING VALLEY BREWERY TOKYO(スプリングバレーブルワリー東京)。ブルワリーというだけあってここで作ったビールをそのまま提供できるキリンビールの旗艦店。レギュラーのクラフトビール6種に加えて限定ビールや実験的なビールもラインアップしており、ビール好きにはたまらないです。この日は気温も高かったので長蛇の列が出来ていたので入るのは断念しました。

ログロード代官山 | 代官山側からの眺め

LOG ROAD DAIKANYAMA(ログロード代官山)内のFred Segal(フレッドシーガル)

LOG ROAD DAIKANYAMA(ログロード代官山)

LOG ROAD DAIKANYAMA(ログロード代官山)内のFred Segal(フレッドシーガル)

LOG ROAD DAIKANYAMA(ログロード代官山)内のFred Segal(フレッドシーガル)

LOG ROAD DAIKANYAMA(ログロード代官山)内のFred Segal(フレッドシーガル)

コアテナントであるFred Segalは、3つの建物とキッチンカーで構成されていてMart、Man、Womanに分かれています。セレクトショップですが、代官山という場所柄かなり絞り込んだエッジなMDです。

女性向けの「フレッド シーガル ウーマン」は“密かな贅沢”をコンセプトに、ウェア、コスメ、ライフスタイル雑貨を展開。 男性へ向けた「フレッド シーガル マン」は“好奇心に満ちた大人の男性のニーズとライフスタイルを満たす”をコンセプトに、アメリカ西海岸をイメージしたエフォートレス&ノームコアなウェアを中心にセレクトしており、ウェアの他にシューズ、ステーショナリーなどの雑貨を取り揃えています。2階の開放感あふれるラウンジテラスの迎えには、ミリタリーウェアやマグカップなどのヴィンテージアイテムが展開していて趣向性の高い構成。「ザ・マート・アット・フレッド・シーガル」には、米国ポートランドで人気の「カムデンズ ブルー ☆ ドーナツ」が日本初出店。アメリカでも話題のドーナッツ屋さんと言う事もあって売り切れ続出。運良くチョコレートのシンプルなドーナッツが購入出来ましたが噂通りでとても美味しかったです。

LOG ROAD DAIKANYAMA(ログロード代官山)内のFred Segal(フレッドシーガル)

「開放感溢れ、風格のある別荘地を訪れたときに感じるような清々しさや、穏やかな気持ち、思わず深呼吸したくなるくつろぎ感」をイメージし、「代官山の街自体のブランド価値を高める存在となる施設でありたい」

というプレスリリースに違わない、都心のオアシスのような施設です。元々東急東横線で意識的に分断されていたエリアの再開発であり、南北エリアを繋げるのみならず、シンプルな矩形の建築が点在する事で意図的に脚を運ばせるような創りに共感を覚えました。コストコンシャスに押さえられたサイトデザイン・建築デザインですが、渋谷・代官山・恵比寿をクロスオーバーするエリアで暮らす&働く人たちの充足を得る為の仕掛け(集い、憩い、刺激)が整っています。小さい施設ですが、次回はうちのピエール(愛犬)と一緒に行きたいです。

ログロード代官山(LOG ROAD DAIKANYAMA)
オープン日:2015年4月17日(金)
敷地面積:約3,200㎡
建築面積:約1,300㎡
店舗延床面積:約1,900㎡
場所:東京都渋谷区代官山町13ほか
店舗棟数:5棟
最寄り駅:東横線「代官山駅」より徒歩4分、JR恵比寿駅より徒歩9分
テナント:フレッド シーガル、スプリングバレーブルワリー東京、タルティーン ベーカリー&カフェ

人気ブログランキングへ

ニッチな高架下施設。mAAch ecute (マーチ・エキュート)

昨年完成した mAAch ecute 神田万世橋 (マーチ・エキュート)に行ってきました。完成時に行きたかったのです、繁忙期で逃してしまい2月にようやく行くことができました。近いのに・・mAAch ecuteは、かつて中央線神田~御茶ノ水間に存在し、31年間利用された旧万世橋駅の階段やプラットホームといった遺構を生かし、JR東日本、JR東日本ステーションリテイリング、東日本鉄道文化財団が再開発した全11ショップからなる商業施設です。遺構と商業施設(といってもかなりコンパクトな施設ですが)のコンプレックスというアイデアが面白く、完成当時はかなり注目を集めましたよね。

階段やプラットホームといった遺構が見学できるように「再生」されており、施設と商業エリアが一体化しているのが特徴な訳ですが、中に展開しているショップも食を中心としながらも生活雑貨や地方の名産品も売られておりかなり異色である事は間違いありません。以下関係者概要説明の引用ですが

「マーチエキュート神田万世橋」は、中央線神田~御茶ノ水間の旧万世橋駅遺構と一体化した商業施設。内覧会では、JR東日本ステーションリテイリング代表取締役社長、三井剛氏が施設概要を説明した。「9月14日、かつて旧万世橋駅、その後の交通博物館があったこの地、神田須田町に、『マーチエキュート神田万世橋』が『再生』します」と三井氏。万世橋駅開業から100年にわたる歴史・文化を大事にし、残された遺構を最大限に活用した施設として「再生」させたいとの思いがあるという。 同施設の開発コンセプトは「万世橋駅サロン」。鉄道遺構の魅力を生かしつつ、神田川に面した「ノースコリドー」、JR神田万世橋ビルに面した「サウスコリドー」に、趣味性・嗜好性の高い常設ショップと期間限定ショップがそろう。「100年前からの歴史的価値と、これから提供する新しい価値が融合した、唯一無二のサロンになってほしい」と三井氏は述べた。
神田の旧万世橋駅”再生”、9/14開業「マーチエキュート神田万世橋」 | マイナビニュース

かなり意欲的な部分が窺い知れます。実際JR系の開発会社は意欲的な開発を行っています。エキナカの概念を作ったecute然り、アルチザン=職人の街として栄えてきた秋葉原ー御徒町エリアに工房を併設したショップやものづくりの体験が出来る”情報の集積場”としての機能を持たせた2k540 AKI-OKA ARTISANも然り、中央線阿佐ヶ谷駅から高円寺駅にかけての高架下開発でアニメーション制作会社が多い杉並区という“アニメを生む街”の土地柄を活かしたスポットとして計画された阿佐ヶ谷アニメストリート然り、その豊富な鉄道施設のストック(高架下やエキナカのような遊休してた空間)を活用する開発が目立ってきました。 ただ、近年の特徴はその活用する目的が非常にニッチになってきている事。

主に倉庫や駐車場として利用され、殺風景な印象もある鉄道高架下の再開発が進んでいる。地域の特性を生かしてアニメ関連や工芸品の専門店街を展開したり、スポーツジムを設けたりと多様だ。鉄道各社は魅力的な空間に変身させることで、駅ナカ(駅構内の商業施設)のような集客効果を狙っている。・・・これまで駅チカ(駅の地下街)や駅ナカの飲食施設などの充実に力を入れていたが、「高架下の積極活用や暗いイメージの払拭にまでは気が回らず、後回しになっていた」(業界関係者)

まあ、わかり易いですよね。高架下を駐車場などの不動産的な価値として捉えるよりも、特定的で副次的な産物(賑わいや物流)を生み出した方が、鉄道会社にとっても遥かに効率的でベネフィットがありますから。今のところこのニッチな施設への流れは都心に限られている様ですが、高架下の利用で最も多い「駐車場」と「レンタル納戸」の稼働率(平均15%と言われている)を鑑みると、まだまだ加速しそうです。私鉄各社も身を乗り出して開発していますし、ローカライズされた魅力のある商業施設・文化施設・スポーツ施設に転用出来れば新築で一から創るよりも遥かに低いコストで創る事ができます(構造体の下に建造するので雨仕舞いの簡素化が期待出来る)し、開発余地が大きいですね。