21-21 DesignSightの企画展「活動のデザイン展」を観に行ってきました。社会が抱えている問題を俯瞰的に捉え解決するデザイン活動にフォーカスを当てた展示会です。以下、開催概要からの引用ですが、
20世紀後半の情報革命以降、世界の距離はますます短くなり、私たちの生活や日々の意識は大きな変化の時を迎えています。知識や手法が高速で更新される一方、社会の不均衡や倫理、価値観を問い直す機会も増えています。こうした時代に大切なのは、それぞれに考え、動き、確かに伝えることではないかとの問いをもとに、本展は企画されました。手にとることのできるものづくりに限定せず、社会が抱える課題を読み解き、問題を解決しようとする意志や活動そのものに目を向けます。
各国における伝統的な手仕事の価値を探る活動
アルヴァロ・カタラン・デ・オコン 「ペット・ランプ」 2012年-
一見素朴なランプシェードですが、縦糸の代わりに廃棄されて使用済みとなったペットボトル(を短冊状に切り込んで使用)を流用し、その土地の素材と組み合わせる事よって工芸品に生まれ変わらせている試みです。伝統工芸の技と環境汚染する使用済みペットボトルを別な形でリサイクルしている好例。
視点の転換をもたらす試みの活動
大西麻貴+百田有希/o + h 「望遠鏡のおばけ」、「長い望遠鏡」
2014年
廃棄物とストリートカルチャーをクラフトでつなぐ活動
スタジオ スワイン 「カン・シティ」
2012年
未来についての議論を起こすためのデザイン活動
牛込陽介 「プロフェッショナル・シェアリング:シェアの達人」2014年
人間の根源的な価値観を探る活動
タクラム・デザイン・エンジニアリング 「Shenu: 百年後の水筒」
2012年/2014年
見えないデータを五感に伝える活動
アルマ望遠鏡プロジェクト
国立天文台+PARTY+Qosmo+エピファニーワークス
「ALMA MUSIC BOX: 死にゆく星の旋律」
2014年
デザインの意義を人道的な解決策に応用する活動
マスード・ハッサーニ 「マイン・カフォン」2011年-
これは「世界を変えるデザイン展」でも紹介されていたのですが、風の力を利用して自ら転がっていく地雷除去装置です。作者であるハッサーニ(アフガニスタン出身)が子供の頃に遊んだという玩具から着想を得ていて、竹と安価に量産出来る接地脚(丸い部分)でシンプルに構成されているため簡単に製作する事ができます。地雷は除去するのに膨大な時間と労力がかかりますが、それを解決するツールとして期待されていますが、「マイン・カフォン」実施後に全てを除去できたどうか探知機などで調べないと安全性が担保されないという課題も背負っています。
日々の経験や知識をデザインで共有する活動
ジョセフィン・ヴァリエ 「リビング・アーカイヴ」2011年-
スウェーデンと日本からパンを焼くための天然酵母を集め、酵母にまつわる個々のストーリーや知識をアーカイヴし、展示によってシェアすることを試みるプロジェクト。
手仕事で生活の軌跡を残す活動
フロント&シアザマ プロジェクト
エディションス イン クラフト 「ストーリー・ベース」
2011年
アノニマスな行為をたたえ、記録する活動
DNAシャロアー&クリスティン・メンデルツマ/ヴァンスファッペン 「ロースさんのセーター」
2012年
修理・修繕で誰かの課題を解決する活動
「フィックスパーツ」参加作家:aomo、アトリエ ホコ、長坂 常、菱川勢一、クビーナ、サラン・イェン・パニヤ 2012年- 既に存在するプロダクトや素材をワークショップやコラボレーションの場でシェアしながら、ユーザビリティーを解決する試みです。
「フィックスパーツ」のプロローグとして―
日本の修理・修繕の精神 鉄絵茶碗 (日本民藝館所蔵)
桃山時代〜江戸時代初期
複雑に関係しあう世界を描きだす活動
ヒューマンズ シンス 1982 「ア・ミリオン・タイムズ」2014
384個の時計が並んだ作品。プログラミングされた針は、規則的な動きの中から言葉や数字を生み出します。アナログな時針と分針の二つの要素を配列複製させる事によってパターンを生み出していく様子は圧巻です。
時代のリアリティを言葉でとらえる活動
ダグラス・クープランド 「21世紀初頭のスローガン」2011年-
廃棄物とストリートカルチャーをクラフトでつなぐ活動
スタジオ スワイン 「カン・シティ」
2012年
- タイトル:
- 企画展「活動のデザイン展」
- 会期:
- 2014年10月24日(金) – 2015年2月1日(日)
- 休館日:
- 火曜日(10月28日、12月23日は開館)、年末年始(12月27日 – 1月3日)
- 開館時間:
- 11:00 – 20:00(入場は19:30まで)
- 入場料:
- 一般1,000円、大学生800円、中高生500円、小学生以下無料
*15名以上は各料金から200円割引
*障害者手帳をお持ちの方と、その付き添いの方1名は無料
- 主催:
- 21_21 DESIGN SIGHT、公益財団法人 三宅一生デザイン文化財団
- 展覧会ディレクター:
- 川上典李子、横山いくこ