建築旅行

Designcafe™ の主宰者、平澤太のブログです。デザイン考、ライフワーク、インサイト、旅行などを不定期に綴っています。

臺北、淡水、臺中 2018_Vol.08|國立臺灣大學社會科學院 COSS、辜振甫記念図書館

グリッドとヴォイドで構成された高層部と植物のアルゴリズムから構造を導いた図書館。

台湾4日目は、台中国家歌劇院に引き続き伊東豊雄さんの建築「國立臺灣大學社會科學院 COSS、辜振甫記念図書館」へ。国立台湾大学は、日本の植民地時代の旧帝国大学が前身で、戦後接収されそのまま大学として使われていますが、2005年に施設の老朽化や諸事情の中、社会学部棟+キャンパスとしてオープンした建築です。この施設は、台湾の財界人の重鎮、辜振甫氏を筆頭に200人以上の卒業生からの寄付で建設されました。

国立台湾大学のキャンバス。広大な敷地にヤシの植栽が規則正しく植栽されていて気持ちの良い環境です

国立台湾大学のキャンバス。広大な敷地にヤシの植栽が規則正しく植栽されていて気持ちの良い環境です

国立台湾大学社会学部棟+辜振甫記念図書館の全景。奥側の高層部が社会学部棟、手前の低層の建築が辜振甫記念図書館。

国立台湾大学社会学部棟+辜振甫記念図書館の全景。奥側の高層部が社会学部棟、手前の低層の建築が辜振甫記念図書館。

国立台湾大学社会学部棟+辜振甫記念図書館を敷地左側から。シンボルとなる図書館棟は、植物の成長アルゴリズムから導いたデザイン。

国立台湾大学社会学部棟+辜振甫記念図書館を敷地左側から。シンボルとなる図書館棟は、植物の成長アルゴリズムから導いたデザイン。

国立台湾大学社会学部棟+辜振甫記念図書館を敷地右側から。植物のアルゴリズムはフラクタルな形状ではなく不規則で動的なデザイン。

国立台湾大学社会学部棟+辜振甫記念図書館を敷地右側から。植物のアルゴリズムはフラクタルな形状ではなく不規則で動的なデザイン。

辜振甫記念図書館から前庭を眺める。

辜振甫記念図書館から前庭を眺める。

国立台湾大学社会学部棟(左)とキャンバス。グリッドとボイドで規則正しい印象で図書館棟とは対照的。

国立台湾大学社会学部棟(左)とキャンバス。グリッドとボイドで規則正しい印象で図書館棟とは対照的。

国立台湾大学社会学部棟+辜振甫記念図書館。鉄筋コンクリートの屋根部のディティールが超絶的

国立台湾大学社会学部棟+辜振甫記念図書館。鉄筋コンクリートの屋根部のディティールが超絶的。外部から眺める。

国立台湾大学社会学部棟+辜振甫記念図書館の全景。奥側の高層部が社会学部棟、手前の低層の建築が辜振甫記念図書館。

国立台湾大学社会学部棟+辜振甫記念図書館の全景。奥側の高層部が社会学部棟、手前の低層の建築が辜振甫記念図書館。

国立台湾大学社会学部棟+辜振甫記念図書館。学部棟の1Fは職員室とラウンジ、学習室で構成されています。

国立台湾大学社会学部棟+辜振甫記念図書館。学部棟の1Fは職員室とラウンジ、学習室で構成されています。

国立台湾大学社会学部棟+辜振甫記念図書館。鉄筋コンクリートの屋根部のディティールが超絶的。不規則な形状はアルゴリズムから。

国立台湾大学社会学部棟+辜振甫記念図書館。鉄筋コンクリートの屋根部のディティールが超絶的。不規則な形状はアルゴリズムから。

国立台湾大学社会学部棟+辜振甫記念図書館。ライブラリーの書架をはじめとした家具デザインは藤江和子さんの手によるもの。

国立台湾大学社会学部棟+辜振甫記念図書館。ライブラリーの書架をはじめとした家具デザインは藤江和子さんの手によるもの。

国立台湾大学社会学部棟+辜振甫記念図書館。ライブラリーの書架は二種類の高さで構成され、外光に面した部分に自習用のデスクが並んでいます。

国立台湾大学社会学部棟+辜振甫記念図書館。ライブラリーの書架は二種類の高さで構成され、外光に面した部分に自習用のデスクが並んでいます。

国立台湾大学社会学部棟+辜振甫記念図書館。ライブラリーの書架を含めたレイアウトはスパイラル状に計画され、植物のアルゴリズムから導かれた柱脚と織りなすように並んでいます。

国立台湾大学社会学部棟+辜振甫記念図書館。ライブラリーの書架を含めたレイアウトはスパイラル状に計画され、植物のアルゴリズムから導かれた柱脚と織りなすように並んでいます。

国立台湾大学社会学部棟+辜振甫記念図書館。照明はつり下げ式の間接照明でアンビエントな印象の照明計画。違和感がありません。

国立台湾大学社会学部棟+辜振甫記念図書館。照明はつり下げ式の間接照明でアンビエントな印象の照明計画。違和感がありません。

国立台湾大学社会学部棟+辜振甫記念図書館。ライブラリーの書架はバンブーの集成材で作られています。なかなか贅沢。

国立台湾大学社会学部棟+辜振甫記念図書館。ライブラリーの書架はバンブーの集成材で作られています。なかなか贅沢。

国立台湾大学社会学部棟+辜振甫記念図書館。レイアウトはスパイラル状に計画されているのがよくわかる一枚。

国立台湾大学社会学部棟+辜振甫記念図書館。レイアウトはスパイラル状に計画されているのがよくわかる一枚。

国立台湾大学社会学部棟+辜振甫記念図書館。ライブラリーの書架を含めたレイアウトはスパイラル状に計画され、植物のアルゴリズムから導かれた柱脚と織りなすように並んでいます。

国立台湾大学社会学部棟+辜振甫記念図書館。ライブラリーの書架を含めたレイアウトはスパイラル状に計画され、植物のアルゴリズムから導かれた柱脚と織りなすように並んでいます。

国立台湾大学社会学部棟+辜振甫記念図書館。スパイラル状に計画された書架、植物のアルゴリズムから導かれた不規則な柱脚の関係性に圧倒されます。

国立台湾大学社会学部棟+辜振甫記念図書館。スパイラル状に計画された書架、植物のアルゴリズムから導かれた不規則な柱脚の関係性に圧倒されます。

国立台湾大学社会学部棟+辜振甫記念図書館。社会学部棟から入場するとこんな感じに見えてきます。

国立台湾大学社会学部棟+辜振甫記念図書館。社会学部棟から入場するとこんな感じに見えてきます。

国立台湾大学社会学部棟+辜振甫記念図書館。窓辺の自習スペース。目的に合わせて椅子やチェア、スツールが配置されていて開放的な雰囲気にマッチしています。羨ましい限り。

国立台湾大学社会学部棟+辜振甫記念図書館。窓辺の自習スペース。目的に合わせて椅子やチェア、スツールが配置されていて開放的な雰囲気にマッチしています。

国立台湾大学のキャンバス。よく手入れの行き届いたガーデン。

国立台湾大学のキャンバス。よく手入れの行き届いたガーデン。

国立台湾大学のキャンバス。広大な敷地にヤシの植栽が規則正しく植栽されていて気持ちの良い環境です

国立台湾大学のキャンバス。広大な敷地にヤシの植栽が規則正しく植栽されていて気持ちの良い環境です

国立台湾大学社会学部棟は、グリッドで規則正しい印象でヴォイドで中空フロアーを作ることでコミュニティーと学部内の人の導線をうまくコントロールしていて、非常に機能的。辜振甫記念図書館はこの施設のシンボルとなるべく、植物(ハスかな?)のアルゴリズムから導き出した構造(スパイラルと逆スパイラル)で規則性がありそうでない、ハスが自生しているような感覚を覚える建築です。雨水を還流させ、床下に流し込むことで得られる輻射冷房を採用しているそうで、見た目以上に先進的。アンビエントとタスクを使い分けた照明計画といい、スパイラルでいかにも使いやすそうな書架と言い、デザインと機能のバランスが素晴らしい建築でした。

キャンバス内は一部のセキュアゾーンを除くと自由に出入りができ、辜振甫記念図書館はパスポートの提示をすれば15分間の見学と写真撮影が許されます。台湾に建築を観に行く人たちにとっては台中国家歌劇院と並んで見学マストな建築です。

 

台湾大学社会科学部棟
辜振甫先生紀念圖書館
住所:台北市大安區羅斯福路四段一號
図書館開放時間:月~金8:20~21:00、土9:00~17:00、日休み

 

 

臺北、淡水、臺中 2018 Reported by Futoshi Hirasawa

臺北淡水、臺中 2018_Vol.01|天成文旅 華山町 Hua Shan Din by Cosmos Creation
臺北淡水、臺中 2018_Vol.02|華山1914文創園區(華山1914
文創園区)
臺北、淡水、臺中 2018_Vol.03|雲門劇場 Cloud Gate Theater、淡水老街、漁人碼頭
臺北、淡水、臺中 2018_Vol.04|臺北市立圖書館北投分館、北投温泉
臺北、淡水、臺中 2018_Vol.05|台中駅、台中国家歌劇院
臺北、淡水、臺中 2018_Vol.06|台中市円形野外劇場、国立台湾美術館、宮原眼科
臺北、淡水、臺中 2018_Vol.07|Home Hotel DaAn
臺北、淡水、臺中 2018_Vol.08|國立臺灣大學社會科學院 COSS、辜振甫記念図書館
臺北、淡水、臺中 2018_Vol.09|松山文創園區(松山文創園区)
臺北、淡水、臺中 2018_Vol.10|在鎮和台灣用餐 街と台湾での食事

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臺北、淡水、臺中 2018_Vol.06|台中市円形野外劇場、国立台湾美術館、宮原眼科

RIBBONs / 台中市円形野外劇場がある文心森林公園のランドスケープ。アプローチがとてもユニークです。

RIBBONs / 台中市円形野外劇場がある文心森林公園。都会のオアシスといった様相で、スプリンクラーが忙しく回っていました。

RIBBONs / 台中市円形野外劇場がある文心森林公園のランドスケープ。公園と野外劇場がセットになって計画されており、とても複雑な導線。

国立台湾美術館のファサード。

国立台湾美術館のアプローチ

国立台湾美術館。敷地から見たビュー

国立台湾美術館。敷地から見たビューを別角度で。

国立台湾美術館のエントランスサイン。

国立台湾美術館。エントランス上部のオブジェ

国立台湾美術館。アネックス側を眺める

国立台湾美術館。1Fのアトリウム

国立台湾美術館、1Fのインフォメーションカウンター

国立台湾美術館。アトリウムのオブジェ。

国立台湾美術館で開催されていたビデオアート展

国立台湾美術館で開催されていたビデオアート展

国立台湾美術館で開催されていたビデオアート展。6組のアーティストが異なるアプローチで作品を展開していました

国立台湾美術館。離れのような展示棟

宮原眼科のファサード全景

宮原眼科の1Fの道路側はイートインのアイスクリームショップがあり通路が可愛くデコレーションされています

宮原眼科。1Fのテイクアウトストア。たくさんのお土産用のスイーツが並んでいます。

宮原眼科、2Fのスイーツパーラー。ここで休憩。

宮原眼科のエントランス

(ちょっとぶれていますが)宮原眼科の1Fショップディスプレイ

宮原眼科のショップディスプレイ。階段エリア。

RIBBONs / 台中市円形野外劇場

台中市円形野外劇場の正面外観

RIBBONs / 台中市円形野外劇場。中国の伝統舞踊であるリボンダンスをモチーフにした屋外劇場

文心森林公園の敷地内にある特徴的なフォルムの野外劇場で、設計は渡辺誠と楊瑞禎聯合建築師事務所。アルゴリズムに精通し、コンピュータ・プログラムによる形態発生を手法として本格的に取り入れた作品も設計する彼の海外建築では比較的新しく、2009年に竣工。

中国の伝統的なリボンダンスをアルゴリズミックに5枚の天蓋で構成されていて、見る角度やビューによって差異が生まれます。芸術の街、台中にふさわしい野外劇場です。

台中市円形野外劇場の正面外観2

RIBBONs / 台中市円形野外劇場。中国の伝統舞踊であるリボンダンスをモチーフにした屋外劇場

RIBBONs / 台中市円形野外劇場がある文心森林公園のランドスケープ。アプローチがとてもユニークです。

RIBBONs / 台中市円形野外劇場がある文心森林公園のランドスケープ。

RIBBONs / 台中市円形野外劇場がある文心森林公園。都会のオアシスといった様相で、スプリンクラーが忙しく回っていました。

RIBBONs / 台中市円形野外劇場がある文心森林公園のランドスケープ。

RIBBONs / 台中市円形野外劇場がある文心森林公園のランドスケープ。公園と野外劇場がセットになって計画されており、とても複雑な導線。

憩いの場として60種類あまりの植栽、複雑で高低差のある公園と組み合わさることで、ダイナミックな景観を生み出しています。思ったよりはコンパクトな公園でしたが年中暑い台中の人たちにとってはとても大切な場ですね。

RIBBONs / 台中市円形野外劇場
住所:台中市南屯区文心路一段289号 
電話:+886-4-23806458
ファックス:+886-4-22202480
公式サイト

国立台湾美術館 National Taiwan Museum of Fine Arts

国立台湾美術館

国立台湾美術館のファサード。

台湾を代表するコンテンポラリーアートを所蔵する国立台湾美術館。設計は、台湾を代表する4組のアーキテクト、太嶽建築師事務所、張哲夫建築師事務所、餘弦建築師事務所、與陳柏昇建築師事務所がそれぞれ担当してます。ライムストーンのようなタイル状の石材をふんだんに使用したファサードは、モダンだけどとても重厚感があります。本館の構成は、1階と2階はテーマ別の企画展を、3階は美術館が所有するコレクションの常設展を開催していて、1Fにはミュージアムショップも併設しています。チームラボが台湾で初めてエキシビションを行なった美術館としても有名です。

国立台湾美術館のアプローチ

国立台湾美術館のアプローチ

国立台湾美術館。敷地から見たビュー

国立台湾美術館。敷地から見たビュー

国立台湾美術館。敷地から見たビューを別角度で。

国立台湾美術館。敷地から見たビューを別角度で。

国立台湾美術館のエントランスサイン

国立台湾美術館のエントランスサイン

国立台湾美術館。エントランス上部のオブジェ

国立台湾美術館。エントランス上部のオブジェ

国立台湾美術館。アネックス側を眺める

国立台湾美術館。アネックス側を眺める

国立台湾美術館、1Fのインフォメーションカウンター

国立台湾美術館、1Fのインフォメーションカウンター

国立台湾美術館。1Fのアトリウム

国立台湾美術館。1Fのアトリウム

国立台湾美術館。アトリウムのオブジェ。

国立台湾美術館。アトリウムのオブジェ。

国立台湾美術館で開催されていたビデオアート展

国立台湾美術館。別館で開催されていたビデオアート展

国立台湾美術館で開催されていたビデオアート展

国立台湾美術館で開催されていたビデオアート展

国立台湾美術館で開催されていたビデオアート展。6組のアーティストが異なるアプローチで作品を展開していました

国立台湾美術館で開催されていたビデオアート展。6組のアーティストが異なるアプローチで作品を展開していました

国立台湾美術館。離れのような展示棟

国立台湾美術館。離れのような展示棟

どことなく上野の国立西洋美術館に様相が似ているのですが、台湾の真ん中である台中に集約して造られた施設だけに施設的にはこちらの方が大規模です。常設展は基本無料で良心的。敷地も広大で高校生が木陰で涼んだりととてものどかな感じでとても良かったです。

国立台湾美術館
竣工:1988年/2004年
場所:403台湾台中市西區五權西路一段2號[地図
公式HP:国立台湾美術館

宮原眼科

宮原眼科のファサード全景

宮原眼科のファサード全景。2008年に半壊した建物をコンバージョンし、現在の姿に。

中国の最高国家行政機関国務院の任命で開業した日本人医師である宮原武熊が開業したの眼科。台湾統治が終焉した後は台中市衛生院として使用し、現在はこの建物のヘリテージを生かしたスイーツとパーラーショップとして生まれ変わっています。ここに限らず、台湾は上手にコンバージョンして建築を蘇生させていることが多くその典型的な例です。

宮原眼科のファサードを別角度で眺める

宮原眼科のファサードを別角度で眺める

宮原眼科の1Fの道路側はイートインのアイスクリームショップがあり通路が可愛くデコレーションされています

宮原眼科の1Fの道路側はイートインのアイスクリームショップがあり通路が可愛くデコレーションされています。

宮原眼科。1Fのテイクアウトストア。たくさんのお土産用のスイーツが並んでいます。

宮原眼科。1Fのテイクアウトストア。たくさんのお土産用のスイーツが並んでいます。

宮原眼科、2Fのスイーツパーラー。ここで休憩。

宮原眼科、2Fのスイーツパーラー。ここで休憩。

宮原眼科のエントランス

宮原眼科のエントランス

宮原眼科の1Fショップディスプレイ

(ちょっとぶれていますが)宮原眼科の1Fショップディスプレイ

宮原眼科のショップディスプレイ。階段エリア。

宮原眼科のショップディスプレイ。階段エリア。

美味しいアイスクリームが売りという事とファンタジックなディスプレイが相まって、国内外の観光客でとても賑わっていました。観光地でインスタスポットのようなイメージ(笑)。アイスクリームがとても美味しく、この辺りの下りはまた後日書きます。

宮原眼科
場所:400台湾台中市中區中山路20號[地図
交通:臺中駅 徒歩10分
公式HP:宮原眼科

 

臺北、淡水、臺中 2018 Reported by Futoshi Hirasawa

臺北淡水、臺中 2018_Vol.01|天成文旅 華山町 Hua Shan Din by Cosmos Creation
臺北淡水、臺中 2018_Vol.02|華山1914文創園區(華山1914
文創園区)
臺北、淡水、臺中 2018_Vol.03|雲門劇場 Cloud Gate Theater、淡水老街、漁人碼頭
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臺北、淡水、臺中 2018_Vol.05|台中駅、台中国家歌劇院
臺北、淡水、臺中 2018_Vol.06|台中市円形野外劇場、国立台湾美術館、宮原眼科
臺北、淡水、臺中 2018_Vol.07|Home Hotel DaAn
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臺北、淡水、臺中 2018_Vol.09|松山文創園區(松山文創園区)
臺北、淡水、臺中 2018_Vol.10|在鎮和台灣用餐 街と台湾での食事

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Madrid_2018_Vol.10|Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía _ Caixa Forum Madrid

国立ソフィア王妃芸術センター Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía

ポルトガルから通算5日目、マドリッドの二日目午前中にソフィア王妃芸術センター(Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía、MNCARS))へ現国王の母でフアン・カルロス1世の王妃ソフィアにちなんで名付けられた現代美術を中心にキュレーションされた美術館です。

旧館と新館の二つの建物から構成されていて、旧館でメインのサバティーニ館はイタリアの建築家フランチェスコ・サバティーニが設計した病院をリノベーションして美術館とし、2005年にフランスの建築家ジャン・ヌーヴェルの設計による新館が増築されています。新館は、大屋根によって生まれたセンターコート(中庭)、現代美術の企画展示室、ファウンデーションのバックオフィス、ライブラリー、カフェ、ミュージアムショップで構成されていて、センターコートを取り囲むように構成されています。 ピカソ、ダリ、ミロなど作品を数多く所蔵している事で有名であり、そのほとんどはサバティーニ館にあります。ピカソの代表作『ゲルニカ』は、プラド美術館別館から本美術館に移されていて、プラド美術館との棲み分けも図られています。

国立ソフィア王妃芸術センター新館 Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía。設計はジャン・ヌーヴェル。

国立ソフィア王妃芸術センター新館。薄くて巨大な大屋根が印象的な建築。

国立ソフィア王妃芸術センター新館 Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía。テーパーエッジの屋根の稜線が旧館のモールドと揃っていて美しい納まり。

国立ソフィア王妃芸術センター新館 Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía。巨大なサインボード。

国立ソフィア王妃芸術センター新館 Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía。左側がサインボード、右側が旧館。新館側は、この巨大な隙間から誘うように構成されています。

国立ソフィア王妃芸術センター新館 Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía。センターコート。巨大で厚みのあるトップライトと細くて規律のある柱の対比がドラマティックです。

国立ソフィア王妃芸術センター新館 Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía。センターコート。トップライトの明るさは建築のダークな色彩の影響もあって抑制された感じ。

国立ソフィア王妃芸術センター新館 Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía。旧館との対比。新館の大屋根がおおい尽くすような印象を生み出し、軒線と旧館に隙間を作ることで個としての建築のキャラクターを際立てています。このビューが個人的にはとても好きです。

タシットナレッジ(暗黙知)を逆手にとるような建築で、本来厚みのある部分を薄く細く、ボリュームの無い部分にボリュームを持たせるなど、対比による印象が強く残るように意識されたデザイン。印象的な大屋根も薄い軒線を生みだすためにテーパー構造になっていて、内側に入り込むほど厚みが増すように設計されています。この稜線とも言える薄さが肝で旧館のモールディングのラインと添わせ、若干の隙間を生む事で建築としての個のキャラクターを際立たせています。テーパー構造になると内側に厚みを取らないといけない(この部分にキャンテー構造で梁が内包されている)ため、トップライトの部分に厚みが現れヒューマンスケールを超えたダイナミックさを同時に生みだすことに成功しています。流石です。

国立ソフィア王妃芸術センター新館 Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía。新館のライブラリー。

国立ソフィア王妃芸術センター新館 Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía。展望エリアへ直行するエレベーター。

国立ソフィア王妃芸術センター新館 Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía。新館1Fのトイレ。

国立ソフィア王妃芸術センター新館 Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía。3F旧館との接合部

国立ソフィア王妃芸術センター新館 Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía。新館オフィスエリア

国立ソフィア王妃芸術センター新館 Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía。展望エリア

国立ソフィア王妃芸術センター新館 Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía。展望エリア

国立ソフィア王妃芸術センター新館 Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía。展望エリア

国立ソフィア王妃芸術センター新館 Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía。展望エリアから見た旧館

国立ソフィア王妃芸術センター新館 Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía。展望エリアから見たアトーチャ通り、アトーチャ駅舎。

国立ソフィア王妃芸術センター新館 Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía。展望エリア、オフィス側を眺める

国立ソフィア王妃芸術センター新館 Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía。展望エリア大屋根の厚みがいかに厚いかわかる部分。

国立ソフィア王妃芸術センター新館 Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía。旧館側から新館への接合部とそのサイン

国立ソフィア王妃芸術センター新館 Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía。旧館のコリドール。

国立ソフィア王妃芸術センター新館 Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía。

国立ソフィア王妃芸術センター新館 Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía。旧館のエレベーター。

国立ソフィア王妃芸術センター新館 Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía。旧館のエレベーター。

国立ソフィア王妃芸術センター新館 Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía。旧館の3Fのコリドール。ゲルニカが所蔵されているフロア。

国立ソフィア王妃芸術センター新館 Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía。新館側のエントランスチケットセンター。

国立ソフィア王妃芸術センター新館 Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía。旧館側のファサード。有名なビューです。

国立ソフィア王妃芸術センター新館 Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía。旧館側のファサード。有名なビューです。

元々病院ということもあり、窓から日差しが入る明るい旧館と大屋根に覆われた薄暗い新館という対比構図も面白く、通常殆どの人が旧館側からチェックインする事を考えると、名作に触れた後に新館に訪れる事で感じるダイナミックな印象は驚きをもって感じるはずです。

国立ソフィア王妃芸術センター
Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía
Calle de Santa Isabel, 52, 28012 Madrid, スペイン

カイシャ・フォーラム・マドリッド Caixa Forum Madrid

カイシャ・フォーラム・マドリッド Caixa Forum Madrid。スイス人建築家グループのヘルツオーク&ドムーロン Herzog & de Meuron

カイシャ・フォーラム・マドリッド Caixa Forum Madrid。スイス人建築家グループのヘルツオーク&ドムーロン Herzog & de Meuron。右側のバーチカルグリーンの建物は、別の建物。

スペインの大手銀行、カイシャ(Caixa)財団の文化施設がこのカイシャ・フォーラム。バルセロナ(こちらは磯崎新の設計で2015年の研修旅行で訪れています)に続き二件目の施設で、2001年より廃墟と化していたメディオディア電気公社の跡地を同社が購入し、展覧会などを行なう文化施設にコンバージョンしました。手がけたのはスイス人建築家ユニットのヘルツォーク&ド・ムーロン(Herzog & De Meuron)。東京だと青山のプラダが有名です。

界隈には前述の国立ソフィア王妃芸術センター、プラド美術館、ティッセン=ボルネミッサ美術館があり、点で結んだ時にその中心地に位置する絶好のロケーション。カイシャフォーラム自体が、時代やジャンルにとらわれずボーダレスなソーシャルデザインを社会に投げかけ、問題提起し、考察する事を主観においている施設なので、様々な企画展が催されています。面積2,000平米以上の敷地に、展示室、322席のホール、メディアライブラリー、講演会やその他の活動に使用できる複数の多目的ルーム、保存・修復工房、芸術作品倉庫があり、アートやソーシャルデザインのハブとして機能するように計画されています。

カイシャ・フォーラム・マドリッド Caixa Forum Madrid。スイス人建築家グループのヘルツオーク&ドムーロン Herzog & de Meuron。前庭にあるサイン。

カイシャ・フォーラム・マドリッド Caixa Forum Madrid。スイス人建築家グループのヘルツオーク&ドムーロン Herzog & de Meuron。

カイシャ・フォーラム・マドリッド Caixa Forum Madrid。スイス人建築家グループのヘルツオーク&ドムーロン Herzog & de Meuron。メディオディア電気公社の建築に積み増すするようにボリュームを加えた構造。

カイシャ・フォーラム・マドリッド Caixa Forum Madrid。スイス人建築家グループのヘルツオーク&ドムーロン Herzog & de Meuron。メディオディア電気公社の建築に積み増すするようにボリュームを加えた構造。反対面はこんな感じ。

カイシャ・フォーラム・マドリッド Caixa Forum Madrid。スイス人建築家グループのヘルツオーク&ドムーロン Herzog & de Meuron。メディオディア電気公社の建築に積み増すするようにボリュームを加えた構造。ディティール。

カイシャ・フォーラム・マドリッド Caixa Forum Madrid。スイス人建築家グループのヘルツオーク&ドムーロン Herzog & de Meuron。メディオディア電気公社の建築に積み増すするようにボリュームを加えた構造。一階部分は駐車場になっています。

カイシャ・フォーラム・マドリッド Caixa Forum Madrid。スイス人建築家グループのヘルツオーク&ドムーロン Herzog & de Meuron。メディオディア電気公社の建築に積み増すするようにボリュームを加えた構造。反対面。

カイシャ・フォーラム・マドリッド Caixa Forum Madrid。スイス人建築家グループのヘルツオーク&ドムーロン Herzog & de Meuron。2Fのチケットカウンターとミュジアムショップ。スケルトンの天井、アルミの階段でハイテックな印象。

カイシャ・フォーラム・マドリッド Caixa Forum Madrid。スイス人建築家グループのヘルツオーク&ドムーロン Herzog & de Meuron。階段部分。

カイシャ・フォーラム・マドリッド Caixa Forum Madrid。スイス人建築家グループのヘルツオーク&ドムーロン Herzog & de Meuron。2階のチケットカウンター。

カイシャ・フォーラム・マドリッド Caixa Forum Madrid。スイス人建築家グループのヘルツオーク&ドムーロン Herzog & de Meuron。1階のウェルカムウール的なリボンビジョン。

カイシャ・フォーラム・マドリッド Caixa Forum Madrid。スイス人建築家グループのヘルツオーク&ドムーロン Herzog & de Meuron。1階のウェルカムウール的なリボンビジョン。この日は企画展でウオーホルが開催していたので、このビジュアルが幾度となく映されていました

カイシャ・フォーラムのバルセロナと比べても、コンバージョンのボリュームを地階においてグランドライン(地上)から上は殆ど手付かず(見た目的には以前と変わらない)磯崎新プランに対して、マドリッドのヘルツオーク&ドムーロンのプランは真逆の上層階に積み増しし、建築としてのキャラクターとして表層的な差異を表現しています。

表層的な部分でしか建築の表現が難しくなっている現代建築においては、時間的コスト的な制約で地階のボリュームで勝負するよりも、このマドリッドのように上層に積み上げたほうが現実的で、かつユニークな表現が可能ではないかというトライアルの素養を感じます。ボリューム的にも国立ソフィア王妃芸術センター新館のような巨大でヒューマンスケールを超えたような建築ではなく、比較的コンパクトなので許されている部分はあるかもしれません。

ヘルツオーク&ドムーロンは、トライアルを思考しながら表現としての建築を都度都度、追求している感があるので、機会があれば他の建築をもっと見てみたいと思いました。

カイシャ・フォーラム・マドリッド Caixa Forum Madrid
Av. de Francesc Ferrer i Guàrdia, 6-8, 08038 Barcelona, スペイン

 

Lisboa / Porto / Madrid 2018 Reported by Futoshi Hirasawa

Lisboa 2018_Vol.01|Istanbu-Lisboa Aeroporto de Lisboa
Lisboa 2018_Vol.02|Chiado_Baixa Pombalina de Lisboa_Primeiro dia
Lisboa_2018_Vol.03|Mercardo da Ribeira_Álvaro Siza_Alfa Pendular
Porto_2018_Vol.04|Lisboa to Porto_Restaurante Casa Aleixo_Descobertas Boutique Hotel
Porto_2018_Vol.05|Historic Centre of Oporto_Casa de Musica
Porto_2018_Vol.06| Museu Serralves|Ponte Dom Luís I
Porto_2018_Vol.07|Livraria Lello _ O que eu vi na cidade do Porto
Madrid_2018_Vol.08|Artiem MadridLa ciudad de Madrid
Madrid_2018_Vol.09|
Hotel Puerta America
Madrid_2018_Vol.10|Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía _ Caixa Forum Madrid
Madrid_2018_Vol.11|El mercado de Madrid y la comida