Designing Dx / Digital Twin

Visualising the future with Designing Dx. 
Designcafe™️が提唱するDesigning Dxとは。

Designcafe™️では、デザイナーがより高い創造性を発揮し、労働生産性を向上させるための環境として、次世代デザインワークフロー”Designing Dx”(デザインワークのデジタルトランスフォーメーション)を提唱・実践しています。これは、デジタイゼーションとフィジカルの接点を見直し、断片的なワークフローをより横断的に、そして効率的なデザインワークを推進するために構築しました。既に汎用化されているテクノロジーから取捨選択し、カスタマイズすることで環境デザイン全体における一連のデザインワークフローを劇的に改善します。2020年から実践を開始した5つのデザイン・テクノロジー(DM =ダイレクトモデリング、RR = リアルタイムレンダリング、BIM= ビルディングインフォメーションモデリング、3DS= 3Dスキャニング、3DP= 3Dプリンティング)を駆使したデザインワークフローをDesigning Dxとして定義しています。さらに、ジェネレーティブデザインやトポロジー最適化といった最先端のテクノロジーのトライアルも始めており、省力化だけでなく人とコンピューターとの融合、デザインの自働化といった新しい創造性を生み出す仕組みに対しても実践に向けた研究を行っています。

Designcafeが提唱するDesigning-Dxの5つのテクノロジー

クライアントに対してのメリット。
プロジェクトにおけるデザインの意思決定の迅速化。

Designing Dxの恩恵は、クライアントに対しても大きく寄与します。一つのデザインデータをもとにリアルタイムレンダリングが行え、3DプリンターやCNCで制作したモックアップでのデザイン検討といったラピッドプロトタイピング、またXR(=クロス・リアリティ※1でのリッチな可視体験を全てのクライアントに提供することでプロジェクトにおけるデザインの意思決定の迅速化に貢献します。デザインの現場における省力化と意思決定の迅速化を実現させながら、制作・施工の現場では、これらのワークフローデータをそのまま活用し、CAMを通じてデジタルファブリケーションへの連携や i-Constructinへの応用など制作現場や施工現場のDxにも寄与します。

※1 XRとは、現実世界と仮想世界を融合することで、現実にはないものを知覚できる技術の総称。そのため、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)、MR(複合現実)といった技術は、いずれもXRに含まれる。

BIMとジェネレーティブデザインの導入

Designcafe™️ では、2019 年から空間デザインにおける BIM※2 の導入検討を開始し、2020 年からはプロトタイピングにダイレクトモデリングを導入、直感的で創造的なデザインワークフローの実現に向けてスタートを切りました。既に一部のプロジェクトではBIMモデルとして、ダイレクトモデリング→3Dビジュアライゼーション→2D設計図書の自動生成まで同一のデザインデータ(設計データ)で行っており、竣工図書の属性情報のプロトタイプ化も並行して進めています。

日本における空間デザイン業界の BIMへの取り組みは大変遅れており、空間デザイン業界全体の Dx(デジタルトランスフォーメーション)を阻害している原因にもなっています。Designcafe™️ では、ただ先進技術を追求するだけでなく、これらのDesigning Dxの実現で生まれた「時間」「新たな創造性」をお客様に対してさらなる付加価値のある提案につなげ、届けることを目標に取り組んでいます。

※2  BIM:Building Information Modeling は、コンピューター上に作成した3次元の形状情報に加え、室等の名称・面積、材料・部材の仕様・性能、仕上げ等、建築内外の属性情報を併せ持つ情報モデルを設計データ内部に構築すること

BIMがもたらすメリット。自動化と高度な整合性。

Designcafe™️ での設計の手順は、3Dモデルを一旦作成(ダイレクトモデリング)するところからスタートします。3D-CADと3Dモデラーソフトを併用してプロジェクトの初期段階から3Dでの空間形状を制作(プロトタイピング)し、そのまま設計に移行していきます。ここまでは、比較的よくある流れになりますが、通常の設計の手順とは異なり(3Dデータをそのまま活用することで)平面図や展開図といった2Dの図面は同一の3Dモデルから切り出され自動的に生成されます。この3D設計データとなった3D設計モデルに様々な情報を追加していくことで、区画図、仕上表、照明配灯図などを自動的に作成することができます。これらの成果物は相互にリンクしているため、展開図を直せば、直ちに3Dモデルにも修正され、全ての図面(成果物)が自動的に更新されます。そもそも従来デザイナーが作図していた2D図面を作図からは解放される上、高度な整合性が担保されるため、チェックしていた整合作業からも解放されることになります。

BIMモデルを活用する最大のメリットは、設計データーとして3Dモデルを内包していることで変更や調整が発生してもそのままパースに反映させたり、各図面に自動的に反映されるため、設計時の工数が大幅に減り、クライアントとのコミュニケーションが容易になることです。

空間デザインにおけるジェネレーティブデザイン

また、海外では導入が進んでいるジェネレーティブデザイン※2 も 2021 年より試験的な運用を始めており全デザイナーへの習得を目指しています。BIMが空間デザインのワークフローを大きく変革することに対して、ジェネレーティブデザイン(建築業界ではコンピューテーショナルデザインとも)は、AIを活用しデザイナーや設計者が設定したアルゴリズムに即したデザインのシュミレーションを行い、最適な形状、最適なプランを導き出すというデザインのインテリジェンスに踏み込んだデザインスキームです。

Designcafe™️ ではジェネレーティブデザインを試験的にオフィスのプランニングや展示会ブースデザインの展示台の形状やブースの外観などのシュミレーションに活用し、新たな価値を提供できるようにトライアルしています。

例えばオフィスの場合、常在する人員数とテレワークしている人員の割合を変えるだけでデスク数等の物性が変わってきます。ここにフィジカルディスタンスなどの属性を加えると更に複雑になります。このような検証は、人力で行うよりもコンピューティングで解決した方が効率的です。また、ブースの形状も面積+高さ規定に加え「最大限接客できる面積のカウンターを保持する」「接する面は二面のみ」などの要素を入れるだけで物性が複雑になり、何通りもパターンが導き出せます。

このジェネレーティブデザインで導いたシュミレーションからいかに新しい価値を生み出せるかがポイントであり、そこには暗黙知や経験に裏打ちされた部分が生きてきます。デザイナーによってフィジカルにコントロールされた従来のデザインから、ジェネレーティブデザインによって偶発性、機能、コスト、耐甚性など複合的な要素も加えた、新たな美しさを創造できるかもしれません。

※3  ジェネレーティブデザイン:AI(人工知能)の一種で、より良い建物やシステムを生み出すために活用されており、アルゴリズム、機械学習、計算幾何学を駆使し、設計の課題に対して複数のソリューションを迅速に探索、最適解を導き出す手法

The Stand "Designcafe-Food Stall" 屋台、テイクアウトスタンドのデザインシリーズ

拡張性を考慮したアウトドアキッチンカーのコンセプトデザイン (1)

ダイレクトモデリングとBIMとジェネレーティブデザインがもたらすDesigning Dx 2.0

ダイレクトモデリング、BIM、ジェネレーティブデザインが齎らすメリットは、デザインにおける理想的なDxそのものと言えます。次のDesigning Dxという意味で”Designing Dx2.0”とも言える文脈を語る上で重要なことは、新しいデジタルテクノロジーを導入・利用することで、新しい価値を生み出し、ビジネスを変革し、その優位性によって事業成長させることです。

  • 新しい技術
  • 新しい価値創出
  • 競争上の優位性

Design+Dxとなると、どうしてもデザイン思考的な話に行きやすいのですが、個人的にはとてもシンプルに考えており「新しいテクノロジーの力で今までやっていた事をやらなくする事」「新しいテクノロジーの力で今まで出来なかった事を行うこと」の二つのテーマに集約されます。

Designing Dxは制作・施工現場でのDxにも寄与します。

”Designing Dx”は、デザインワークの省力化にとどまらず、CAMを通じてCNC(自動切削)や5軸複合ルーターなどの制作現場(木工や金属加工)でのファクトリーオートメーション(FA)やデジタルファブリケーションといった自動化、施工現場でのロボティックス(3DP)を見据えており、デザインから制作施工への横断的なフレームワークを実現します。また、政府が主導し、建築現場でも進行しているi-ConstractionやCIM(コンストラクションインフォメーションモデリング)との連携も取りやすく、高度なデータの整合性は生産性だけでなく、資産としての積み上がってきます。これらのワークフローデータをそのまま活用し、制作現場のDxに寄与します。

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