Helsinki / Porvoo 2017 Reported by Mayu Tanaka

2017年の定例研修先 フィンランド・ヘルシンキ&ポルヴォー。田中真優のレポート。

01_HELSINKI CITY

デザイン研修旅行記:田中真優のレポート (1)

前年のベトナムに続き、私にとっては 2 度目となる研修 旅行。今回はフィンランドの首都ヘルシンキへ。 羽田空港から福岡へ乗り継ぎ約 10 時間のフライトを予定 していたが、思いもよらぬアクシデントが続き、到着し たのは 1 日遅れの現地時間で夕方ごろ。航空会社に振り 回され心身共に疲れていたはずの私だったが、ヘルシン キ中央駅を出て広場から街の景色を見渡すと胸が弾んだ。 ヘルシンキの建築は、中世・モダニズム・現代建築が入 り乱れており、AALTO 設計で 1969 年に完成したアカデ ミア書店の隣には密接するように前時代の建築が建つが、 違和感は全く無い。この国では、建築・家具・ファブリッ ク等全てに対して “美しくあるべき” という思想が強い ように感じた。街の至る箇所に掲げられた広告でさえ、 そつがなく、暮らしの隅々にセンスの良さが滲んでいた。

 

02_STUDIO AALTO

デザイン研修旅行記:田中真優のレポート (4)

ヘルシンキ中心部から 4 番トラムに乗り込むこと約 20 分。 STUDIO AALTO は閑静な住宅街に位置していた。 積まれたレンガに白く塗装を施した外壁は自然豊かなこ の街の景色に溶け込み、素朴な安らぎを感じさせた。建 物の中へ入ると、程なくしてガイドツアーがスタート。 未だに生活感漂う温もりある食堂を始めとし、2 階の真っ 白な壁に囲われた仕事場、中庭が覗けるゆったりとした 空間のホールの順に案内して頂いた。STUDIO AALTO は、どの部屋にも必要最低限の照明器具 しか取り付けられておらず、あとは建物を取り囲む木々 を通り抜けた自然光がやわらかく空間を照らす。 採光のために随所取り付けられた大きな窓からは豊かな 自然が覗き、ここでは働く上での楽しさ、豊かさについ て考えさせられた。

 

03_AALTO HOUSE

デザイン研修旅行記:田中真優のレポート (3)

SUTUDIO AALTO から歩くこと約 10 分。 「植物は建築の一部」と語る AALTO が嘗て自宅兼仕事場として腰を据えていた AALTO HOUSE は、青々と生い茂 る緑に囲われ、それら自然の一部の様にして建っていた。 日本の建築や文化を賞賛していたと知られる AALTO。1 階にあるリビングと仕事場とを緩やかに隔てる引き戸 や、収納棚などからは日本の伝統建築の影響が見られた。 2 階へ上がると暖炉のあるリビングを囲うように、寝室・ 子供部屋・ゲストルームへと繋ぐ扉が並ぶ。 この階は完全なるプライベートな空間となっていた。 長く暗い冬が続くフィンランド。 そんな気候の中で、昼中の自然光を可能な限り取り込も うという、仕事と暮らしの境なく生活する AALTO の工夫 がふんだんに施された安らぎの空間であった。

 

04_PORVOO

デザイン研修旅行記:田中真優のレポート (2)

ヘルシンキ中心部からバスに乗り込むこと約 1 時間。 時間が経つにつれ、バスから覗く風景が青々と生い茂る 緑で覆われてゆくのを眺めながら、自分が今遠い異国に いることを忘れてしまう程の安らぎを感じた。 街へ着くと、バスターミナル近くのマーケット広場へ。 突然降り出した通り雨から逃げるように、まずは昼食を とった後、下には緩やかに川が流れる橋を渡り旧市街へ。 丘の上に建つ大聖堂、川沿いに建ち並ぶ赤い倉庫、クラ フト感溢れる小店の数々、パステルカラーの外壁が目を 引く住宅街。私がまず一番に思い描くフィンランドのイ メージは、この街並みの景色のようであると再認識した。 穏やかな時間が過ぎるこの街では、暮らす人々も皆また 同じように穏やかで、私の目に映る PORVOO の街をより 一層魅力的に感じさせた。

 

Helsinki / Porvoo 2017 Reported by Futoshi Hirasawa