Macau

Designcafe™ の主宰者、平澤太のブログです。デザイン考、ライフワーク、インサイト、旅行などを不定期に綴っています。

Macau 2014 Vol.6|Macau World Heritage.1

Macau 2014 Vol.7|マカオ世界遺産巡り vol.2

 

3日目は、マカオへ。主に世界遺産に指定された25の遺跡や寺院(マカオ歴史街区地区)を中心に見学してきました。Designcafeの研修旅行は「現代」と「遺跡」の両極端のテーマがあるのですが w 今回のマカオは後者。今回ベースのホテルが香港なので、ジェットフェリーでマカオに渡りました。マカオへは、九龍のチャイナフェリーターミナルから噴射飛航で約一時間の船旅から。エコノミーで一人当たりHK$164(入国手数料込み)。ちなみにこのチケットは、ダフ屋のおばさんから売り損ねのチケットを購入したので額面よりも安く乗れました。。道中、中国大陸からの観光客と大多数と便乗したのですが、完全アウェイですね。笑 わいわいがやがやで、賑やかを通り越してうるさいです。朝早かったので少し仮眠したかったのですが、全く寝られませんでした。笑

 

聖アントニオ教会

マカオマリタイムフェリーターミナルに到着してタクシーで世界遺産群の北側から聖アントニオ教会へ向かいました。1560年に竹と木で建てられたマカオでも最も古い教会の一つで、イエスズ会が初期に本部を設置下教会としても有名です。丁度営繕工事中でしたが内部は普通に見学出来ました。現在の姿は、1930に改装した姿なので歴史を反映させた建物ではないのですが、クリームカラーの美しい内装で、見る人を和ませます。マカオの教会は鮮やかなカラーを施した教会が多く、ロココの影響も色濃く反映されています。現地のポルトガルコミュニティの人々たちはここで結婚式を挙げるのが通例だったことから(花が絶えないと言う意味で)花王堂という名がついています。見ての通り改修中です。

 

カーサ庭園&プロテスタント墓地

次は、歩いて1分のところにある カーサ庭園へ。1770年代に建てられた、ルイス・カモンエス公園とプロテスタント墓地の間にある庭園と洋館で、元々は地元の名士マヌエル・ペレイラ(庭園内に銅像があります)の別邸。その後、東インド会社が警備員やスタッフを駐在させ、現在は東方基金会という財団の本部として使用されています。 プロテスタント墓地は、1821年に造成された、初めてのプロテスタント墓地でマカオ在住のイギリス人画家、ジョージ・シナリーやマカオ来訪初の宣教師ロバート・モリソン(聖書の中国語訳を作った人でも有名)の墓所でもあります。入口にはモリソンに敬意を表して名付けられたモリソン礼拝堂があります。

 

 ナーチャ廟&旧城壁 (Troço das Antigas Muralhas de Defesa 哪吒廟、舊城牆遺址)

次は、 ナーチャ廟&旧城壁へ。聖ポール天主堂跡の隣にある小さな廟と城壁です。ナーチャ廟は1888年創建の小さなお寺で神童ナーチャをまつる為に創建されています。ナーチャは孫悟空にも登場する武芸の達人で、疫病退治の神様としても有名。小さなナーチャ廟と隣接する聖ポール天主堂跡の関係性がマカオの東西交流を表している所が興味深いです。このナーチャ隣接しているのが、同じく世界遺産に認定された旧城壁。この壁は1569年にポルトガル人が町を守る為に築いたもので、材料はシュナンボーという、土砂や藁、貝殻を混ぜたもので出来ています。この辺を見てもポルトガル人がその地域に土着した技術を活用している様子が伺えますね。ちなみに汚い壁とかいうとバチが当たります、多分。

 

 聖ポール天主堂跡 (Ruínas de S. Paulo 大三巴牌坊)

次は、 聖ポール天主堂跡へ。マカオを代表する世界遺産。イエスズ会によって1582年から1602年に建築されたこの天主堂は、当時のアジアでは最大のカトリック教会です。すぐ横にはアジア初の大学、聖ポール大学があったそう。1835年の火事で教会のファサード面と68段の階段だけが残されましたが、ファザードの彫刻は見事で、「石の説教」と言われるほどに宗教的な意味が彫られています。ファザードの下から2段目のキリスト教の4名の聖人像にはフランシスコ・ザビエルを見ることができます。このファサードは、当時のカトリック建築の手法をそのまま垣間みることができて、例えば石の階段の上に立てる事で(実際の建築の規模よりも遠近感によって)大きく見せたり、上段程フロアピッチが狭くなる事で、建物正面に立った時に高さが誇張されます。デフォルメがあちこち仕掛けられているわけです。また、裏手地下にある天主教芸術博物館には宗教美術品が展示されていて無料で鑑賞する事が出来、貴重な宗教遺産を垣間みることができます。 

 

 モンテの砦(Fortaleza do Monte 大炮台)

1617年から1626年の間にイエズス会の修道士によって築かれたマカオ最強の防御要塞。敷地面積は8000平方メートルで、大砲、宿舎、井戸の他に二年間の包囲攻撃に耐えうるだけの兵器を造る工場や備えもあったそうです。四方の角に突起状の城壁があり、上から見ると函館の五稜郭のような独特の形状をしています。1965年から1995年の間には、ここに気象庁舎が設置され、その後1998年にマカオ博物館が完成しています。ちなみに僕たちは、この砦に天主堂から徒歩で階段を上ったのですが、右側にあるマカオ博物館行きのエスカレーターに乗るとそのまま上に上がれるそう。結構きつい階段だったので、行かれる方は是非エスカレーターで。笑

 

 Photo@ Hirasawa Futoshi 

Macau & HongKong 2014 Reported by Futoshi Hirasawa

Hong Kong 2014 Vol.1|九龍香格里拉酒店(Shangri-La Hotel Kowloon)
Hong Kong 2014 Vol.2|尖沙咀 (Tsim Sha Tsui)〜油麻地 (Yau Ma Tei)〜Peninsula HK
Hong Kong 2014 Vol.3|Innovation Tower/The Run Run Shaw Creative Media Centre
Hong Kong 2014 Vol.4|朗豪坊(Langham Place)〜力寶中心(Rippo Center)
Hong Kong 2014 Vol.5|PMQ元創方 Complex〜文武廟〜中環至半山自動扶梯
Macau 2014 Vol.6|Macau World Heritage.1
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Macau 2014 Vol.8|Macau World Heritage.3
Macau / Hong Kong 2014  Vol.9|好吃的吃飯(A delicious meal)

 

Macau / Hong Kong 2014 Vol.4|朗豪坊(Langham Place)〜力寶中心(Rippo Center)

二日目午後からは、旺角のLangham Placeと香港島に渡ってアドミラルティにあるRippo Centerへ。Langham Placeは、旺角の再開発(複雑な街路や屋上建て増しで問題となった旺角エリアの防災面の配慮と文教エリア商業エリアが隣接する為、風紀や治安の面を憂慮の上の開発)を担う商業施設で、彌敦道(Nathan Road)の西側、亜皆老街(Argyle Street)に面する一角(砵蘭街:Portland Street)の250m×100m程度の範囲を再開発しています。設計は商業施設の建築計画では定評のあるジョン・ジャーディー。アジアの主要都市では、この人が関わった商業施設が必ずあるのではないか思われる位、様々な計画に関わっています。日本だと六本木ヒルズの商業施設エリア、大阪のなんばパークス、博多のキャナルシティーなどこれまた主要都市のランドマーク的施設を手掛けていて、迷路のように導線とショップを配置し、回遊を促すような、複雑なマスタープランを立てる事で有名な商業建築家です。 実際見学すると、ジョン・ジャーディー節健在といった感じえで、他の施設より重層的な構成(香港は狭いですから、床面積を稼ぐとなると必然的に重層的)になっており、ライムストーンやテラコッタを多用するオーガニックなマテリアルもこの人が手掛けた事を証左します。 狭い建築面積を重層的に計画していますから、空間の設えも必然的にバーチカルな方向に向かっていきます。

15階建ての建物の中に、100余りのテナントが入居しており、4階から最上階まで続くガラス張りのアトリウムをはじめ、5階分もある長大な通天電梯(エックスプレスカレーター)と呼ばれるエスカレーターや、螺旋階段状の展開など、バーチカルな空間を誇張するしかけが散りばめられています。 このモール施設の設計は、前述の通りアメリカ人建築家のジョン・ジャーディが設計を担当していますが、日本にある各施設と類似点も多く、各フロアー付近に過剰にネオンサインの看板が重なり合うような香港らしい街区の特徴を与えています。 低層階には、百貨店の香港西武が入居していおり、コスメフロアーや飲食店の中には日本でお馴染みの店舗も幾つか見受けられます。そこそこ高級な雰囲気を持っていますが、同時に服飾店などは比較的若年層向けにターゲットを当てキャッチーな印象も併せ持つなど、旺角と言う場所の性格を色濃く反映したマスタープランになっています。 

その後MRTに乗り、アドミラルティにあるRippo Centerへ。この建物はアメリカの建築家、ポール・ルドルフPaul Rudolph)によって設計されたツインタワーで、タワー1(Tower One)は高さ172mの44階建て、タワー2(Tower Two)は高さ186mの48階建て。形状は見ての通りかなり複雑な形をしていて「コアラユーカリの木にしがみついている様に見える」とか言わています。後期モダニズム建築のスターであるポール・ルドルフの代表作でもあるこの建築は何回か持ち主が替わっており、今に至ります。 周辺を見てもわかりますが、スカイスクレイパーの密度感で言えば世界最強(?)のエリアである金鐘〜中環エリアにある為、この特徴的なファサード面は限定的な角度からでしか見えません。25年近く経つ建築物ですが(出来た当時から)このエリアの建築の密度感は明らかにオーバースケールで、グランドフロアから表に出た時の圧迫感というのかな?見上げた時の巨大さは尋常ではありません。経済的な要請からやむを得ないのでしょうけど、モダニズム&ポストモダンのショーケースとなっている金鐘〜中環エリアの超高層ビル群を下から見上げて思うのは、人間の身体感覚を威圧する密度であり、これに比べればザハのJockysClub Innovation Towerやダニエル・リベスキンドThe Run Run Shaw Creative Media Centreがヒューマンスケールの範囲内に納まっている故にほっとしたりします 笑。一概に比較出来ないですけどね。。

Macau & HongKong 2014 Reported by Futoshi Hirasawa

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Macau / Hong Kong 2014 Vol.3|Jockys Club Innovation Tower / The Run Run Shaw Creative Media Centre

 

二日目の午前中は、デコンストラクティビズム(脱構築主義)二連発でザハ・ハディット(Zaha Hadid)設計で昨年竣工した香港理工大学ジョッキー・クラブ・イノベーション・タワーとダニエル・リベスキンド(Daniel Libeskind)設計の香港城市大学メディアセンターを見学してきました。 デコンストラクティビズム(脱構築主義)とは現代建築の様式の一つで、伝統的な建築の形状に頼らず非常にアンバランスな形状を常態化させた所に特徴があります。このような刺激的な形状は、社会やその土地の歴史に対して意義のない、単なる形態の実験に過ぎないと言った批判が度々湧き出ており、日本でもザハ・ハディット設計の国立競技場の立て替えが物議をかもしていますね。

 

 ザハ・ハディット(Zaha Hadid)が手掛けた、香港理工大学ジョッキー・クラブ・イノベーション・タワーは昨年竣工・今年の春にグランドオープンした、15階建ての施設。デザインスタジオ、研究室、ワークショップ、講演会、セミナースペース、教室や展示エリアを備えています。純粋な大学の施設ですが、香港の競馬協会が資金提供した施設なのでこの名がついているようです。グランドオープンしたのは今年の三月ですが、グランド面は絶賛工事中でした。笑 このタワーは、大学の施設と言う事もあって比較的自由に見学する事が出来るのですが、僕らは外側から敷地外を回り込み→その後内部を見学。 外観の形状は見ての通りレイヤードな形状でどこから見てもボリュームが異なります。このレイヤーの部分は、庇の機能も担っておりデザインコンセプト一辺倒な建築ではありません。紅磡站からほど近い香港理工大学の敷地内と言う事もあり、周辺の環境が建築の密度が比較的に低い、恵まれたエリアに計画されています。この事も関係していると思いますが、比較的こじんまりとした建築物と言う事もあり、最近計画されたザハ・ハディット設計の建築物と比較してもスケール感もそれほど違和感が無く、大学の学術施設であると言う事を考慮しても、良く纏まった建築だと思います。

 

インテリアについても、外観の形状をそのまま引き継いだようなシームレスな設えが展開されていて、見る人を引きつけます。ヴォイドの抜け、導線方向からの視線の流れがあり、恣意的な意図がうかがえます。ディティールがもう少し納まっていたらもっと良かったのと、そのディティールからインテリアが破綻している箇所があり、その辺が少し残念でした。デコンストラクションのディティールを求めるのが無理な事なのかもしれませんけど、今年3月に出来上がった割には、内外観共に汚れが目立ち、仕上げに対する対汚性能の検討がもう少しなされていれば良かったなと、個人的に思いました。建築は長く使う都市の資産ですし、ザハが手掛けた最新作。世界中からこの建築を観に来る訳ですからね。

 

ダニエル・リベスキンド(Daniel Libeskind)が手掛けた香港城市大学メディアセンターThe Run Run Shaw Creative Media Centreは、 研究所と劇場、コンピューター工学とメディア技術の教室を配した中核施設。施設そのもののサイズは、ザハの手掛けた香港理工大学ジョッキー・クラブ・イノベーション・タワーよりも小規模で、香港の繁華街旺角よりもさらに北の九龍糖にあります。こちらも文教エリアの外れにあるので、低密度で緑の広がる好立地に位置しています。「ラフカットダイアモンド」と呼ばれる結晶に見立てた外観デザインになっていおり、構造梁、窓、ドアや天井のホリゾントパターンはラインで繋がっており。すべて形状が結晶に結びついてきます。 ザハとは対照的で、先鋭的なラインとボリュームが連なりから形成されていて、膨大なスタディを行わないと導けない形状です。色々な角度で表情を変える建築ですが、香港理工大学のキャンバス側から上がってきたビューが最もこの建築を美しく魅せます。

インテリアに関しては、ザハよりもコンサバティブに纏まっており、学生が研究開発する為のコラボレーションルームに多くの面積を割いていたのが印象的でした。空間のボリュームが建築のサイズに対して大きく取られていた事にもよりますが、ボイドの抜け感やシーケンスな見え方は破綻が無く、視線やアクティビティを誘います。細かい検討もよくなされていたんでしょうね。ディティールも良く(施工精度からくる残念な面が残るにせよ)全体として使うのが楽しい空間になっています。

現在の建築界の一派閥を形成してるデコンストラクティビズムですが、今回香港で見学した二つのケースでは、建築のボリュームがオーバースケールしていない、身体感覚的にそれほど無理の無いサイズで納まっている事と、大学の付属施設の建築であるという敷地与件的に恵まれた環境にある事、モニュメンタルな建築計画を要請した大学側の意図が明解な(国立競技場のようなヒューマンスケールを超えた感覚にならない)事もあって、個人的にはこれこれでありかなと。要請する側のリクエストにも拠りますが、デコンストラクティビズムは周辺環境にゆとりのある、低密度の環境下でないと周辺生活者の理解を得るのが難しいのかもしれませんね。。

 

 

Macau & HongKong 2014 Reported by Futoshi Hirasawa

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