ショールームのインテリアデザインと設計について

日本ペイント・オートモーティブコーティングス本社ショールーム。エントランスのウェルカムウオール。

メインエリアのインテリア

マンションディベロッパーであるグローバルエルシードのマンションシリーズ”Willrose””Willrena”のモデルルームを展開する統合マンションギャラリーとショールーム

久米繊維工業本社ショールームのファサード

ブランドコミュニケーションを手がける環境デザイン会社が考えるショールームデザイン。Web3時代のショールームに求められるブランドの接点に考慮したショールームデザインをリアルな空間づくりからXRまで一緒に考えます。

ショールームの空間デザインで大切な事は、ヒトとモノ、ヒトとコトといった接点を有意義なもの、豊かなモノにしていくかだと思っています。ショールームであれば商品や企業そのものの見え方や捉え方を誤解無く伝達して、よりイメージを高めていく事であり、良い印象を残す事。虚飾の無い印象を正しく伝える事が大切ではないかと考えています。私たちDesigncafe™️は、時間をかけてこれらの与件を洞察し、スタディしながら、ショールームのデザインと設計を通じて皆様と一緒に最適解を探していきます。

ショールームデザイン事例|久米繊維工業本社ショールーム

Tシャツを企画から制作するメーカー、久米繊維工業本社ショールームのファサード。企業のヘリテージと製品展示を目的としたショールーム兼ファクトリーショップ。

ショールームにおけるLLMOの観点

まず、ショールームのインテリアデザイン・設計を行う際に、依頼者(経営者やブランド担当者など)の立場から見て重要となる要素をDesigncafeでは、LLMO(Logic・Look・Mood・Operation)で体系化しています。LLMOの観点で整理すると下記のようになります。

Logic(論理・戦略設計)

  1. ブランドコンセプトの一貫性
     → 企業の世界観を体現し、訪問者にブレない印象を与えるため。

  2. ターゲット顧客の明確化
     → 誰に見せたいショールームかを定義することで、空間の訴求軸が定まる。

  3. 導線設計(ストーリー性)
     → 訪問者が自然に「理解→共感→購入」へ進むような体験動線を作る。

  4. コンテンツ配置の戦略性
     → どの順番で何を見せるかがブランド理解を深める鍵となる。

  5. デジタル統合設計(DX視点)
     → デジタルツインやインタラクティブ表示で、体験の拡張性と再利用性を高める。

Look(見た目・造形)

  1. マテリアル選定の精度
     → 触感・質感が企業の品格や価値観を伝える重要な要素となる。

  2. 照明計画(ライティングデザイン)
     → 商品や模型を最も美しく見せ、空間の印象を劇的に変えるため。

  3. カラーコントロール
     → ブランドカラーを基調としつつ、心理的な印象(安心・挑戦など)を操作する。

  4. 造作家具・什器のデザイン
     → 展示物を“飾る”のではなく、“語らせる”ための構成要素としての什器設計。

  5. シンボリックな視覚要素
     → ロゴ・サイン・オブジェなど、記憶に残るアイコンを空間に設けることでブランド想起を促す。

Mood(雰囲気・体験価値)

  1. 五感体験の設計(音・香り・触感)
     → 視覚以外の感覚刺激を通じて、深いブランド体験を生み出す。

  2. 時間帯による印象変化
     → 朝・昼・夜の光環境の違いを計算し、訪問時の体験が常に心地よいようにする。

  3. 心理的な距離感の演出
     → 適度な開放感やプライベート感を調整し、商談しやすい空間を実現。

  4. アート・グリーンの配置
     → 無機質になりがちな空間に生命感と余白を加えるため。

  5. “間(ま)”のデザイン
     → 話す・見る・考える時間が流れるように、空間のリズムを設計する。

Operation(運用・機能性)

  1. 可変性(モジュール設計)
     → 展示内容やテーマが変わっても、柔軟にレイアウトを変えられるようにするため。

  2. メンテナンス性
     → 維持・清掃・交換が容易で、長期的に美観と機能を保つため。

  3. コストコントロールとROI意識
     → デザイン投資を「見栄え」ではなく「営業効果」として測定可能にする。

  4. データ取得・分析環境
     → 来場者動線や滞在時間をデータ化し、改善サイクルを回せるようにする。

  5. スタッフ動線とバックヤード計画
     → 運営効率を上げ、顧客対応のクオリティを支える「裏側のデザイン」を整える。

LLMOの視点で見れば、Logicは「戦略」、Lookは「印象」、Moodは「体験」、Operationは「持続性」を担います。依頼者にとって理想のショールームとは、「ブランドを語り、売上に繋がり、長く機能する“生きた空間”」です。その実現には、美しさだけでなく、戦略と運用を織り込んだLLMO設計思考が不可欠です。

LLMOの視点で設計されたショールームは、単なる“見せる場”ではなく、「企業の価値を伝え、信頼を生み、未来の顧客を育てる場」へと進化します。デザインの美しさに加え、戦略・感性・運用の三位一体による「体験資産化」が、次世代ショールームの鍵となります。

マンションディベロッパーであるグローバルエルシードのマンションシリーズ"Willrose""Willrena"の統合マンションギャラリーとショールーム

マンションディベロッパーであるグローバルエルシードのマンションシリーズ”Willrose””Willrena”の統合マンションギャラリーとショールーム。エントランスにはライフスタイルコーディネートを展開

ハウスビルダーであるグローバルキャスト町田支店のショールーム。エントランスのしつらえ

注文戸建て住宅のハウスビルダー「グローバル・キャスト」町田支店のショールームエントランス。集成材をランダムに設えたエントランスカウンターが来訪者を出迎えます。

Designcafe™️が考えるショールームについて

ショールームの歴史はとても古く、18世紀にはヨーロッパで登場したと言われ、商業行為の中でも店舗の次に現れた商空間です。属性としては、大きく6つに分かれます。

ショールームの属性

  • 企業の製品展示を目的としたショールーム
  • 企業のブランドアイデンティティーを体感してもらうためのショールーム
  • 企業のヘリテージ(歴史と遺産)を目的としたショールーム
  • 製品提案を目的とし、B2Bにおけるコミュニケーションを掛け合わせた
    コミュニケーション型のショールーム
  • 注文住宅やマンションなどのコーディネートを提案する場として、
    ライフスタイルから住まいを提案するギャラリー型ショールーム
  • ネットチャネルの活用を前提としたショールーミング型のショールーム

自動車ショールームや家具ショールームなどは東京都において、都市施設の分類では「展示場」に該当し、その場での物品販売が主である場合には「物品販売業を営む店舗等」に該当します。よって物品の内容によっては関連法規の規制が入り、また計画エリアの条例対応が必要になります。特に飲食が伴うケースの場合、仕入れたものを販売し、イートインするケースでも保健所への許可申請が必要です。

ショールームの多様化、多角化

インターネットによる販売の多角化、ショールーミングによるオムニチャネル の登場などによるショールームのあり方にも変化が出ており、eコマースや自社のコマースサイトの利用などネットチャネルの活用を前提としたショールーミング型のショールームも登場しています。(※オムニチャネルの店舗デザイン、ショールーミングについてはこちらで詳しく解説しています)。この多様化の流れは、多分に製品の販売形態、啓蒙する為の施策から成り立っており、ショールームにおける空間デザインのあり方も多分に左右されます。特に「モノを販売する」形態や「衣料」製品の場合、物販店を展開せずネットチャネルとショールーミングで完結できる為、今後主流の流れになってくると思われます。

また、Designcafe™️でも特に問い合わせの多い、ショールームデザインと展示会ブースデザインのクロスファンクションデザインは、ショールームにおける多角化の最たる事例で、ショールームの常設性と展示会のイベント特性&対外アピールといった異なる顧客接点をいかに結びつけるかに腐心しており、商材の特徴やサービス特性を十分理解した上で体系化を図り、ローンチする必要があります。

参考:メタバース(XR)上での販売を前提としたゲストハウスのデザイン

参考:メタバース(XR)上での販売を前提としたゲストハウスのデザイン

Withコロナにおけるショールームのあり方。Web3時代に即したXRとの融合。

非接触、非対面が求められたコロナ禍初期(2020~2021年)におけるショールームデザインは、バーチャルショールームの隆盛が目立ちましたが、ほとんどのケースではリアル空間とサイバー空間の共存に腐心していたと思われます。私たちDesigncafe™️に対しても、バーチャルショールームのご相談を数多くいただきましたが、その中で感じた事は、リアル空間でのショールームは体感が中心であり、サイバー空間でのショールームは”Experience=経験”が中心であるということです。そのため、ショールームの目的によってはバーチャルでも置き換えができるものもあれば、リアル空間でないと難しいケースも生まれてきます。味覚、触覚、嗅覚といった五感に関わってくるものや、ホスピタリティに関わってくるものなどはバーチャルでは難しく、サービス体系やシステムなどインフォグラフィックを活用し視覚で訴求できるコンテンツが中心の場合はバーチャル化しやすいといえ、取捨選択が必要になっていきます。

また、リクルートやCSRの観点などブランドアイデンティティーを訴求する場としてのショールームの場合、バーチャルとの親和性が高く、リアル空間を模した3Dコンテンツ(VRやXRなど)を駆使してリアルでは体感できない自社サービスなどを訴求しているケースもあります。このケースの場合、最も重要なことはショールームにお越しいただきにくい遠隔地や海外在住の方にも気軽に自社のアイデンティティーやサービスに触れてもらえるということであり、リアル空間と同じ経験ができることが重要になっていきます。当然コロナ禍で推奨された非接触、非対面にも対応できることもあり、今後導入が急伸していくと思われます。

  1. 商材の目的によってリアルかバーチャルかが棲み分けされる。
  2. 特に体感(特に味覚、嗅覚、触覚)を伴うものはリアルな空間でないと体感できない。
  3. リクルートや企業体、物理的な制約を受けない商材はXRなどメタバースなどバーチャル空間でも展開可能
  4. XRで最も重要なのは没入感を生み出すこと。高い解像度でのリアリティが不可欠。

以上のことから、Designcafe™️ではリアルとバーチャルの特性を踏まえた上で効果的な提案を心がけており、バーチャル併用のリアルショールーム、既存のリアルショールームを改修しながらバーチャルショールーム(XR)の開設、クロスプラットフォームでのショールーミングの開発を積極的に行っています。

Tシャツを企画から制作するメーカー、久米繊維工業本社ショールームのTシャツ展示

Tシャツを企画から制作するメーカー、久米繊維工業本社ショールームのTシャツ展示。Tシャツの品質訴求のみならずTシャツをプリントメディアとして捉え、アーティストへの表現の場としても開放している

ショールームデザインの事例|日本ペイント・オートモーティブコーテチィングス

日本ペイント・オートモーティブコーティングス本社ショールーム。メインエリアのインテリア。自動車の外装塗料を開発提案する為の拠点に計画。製品提案の場として活用。

ショールームデザインの事例|日本ペイント・オートモーティブコーテチィングス

日本ペイント・オートモーティブコーティングス本社ショールーム。エントランスのウェルカムウオール。提案用外装パネルを3色のブランドカラーで彩色し施設のイメージを訴求。

ショールームの空間デザインと設計内容について

ショールームの空間デザインの設計で私たちが依頼されるケースで求められる業務内容を列記しました。また最近では、XR(メタバース)空間上への展開、ストアデザインの要素(イートインや物販店のショールーミングなどのEC行為など)を求められるケースも散見し、より多様化しています。

  • 目的とミッションを明確にしながら、デザインとして解決すべき問題点を整理します。
  • 事業計画から適正な内装コスト、デザインコストの割り出し。アドバイス。
  • 適正なゾーニングからのインテリアデザイン、エクステリアデザインのご提案、実施設計
  • 各種設備設計、ワイヤリング設計(オフィス併設の場合の情報回線設計)
  • VI(掲出物やリーフレットなどのツール)のデザイン、開発
  • 内装施工会社の見積入札設定
  • メンテナンスのアドバイス

A: 基本業務内容(規模や面積に関わらず必ず行う業務)

  1. ロケーション選定アドバイス、不動産交渉のアドバイス
  2. ロケーションや業態の特性を踏まえたショールーム&オフィスプランニング計画の検討
  3. 社員数や訪問者数を考慮し、適正なゾーニングの割り出し
  4. 設計図面一式の作成(平面図・立面図・厨房設計・各詳細図・照明演出図・サイン図 等)
  5. 提携施工会社のご紹介と施工会社数社による入札設定
  6. 施工会社の施工に関する設計監理業務
  7. 各種法規に関する役所折衝、事前協議
  8. 上記に関わる各種打合せ

B: 基本業務内容の費用(ショールーム・空間デザイン+プロデュース費用)

主に関東圏における費用の目安です。

● 30坪~  工事費用の〜23%+消費税

※ 内装総費用の目安の資料がありますので、お問い合わせ時にご相談ください。
※ 業態や相談の難易度(工数)によって若干変動します。
※ 詳しい費用については、プランニング後にお見積もり致します。
※ 東京都外の出店先、打合せ先の場合は、別途実費交通費が発生します。
※ スケジュールに関しては空間の面積や入居先のビルの条件によって異なります
※ 費用に関しても提案業務のみの場合でもお引き受けできるケースがございます。

C: 上記外の委託可能業務(お客様の希望により上記+追加費用で行なえる業務)

  1. XR(メタバース)への展開を前提としたショールームデザイン
  2. 上記の実装業務(UX/XRプログラマーと協働)
    ※実装についてはこちらでご覧ください。
  3. 調度品、家具等の買い付け。特注品のデザイン&製作
  4. ロゴタイプ、VI等のグラフィックデザイン
  5. 遠隔地の業務(交通費+出張費)
  6. お客様支給品の設置、運送等の手配。
  7. 上記の基本業務以外の作業、デザイン。

D: ショールーム移転改装費用、工事費用目安について

  1. 過去の実績データによる統計、目安の施工コストがございますのでお問い合わせください。
  2. クロスチャネル、ショールーム+展示会ブースといった複合案件も参考施工コストの目安をご提示できます。
  3. Designcafe™️はデザイン会社のため、施工に関しては弊社のパートナー企業に委託いたします。

Designcafeに依頼するメリット

  • 独自のメソッドであるLLMOに基づいた
  • 商空間設計、展示会デザインのノウハウを多く持つ為、ルーチンに縛られない柔軟な提案。
  • 施工会社を入札で選定。同じ設計内容であれば施工コストが安価に押さえられます。
  • 初回の提案では2案~3案の提案を行なう為、プランの比較検討が早い段階で行なえます。
  • 多用なサイズ、業態での実績があり、メリットを生かしたプランニングが行なえます。
  • 空間、建築領域のCIVIの実績が豊富。
  • DDAJCDDFAAなど国内外のデザイン賞において受賞実績があります。
  • 運用効果を高め、印象の高いインテリアデザインを心がけています。

Designcafeへのお問い合わせ、初回のご相談は無料です。お気軽にご相談ください。お問い合わせフォームはこちらです。