建築旅行

Designcafe™ の主宰者、平澤太のブログです。デザイン考、ライフワーク、インサイト、旅行などを不定期に綴っています。

Lisboa_Porto_Madrid 2018_Vol.01|Istanbul-Lisboa Aeroporto de Lisboa

イスタンブール・アタテュルク空港(Istanbul Atatürk Airport)の売店

ターキッシュエアーでイスタンブール経由でリスボンへ

個人的な視察で、ポルトガル(リスボン、ポルト)とスペイン(マドリッド)に向かいました。ポルトガルは、敬愛してやまない建築家アルヴァロ・シザやソウト・デ・モウラの故郷であり、彼らの代表作をゆっくり見て廻ったり、バカリャウ・ア・ブラスやパステル・デ・ナタに代表されるポルトガル料理やスイーツを堪能し、初めて訪問するポルトではポルトのディストリクトやポルトワインのワイナリーを巡りつつ、ポルトの魚介料理とポルトワインを。マドリッドでは、マドリッドの建築を巡りつつ、市場も合わせて巡って食を堪能しようと企てました。

まず成田から12時間、ターキッシュエアーでイスタンブールへ。トランジットで7時間、リスボンへ向かいました。リスボン行きだとエミレーツなど複数の選択肢がありますが、今回のターキッシュエアーはこの時期の値段が破格だったこと、イスタンブールに新空港を建設していてアタテュルク空港を利用するのはこれが最後になることも理由でした。

ターキッシュエアーの機内食メニュー

ターキッシュエアー、成田ーイスタンブール便の夕食。

ターキッシュエアー、成田ーイスタンブール便の夕食。じゃがいもと白身魚のグリル。これ美味しかったです。

ターキッシュエアー、イスタンブールーリスボン便の朝食。いたって普通の朝食。

イスタンブール・アタテュルク空港(Istanbul Atatürk Airport)のトランジットエリア。

アタテュルク空港のカフェ

アタテュルク空港の3Fのカフェ

アタテュルク空港、ターミナル内の免税店エリア

アタテュルク空港、ターミナル内の免税店エリア

アタテュルク空港、ターミナル内のKIOSK。このようなスタンドタイプが主流。

アタテュルク空港、ターミナル内のKIOSK。反対側から。

アタテュルク空港の免税店エリア。こちらはメゾンが並んでいます。

アタテュルク空港のフライトサイン。

アタテュルク空港のトランジットエリア。

アタテュルク空港のトランジットエリア。

アタテュルク空港のトランジットエリアにあるキオスク、saferi。よく見かけました。

アタテュルク空港のリスボン行き、トランジットエリア。

アタテュルク空港でリスボンに行くのは人生史上初めてでしたが、2016年のテロの影響は皆無で、乗り継ぎまでの時間を空港内の散歩とインターネットで過ごしました。WiFiはカフェなどでお茶するともれなく使える‥はずでしたが、店によっては不親切でスターバックスなどで利用するのが無難なようです。乗り継ぎ時間が比較的短かったこともあり、僕らは無理でしたが5時間以上の場合、ターキッシュエアの無料の市内観光で過ごすこともできます。空港自体は、古いこともあり、お世辞でも綺麗な空港ではないけど、新しい空港は黒海側にできるようなので、トランジット観光も含めて、次回はそちらを楽しみにしたいです。

リスボン、ウンベルト・デルガード空港に到着

リスボン、ウンベルト・デルガード空港の到着ロビー。モザイクタイルの美しい壁ですが、あまりの殺風景さにびっくり。

ウンベルト・デルガード空港の到着ロビー。

ウンベルト・デルガード空港の到着ロビー。よく言えばミニマム、悪く言えば殺風景。ポルトガルらしさがもう少しあっても良いのかなと。

ウンベルト・デルガード空港の到着ロビーのトイレ。

ウンベルト・デルガード空港の到着ロビーのトイレ。ピクトが特徴的。

ウンベルト・デルガード空港の到着ロビーの喫煙室。

ウンベルト・デルガード空港のイミグレーションを抜けた後の天窓。ポルトガルらしい遊び心があります。

ウンベルト・デルガード空港のターミナル出口付近。サインが必要最小限で、結構迷いました。

ウンベルト・デルガード空港のバゲージエリア。

ウンベルト・デルガード空港のターミナル。コンパクトで、ホーチミンの空港を思い出しました。

ウンベルト・デルガード空港のタクシープール。

ポルトガルの玄関口、リスボン・ウンベルト・デルガード空港は、とてもコンパクトな空港で、到着から出るまで30分くらい。ポルトガル自体がヨーロッパの片田舎みたいなことも起因しているのかもしれませんが、殺風景な空港(失礼!)でもう少しポルトガルらしい情緒を空間や仕組みに組み入れても良いのかなと思いました。空港はその国の顔ですし、この後利用するポルトのフランシスコ・サ・カルネイロ空港の方がハイテックで度肝抜かれました。そんな感じで19時間の移動時間を経てようやくリスボンへ。初日の観光は程々にしましたが、それは次回に。

 

Lisboa / Porto / Madrid 2018 Reported by Futoshi Hirasawa

Helsinki / Porvoo 2017 Reported by Mayu Tanaka

2017年の定例研修先 フィンランド・ヘルシンキ&ポルヴォー。田中真優のレポート。

01_HELSINKI CITY

デザイン研修旅行記:田中真優のレポート (1)

前年のベトナムに続き、私にとっては 2 度目となる研修 旅行。今回はフィンランドの首都ヘルシンキへ。 羽田空港から福岡へ乗り継ぎ約 10 時間のフライトを予定 していたが、思いもよらぬアクシデントが続き、到着し たのは 1 日遅れの現地時間で夕方ごろ。航空会社に振り 回され心身共に疲れていたはずの私だったが、ヘルシン キ中央駅を出て広場から街の景色を見渡すと胸が弾んだ。 ヘルシンキの建築は、中世・モダニズム・現代建築が入 り乱れており、AALTO 設計で 1969 年に完成したアカデ ミア書店の隣には密接するように前時代の建築が建つが、 違和感は全く無い。この国では、建築・家具・ファブリッ ク等全てに対して “美しくあるべき” という思想が強い ように感じた。街の至る箇所に掲げられた広告でさえ、 そつがなく、暮らしの隅々にセンスの良さが滲んでいた。

 

02_STUDIO AALTO

デザイン研修旅行記:田中真優のレポート (4)

ヘルシンキ中心部から 4 番トラムに乗り込むこと約 20 分。 STUDIO AALTO は閑静な住宅街に位置していた。 積まれたレンガに白く塗装を施した外壁は自然豊かなこ の街の景色に溶け込み、素朴な安らぎを感じさせた。建 物の中へ入ると、程なくしてガイドツアーがスタート。 未だに生活感漂う温もりある食堂を始めとし、2 階の真っ 白な壁に囲われた仕事場、中庭が覗けるゆったりとした 空間のホールの順に案内して頂いた。STUDIO AALTO は、どの部屋にも必要最低限の照明器具 しか取り付けられておらず、あとは建物を取り囲む木々 を通り抜けた自然光がやわらかく空間を照らす。 採光のために随所取り付けられた大きな窓からは豊かな 自然が覗き、ここでは働く上での楽しさ、豊かさについ て考えさせられた。

 

03_AALTO HOUSE

デザイン研修旅行記:田中真優のレポート (3)

SUTUDIO AALTO から歩くこと約 10 分。 「植物は建築の一部」と語る AALTO が嘗て自宅兼仕事場として腰を据えていた AALTO HOUSE は、青々と生い茂 る緑に囲われ、それら自然の一部の様にして建っていた。 日本の建築や文化を賞賛していたと知られる AALTO。1 階にあるリビングと仕事場とを緩やかに隔てる引き戸 や、収納棚などからは日本の伝統建築の影響が見られた。 2 階へ上がると暖炉のあるリビングを囲うように、寝室・ 子供部屋・ゲストルームへと繋ぐ扉が並ぶ。 この階は完全なるプライベートな空間となっていた。 長く暗い冬が続くフィンランド。 そんな気候の中で、昼中の自然光を可能な限り取り込も うという、仕事と暮らしの境なく生活する AALTO の工夫 がふんだんに施された安らぎの空間であった。

 

04_PORVOO

デザイン研修旅行記:田中真優のレポート (2)

ヘルシンキ中心部からバスに乗り込むこと約 1 時間。 時間が経つにつれ、バスから覗く風景が青々と生い茂る 緑で覆われてゆくのを眺めながら、自分が今遠い異国に いることを忘れてしまう程の安らぎを感じた。 街へ着くと、バスターミナル近くのマーケット広場へ。 突然降り出した通り雨から逃げるように、まずは昼食を とった後、下には緩やかに川が流れる橋を渡り旧市街へ。 丘の上に建つ大聖堂、川沿いに建ち並ぶ赤い倉庫、クラ フト感溢れる小店の数々、パステルカラーの外壁が目を 引く住宅街。私がまず一番に思い描くフィンランドのイ メージは、この街並みの景色のようであると再認識した。 穏やかな時間が過ぎるこの街では、暮らす人々も皆また 同じように穏やかで、私の目に映る PORVOO の街をより 一層魅力的に感じさせた。

 

Helsinki / Porvoo 2017 Reported by Futoshi Hirasawa 

 

Helsinki / Porvoo 2017 Reported by RIE SAKUMA

2017年の定例研修先 フィンランド・ヘルシンキ&ポルヴォー。佐久間理恵のレポート。

STUDIO AALTO(アアルトのアトリエ)

ヘルシンキの中心地から4番トラムに乗って、郊外のムンッキニエミへ。1955年に建てられたアアルトのアトリエは、静かな住宅街の中にあります。 よく見ていないと気付かないほど、通りからの外観は周りの環境に溶け込んでいます。 ガイドツアーまで時間があったので、先に中庭の方に回り込んで散策しました。アアルトらしい曲線の外壁と階段状の中庭が印象的でした。 増築部分の食堂からガイドツアーがスタートし、製図室やミーティングスペース、アトリエなどを順番に紹介してくれます。 英語だったので少しでもわかる単語を聞き取ろうと必死でしたが、とても丁寧な説明だったように思います。

アアルトのデザインした家具や照明器具などが置かれ、建築だけにとどまらず幅広くデザインを手がけていたことが体感できる空間。 手前はパイミオチェア。アアルトの代表作である「パイミオのサナトリウム」のためにデザインされたアームチェア。 曲木の曲線が美しく、また、結核患者が楽に呼吸できるよう人間工学的な面も考慮されたデザインだそうです。

この空間はアアルトのアトリエとして、来客との打合せのほか、実験空間としても使われていたようです。 様々な照明器具が吊るされていたり、もっともアアルトらしい丸いトップライトがあったり。 階段右手の手すりのある壁はテーパー壁の実験だったようです。

スタッフたちのアトリエ/製図室は、光がふんだんに取り込まれ、とにかく明るいという印象を受ける空間。 遠近感を強調するために、奥に向かって先細りするような平面プランにしたという話は興味深かったです。 当時の製図道具なども残されていて、原始的とも言えるこの平行定規で図面を描いていたのかと感心してしまいました。

ミーティングスペースにはこちらにもアアルトお得意のトップライト。 このミーティングスペースでは、間接照明のような役割を果たしています。

食堂/キッチンは、赤いギンガムチェックのカーテンと、帆布の光天井が印象的でした。 柔らかな光が心地良い空間を作り出しています。 キッチンの窓から見える外の緑が気持ち良く、窓台のタイル貼りがアクセントになっています。

 

THE AALTO HOUSE(アアルト自邸)

アアルトのアトリエから歩いて10分ほどの場所で、こちらも周りとなじむような自然な佇まいの建物で、1936年に完成しました。 白いレンガとダークカラーの木板貼りの外壁は、夏の鮮やかな緑にもよく映えていましたが、雪景色を背景としても美しいだろうなと思いました。 自邸においても、家具や照明器具、細部に至るまで「アアルト・デザイン」が散りばめられていて、豪邸でなくとも豊かで温かな空間です。 アアルトがここで家族と生活をし、仕事をしていた姿をすぐ目の前に想像できるようで、もともと私の好きな建築家の1人ですが、 実際に暮らしていた家を体感することで、ますます親近感が湧きました。

リビング。スタジオを見学した時にも感じましたが、室内から見る外の景色の切り取り方が意識されていて、このリビングからも庭の緑を贅沢に楽しむことができました。 また、日本建築の影響も受けていたというアアルトは、この自邸にもその要素を取り入れています。 すだれのようなロールスクリーンや、ふすまのような木引戸は違和感なくインテリアとして取り入れられています。

2F家族のリビング。この写真、アアルト自邸でのお気に入りの一枚。 暖かく、優しい空気が充満しているような家族団らんの場でした。 あらゆるところにアアルトらしさが散りばめられた空間。

中庭側の外観は、リビングから見える緑の壁面は、ツタで覆われたスタジオの外壁です。 緑があってこそ、より魅力が生まれる外観だと思いました。

アトリエ内のアアルトのデスク。2面開口で自然に囲まれ、とても気持ちの良い見晴らしです。 まさに「特等席」という言葉がふさわしいスペース。

 

FINLANDIA TALO(フィンランディアホール)

アルヴァ・アアルトの設計で、1971年に完成したコンサートホール/会議場です。 プライベートイベントのため、外観の見学のみになってしまったのが残念でした。 いつかまた必ず、ゆっくり訪れたい場所の一つです。

KAMPIN KAPPELI(カンピ礼拝堂)

2012年に完成した、人々が心を休めるための礼拝堂で、フィンランドのK2S 設計事務所が設計しました。 木材が積み重なった特徴的な外観が、街中で存在感を発揮しています。 礼拝堂内部も木に包み込まれるような空間が広がっていますが、やはりこちらでも天窓からの光が優しく降り注いでいます。 アアルトの建築やこの建物に限らず、ヘルシンキの建築を見ていると冬の貴重な太陽光を最大限に生かすために、 自然光の取り込み方や光の使い方がよく意識されていることが感じられます。

KIASMA(国立現代美術館キアズマ)

アメリカの建築家スティーブン・ホールが設計コンペを勝ち取り、1998年に完成しました。 ヘルシンキの街の中では少し異質なようにも感じますが、この周辺に文化施設が集まっている環境を考えると、 現代美術館という役割を果たしている建築なのだと思います。 周りの広場や中のカフェは人が集うことを意識した空間のようでした。

 

PORVOO(ポルヴォー)

ヘルシンキから足を伸ばして、バスで1時間ほどのポルヴォー。 フィンランドでは2番目に古い街であり、旧市街を歩くとパステルトーンの可愛いらしい街並みや、 中世の面影そのまま、手作り感満載な建物を楽しむことができました。 もともと貿易の街として栄えた街で、川岸に建ち並んでいた赤い外壁の倉庫群はそのまま建物を残し、 今ではアンティークショップやカフェとして利用されています。

ポルヴォー大聖堂 街のシンボルとも言える大聖堂は どこを切り取っても可愛らしい外観で、 ポルヴォーの街の歴史を感じる建物でした。 良い意味で洗練されすぎず、 北欧のおおらかさがよく表れています。 ランダムに並べられた窓や、 手仕事の跡の残るディテールが印象的でした。

赤い倉庫群 ポルヴォーといえばこの景色。 この日は天気が悪く、思いのほか寒かったですが、 真夏だったらとても気持ちの良い水辺の景色を 楽しむことができたと思います。

ポルヴォー・カラーコレクション 外壁と窓枠、建具の色の組み合わせが様々で、 飽きることなく散策できます。

 

Helsinki / Porvoo 2017 Reported by Futoshi Hirasawa