2016年の定例研修先は、ベトナム中部のダナン、ホイアン。
例年に引き続き、海外の都市に赴き”インプットしながら感じ取ってくる”事と”共有知を高める”為におこなっているDesigncafeの研修旅行。それは写真やインターネットの情報で解ったつもりでも、スケール感やボリューム感、空気感、香りなど、五感を働かせて体感しないと理解出来ない事が事が多いからです。今回のテーマは「リゾート考察」。とは言ってもただプールや海に入って佇むだけでは能がないので(笑)、アジアのリゾートで、今年視察で訪れたホーチミンシティの延長線上にある場所をということで、開発の盛んなダナン、ホイアンとし、宿もベトナム建築界の若き第一人者であるボーチョン・ギア(Vo Trong Nghia)が設計を担当した、ナマン・リトリート(Naman Retreat)を選びました。
ダナンはベトナム中部の港町で要衝として知られ、ベトナム戦争時は激戦地として多数の犠牲者を出したことで知られています。成田からベトナムエアーで約5時間。昨年、直行便が就航し利便性が向上しました。そういう事情もありますが、日本のディベロッパーが開発しているリゾートも散見し、活気があります。北回帰線上の街なので、9月過ぎまでとても暑いですが、海は綺麗で海産物も楽しめる街です。
ホイアンは、ダナンからタクシーで南へ30分。トゥボン川の河口に位置する古い港町で、かつてヨーロッパ人はファイフォ 、フェイフォ(Faifo) と呼んでいました。中国人街を中心に古い建築が残り、1999年に「ホイアンの古い町並み」としてユネスコの世界文化遺産に登録されています。いわゆるベトナムの田舎町の風情を残している典型的な酪農都市ですが、日本との交易を行なっていた歴史があり、その史跡が散見できます。
また、このエリアはベトナムで最も美味しい料理が楽しめるエリアとして、ベトナム人の中では名が通っており、海産物からフォーやLAP&ROLLなどの家庭料理も楽しみにしていました。
ナマン・リトリート(Naman Retreat)
ダナン行きの飛行機が遅れ、ナマン・リトリートに到着したのが22時過ぎ。エントランスゲートからレセプション棟に案内され入館手続きし、その後カートに乗せられて部屋に向かいます。広大な敷地を有するナマンはほそい路地をカートで移動するようにできていて楽しいです。今回僕らは5人でしたが、アパートメントとレジデンスに分かれて宿泊しました。いわゆる、最近のリゾートスタイル(レジデンシャル)を踏襲していますが、より低廉な価格で宿泊できるアパートメントもあり、欧米からのバジェットラインの旅行者にも配慮されていて、好感が持てます。
このナマン・リトリートをデザインしたのは、東大出身のベトナム建築家、ヴォ・チョン・ギア氏。http://votrongnghia.com
ギャラリー間での展覧会「アジアの日常から:変容する世界での可能性を求めて」を見て以来、2月のホーチミン視察で見学したジオヴァノックなど、竹を使ったフラジャイルな建築が得意な建築家で、その意欲作がこのナマン・リトリートです。
このホテルの宿泊者が最も利用するハイハイレストランは、竹を中心としたフラジャイルで土着的な造形美の建築でベトナムらしい設えになっています。この建築は、東シナ海を背景に朝と夜で表情を変え、幻想的な表情を持ちますが、竹をレイヤー状に重ね造形感を生み出すテクニックには脱帽です。
Da nang / Hoi An 2016 Reported by Futoshi Hirasawa