粉体塗装のプロダクツ – 家具デザイン展02にて –

先週の金曜日(3/6)は、ギャラリー ル・ベインで開催されている「家具デザイン展02 ものから関係へ − 動き」のレセプションパーティーに行ってきました。内田繁さんの所で学ばれた10人のデザイナーによる家具デザインの競演です。テーマについて、ギャラリーサイトからの引用です。

この展覧会は前回に続いて『関係』をテーマにしています。
近年『もの』は、取り巻く利便性、用途性、経済性などを中心に選択されているようですが、実際にものを取り巻く『関係』は、状況、状態、記憶、物語、時間、歴史などが大きく作用しています。そうした意味において『もの』の関係を考えるのがこの展覧会の意味です。今回は『動き』をテーマに考えました。 内田繁

この展示会で出展されている田中行さんの「CROSS ORVER」と名付けられたプロダクトは、昨年から取り組んでいるプロジェクトの一つで、福山のパウダーコーティング・ファクトリーであるSIRIUS(シリウス)さんとの恊働で生まれたプロダクトです。元々は、シリウスさんから「粉体塗装を活用したプロダクトを創りたい」という話に、僕(平澤)と行さんで乗ったのがスタートで、今年からプロトタイプを幾つか製作し、流通に載せる為の展示会にも発表して行く・・そんな流れでした。 その中で行さんが上記の展覧会(のテーマに即して)出展する作品を、このプロトタイプとは別に創ったのが上記の「CROSS ORVER」です。

粉体塗装は、スチールやアルミなどを帯電させてから粉体状の塗料を吹き付け、オーブンで焼き付ける事で仕上がります。均一性が保たれやすい事、塗幕が着きやすく定着がよい事、耐摩耗性や耐衝撃性が高い事など通常の焼き付け塗装よりも優れている面があります。行さんの「CROSS ORVER」は、この均一性とは真逆の「グラデーション」「一過性」といった液状塗装では不可能な、粉体塗装でないと出来ない「裏の面」にフォーカスを当てており、シンプルな正方体の筐体に恣意的なグラデーションを施すといった、職方サイドからするとかなり難易度の高い粉体塗装にチャレンジしています。時間のない中で色構成、サンプル&アジャスト、製作でしたので大変だったと思いますが、デザイナーの行さんも製作されたシリウスさんも非常に得たものは大きかったと思います。見に来られる方も一筋縄では行かないような、目の肥えた方が多いですから余計に(笑)。以下、行さんのメッセージからの引用ですが・・

先週末のレセプションパーティーに製作してくださったシリウスさんが会社総出で広島から上京、見てくださった方の反応をダイレクトに感じてもらえて良かったです。デザインという行為は技術と技術者なくしては成立しません。デザイナーはきちんと裏打ちされた技術と携わる職人さんを紹介する役目を担ってるはずです。職人魂を伝える努力も重ねていきたいと思います。 田中行

シリウスさんとのプロジェクトでは、プロダクトの開発と同時に「粉体塗装ならではの表現」にもチャレンジしていきます。アイデアは固まっており、あとはトライアル&リファインを繰り返し。納得出来るものを創るのみです。こちらも非常に楽しみ。また、今回の展覧会、他のデザイナーの作品も精魂込めて創られた感があってとても素晴らしいので、皆さん是非脚を運んでご覧になってください。

 

「家具デザイン展02 ものから関係へ − 動き」
開催期間 2015年03月03日(火)~2015年03月15日(日)
休館日 月曜日
時間 11:00~19:00(最終日は17:00まで)
入場料 無料
会場 ギャラリー ル・ベイン   東京都港区西麻布3-16-28
会場電話番号 03-3479-3842
参加デザイナー 藤原敬介、米谷ひろし、田中行、山本達雄、橋本潤、君塚賢、水谷雅文、茨城千香子、工藤篤司、岡部泉

ギャラリー ル・ベイン
家具デザイン展02 ものから関係へ − 動き – JDN –
パウダーコーティング・ファクトリー SIRIUS(有限会社シリウス)
建築+デザイン事務所イッスン

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