オフの日の見学。ベトナム戦争の戦跡。クチのトンネル、統一会堂

クチのトンネル  Dia dao Cu Chi

ベトナムのホーチミン市から車で1時間半、クチ県を中心とした全長200kmの地下トンネルネットワーク。ベトナム戦争中に、南ベトナム解放民族戦線(ベトナム・コンサン=ベトコン)によってゲリラ戦の根拠地として作られ、ここよりカンボジアとの国境付近までトンネルが張り巡らされていた。戦時中、南ベトナム解放民族戦線の兵士たちは様々な工夫をして、狭いトンネル内に身を潜めて暮らしており、当時の地下生活の様子や戦争中に使われた罠の数々が、戦争史跡公園として残されています。

クチのトンネルが出来るまでの経緯、闘い、その生活を各国語に分けられた場所で10分程度のビデオを見させられます。


ビデオを見る小屋の外観。この小屋も当時の造りを再現


地下ネットワークに繋がる地上口


避難する為の入り口。小柄なベトナム人しか入れないようにギリギリのサイズで作られている


避難する為の入り口。小柄なベトナム人しか入れないようにギリギリのサイズで作られている


避難する為の入り口。小柄なベトナム人しか入れないようにギリギリのサイズで作られている


避難する為の入り口。小柄なベトナム人しか入れないようにギリギリのサイズで作られている


地下道にアクセスする為の入り口。


トーチカを兼用した地下入り口。


ベトコンの兵士の休息を再現した蝋人形


ベトコンが使用した戦車


南ベトナム政府軍、アメリカ軍に対し使用したトラップ


南ベトナム政府軍、アメリカ軍に対し使用したトラップ


南ベトナム政府軍、アメリカ軍に対し使用したトラップの数々


ベトコンの兵器工場を再現した小屋


主にアメリカ軍が落とした不発弾や残置した砲弾から火薬を抜き取り、独自の兵器を手作りでつくっていた

米軍が落とした不発弾から火薬を抜き取り、自分たちが使いなれている武器に変換したり、ヘビの毒を鈍器の先端に塗るなどした戦術がメイン。弾切れに苦労しなかったことも勝因の一つと言われています。

クチの名物で戦争当時も主食として食べられていたライスペーパー作りを再現している


ベトコン兵士の戦闘着の制作を再現している小屋


クチの戦闘指揮所。当時はこの指揮所があちこちに設置されていた


兵士の食堂と厨房がセットになった小屋


食堂小屋の内部


ベトコンの男性戦闘員、女性戦闘員を再現した蝋人形

 ベトコンの組織抵抗の拠点として構築されたクチのトンネルですが、途中トンネル内部を体験するエリアや実弾を発泡出来るエリア(オプション)があり、戦争当時ベトコンがどのようなゲリラ戦を強いていたかが良くわかる構成になっています。トンネル内部は長期戦を考慮した作りとなっていて、寝室や台所、食糧庫、戦略室に映画館までもあったそうです。最終的にアメリカ軍はクチのトンネルを攻略できずに撤退します。ベトコン側の被害は多大なものでしたが、地の利を生かしたゲリラ戦術はその後の陸上戦の戦術で世界に注目されることになります。またある学者が、「世界中の技術者を集めても、クチトンネルを作ることは不可能」といわしめたほど多様性に富んだ地下道と評価されています。

ちなみに南ベトナム解放戦線は、厳密には全員共産主義になびいていた訳ではないのでベトコンと呼ぶのは間違いだそうです。ただ、解放戦線=ベトコンと名称の方が通称のように通ってしまっているのが残念。とホーチミンから着いて来てくれたガイドのフエンさんが仰っていました。

統一会堂 Dinh Thong Nhat

統一会堂。前庭からの全景

南ベトナム政権時代の大統領官邸であり、同時にベトナム戦争終結のシンボルでもある「統一会堂」1975年4月30日、この門をベトナム解放軍の戦車が、突入無血入場して事実上ベトナム戦争は終結しました。全世界で流されたその映像や写真でこの歴史的な建物を思い浮かべられる人も多いと思います。統一会堂は南ベトナムの大統領官邸としての華やかな側面と、軍事会議室や脱出のためのヘリポートなど戦争の負の側面の両方を垣間みられる事ができます。

ゲート脇にあるスーベニアショップを兼ねた管理棟


統一会堂のエントランス。いわゆる玄関ドア的なものが無く風通しの良い造り


北ベトナムの政府軍が突入に使用した戦車が前庭の脇に展示されています


内閣閣僚が使用した会議室


来賓客間。統一会堂は東西にシンメトリー状の構成になっていてそれぞれのサッシュを開けると風が通るようになっています


来賓客間脇の廊下


慶節室は今でもサミットなどに使われているそう


エントランスから3Fまでアクセス出来る階段。チークをふんだんに使用した贅沢な造り


開口部のディティール。花崗岩の装飾とスチールサッシュの組み合わせですが、サッシュが細かく仕切られており、繊細に開け閉め出来るようになっています


2Fバルコニーから見た前庭


南ベトナム大統領が使用した国内賓客応接室


ライブラリー室


官邸のリビング


コリドー前の敷石のパターン


3Fにある、大統領の官邸。コリドーで開放的な造り

現在の建物は二代目で、1966年にベトナム人建築家ゴ・ベト・チューによる現代建築として再建されたものです。建築的にもその当時の世界的な潮流の影響も感じ、大統領の宮殿としては非常にモダンな設えだと思います。

 

 

Ho Chi Minh City  2016 Reported by Futoshi Hirasawa

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