2013

Designcafe™ の主宰者、平澤太のブログです。デザイン考、ライフワーク、インサイト、旅行などを不定期に綴っています。

忘年会 2013

先週の金曜日は、うちの事務所の忘年会でした。2004年の創業の年から毎年末やっている忘年会ですが、丁度丸10年。10年ってあっという間ですね。確か、最初の忘年会は9人くらいの飲み会でした (笑)。

忘年会は、その年のバロメーターみたいになっていて、特にお世話になったメーカーさんや恊業したデザイナーや建築家、フォトグラファーやグラフィックデザイナーなど事務所にとって「身内」のような近い人だけを誘ってやっており、ここ数年は顔ぶれが固定化しているせいか、横のつながりもなじみのある会になってきました (笑)。毎年書いている事ですが、僕らのような仕事は一人ではできないし、色々な職能の人たちの力を借りて成立しているので、こういう場と言うか感謝の気持ちを伝える場所は大切です。一年を良い事も悪い事も含めて振り返って、そして忘れる事。来年一年をより良くする為にリセットする、重要な儀式です (笑)。

今回の会場は、蔵前のシエロイリオに出来たばかりの貸し切り専用の「ファニングルーム」で、隅田川とスカイツリーを眺めながら、イタリアンとスパニッシュのビュッフェスタイルで楽しみました。ほぼ立食スタイルですが、この方が色々な人と話が出来るし、いいですね。イーストトーキョーを代表する大箱カフェということもありますが、この日を楽しみに来てくださった人も居て良かったです。

二次会は、上層階にあるリバヨンで。リバーサイドの四階にあるからこの名前なのですが、ここはお座敷のようになっていて、卓球台があり、卓球チームと呑み語りチームで分かれて楽しみました。いいですね、こういうのも。

去年の忘年会は結局最後引きづり出され、想っていた事が言えずじまいでしたが、今年は参加してくださった皆さんを一人一人、感謝の気持ちを込めて僕から紹介しました。丸10年でやっと思った通りにできたかな、と。

Tokyo Motor Show 2013 -東京モーターショー2013

今年も東京モーターショーへ、事務所のメンバーで行ってきました。
Designcafeでエキシビションのスタンドデザインを手がけるようになってから、特に意識して行っている東京モーターショーですが、今年は前回以上にエコカーが百花繚乱といった感じで、環境共生や環境配慮に則った車が数多く出展していました。 モーターショーは(ご存知の方も多いと思いますが)その国のメーカーが世界に先駆けて発表する(ワールドプレミア)が目玉で、今回の東京では国産車各社が目玉となる新車をリリースしています。

 その中で、各社のスタンドデザインは、そのブランドを象徴する大切な要素であるので、各社気合いを入れて(笑)色々仕掛けてきます。ここ数回のモーターショーの傾向としては、CM連動型(CMや広告の知名度を生かして、ストーリー性のある展示がメインでTOYOTAやHONDAなど主に国内メーカーが実践)かプロダクト・ブランド訴求型(所謂従来の展示でブランドアイデンティティやプロダクトバリューを訴求する直球の展示で、主に欧州メーカーが実践)の大きく二つに別れます。 来場者の関心はあくまでも車なので、展示車をどう魅力的に訴求していくか?ということであれば前者も後者も差がないと思いますが、印象として強く残るのは前者、ブランドの品格を感じるのは後者といった感じでしょうか。

 個人的にCM連動型ブースで印象に残ったのはHONDA

「枠にはまるな。」という今期のステートメントに則った、シンプルな会場構成にメッセージを散りばめたスタンドデザインを展開。国産車の中でも現実的にリリースされそうな2台のミッドシップ「S660 CONCEPT」と「NSX CONCEPT」がステージ上でメイン展示されており、12月に発売されるヴェゼルなど、見所満載。

本田技研工業という社名には、自動車の文字も、2輪車の文字もなくさまざまなものを作り出す意味が込められていますが、今回のモーターショーでは4輪車、2輪車、汎用機、ロボットなどを展示しており、ステートメントをそのままに“枠にはまるな。”というメッセージを強く訴えかけています。ショータイムで流される映像もHONDAが町工場から2本のスパナでスタートした事を想起される映像で、2個のナット(二輪)が街に飛び出し、タイヤのごとく疾走しながら、次第に4個(四輪)、最後はジェット機へ昇華していきます。この映像はとても素晴らしくて、しばらく見入ってしまいました。コピーといい映像のデフォルメの仕方といいHONDAは上手いですね。

スタンドデザインとしては、突出した見所はありませんが、自社をどう上手く来場者に伝え、訴えかけていくか?という視点ではとても機能していたブースデザインだと思います。
東京モーターショー2013 HONDA stand

プロダクト・ブランド訴求型ブースで印象に残ったのはAUDIとVWとスバル

AUDIとVWについては、毎回期待を裏切らないというか(笑)スタンドデザインも見せ方も上手く、世界中を廻るモーターショーで統一したブランドイメージを訴求しています。欧州メーカーは、ユーザーとの距離感を少し持たせる・・間を取るようなスタンドデザインが多いですが、今回の2社は点在させながらユーザーフレンドリーに導線されていて好感が持てました。特にVWは、TOYOTAと並ぶ全カテゴリーの多様な車種を持つメーカーですから、特に必要としていたのかもしれません。TOYOTAがCMをそのまま会場に持ち込んでいったやり方と対局を成しますね。
東京モーターショー2013 AUDI stand
東京モーターショー2013 VW stand

 東京モーターショー:スバルブース個人的にはSUBARUのスタンドデザインも印象に残りました。 世界の名だたる自動車メーカーが軒を連ねるので、派手な側面に目が行きがちですけど(笑)、シンプルながらも巧妙にプランニングされた配置・・バックウオール前のLEVORGの見せ方など、裏手に廻らないと見えない(見せない?)手法は、東京では目新しいし提案する上でも勇気が居るのではないかと(笑)。SUBARUは他の乗用車メーカーに比べて車種が少ない事もありますが、ブランドカラーのブルーとLEVORGのカラーがスタンドケーシングのホワイトとよくマッチしていて素敵でした。前回もスバルのスタンドデザインはとても良かったのですが、今回も感銘を受けました。
東京モーターショー2013 SUBARU stand

東京モーターショーは回を追うごとにECOを訴求した環境指向のモーターショー(他の都市で開催されるモーターショーとの棲み分けもありますが・・)になっており、今回も日本ならではのハイエンドテクノロジーを各社競いながら、「日本ブランドの訴求」を最重要テーマとして据えています。近年の自動車テクノロジーは、日本とドイツが牽引してることを考えると、ずれてはいません。 同時にアメリカメーカーの不在、日本マーケットの縮小からくるイベントとしての祝祭感は寂しい感じで、主催者側の想いと来場者の意識が乖離しているのかなと思いました。 イベントは想いと志と同じ位、モノが売れていないと厳しいということなのでしょうね。

 

TOKYO DESIGNERS WEEK 2013 Vol.1

今年も、TDWに行ってきました。

東京を代表するデザインのイベントで毎年10月下旬から始まる東京のデザインイベントの総本山、みたいな位置づけで開催されています。景況感に左右されやすいデザインイベントですが、今年も「FES -祭り-」をメインテーマにデザインアソシエーションNPOが主催。今年の特徴としては、アジア圏のクリエイターが出展するアジアアワード、オンライン・クリエイターズマーケットCreema(クリーマ)や東京事変のメンバー亀田誠治とのコラボレーション企画、放送作家の小山薫堂が発起人の市民主体型プロジェクト「東京スマートドライバー」のコミュニケーションデザインラボラトリー、日本最大級の料理人コンペティション・・・といったデザインにまつわる生業の全て「食・住・遊」の新企画を含む20以上のコンテンツを展開しています。まさに祭りですね。

中心と成っているのは、デザイナーのプロダクト展示、クリエイターと企業のコラボレーション企画、学生展示で、コンセプトを明解にする過程を見せたり、プロトタイプを提示したりと見所満載で、各所でユニークなワークショップも開かれました。年々子供連れの方が増えているのも納得。また、ドーム会場では著名アーティストのLIVEも開かれます。

個人的に良かったのはLEXUSのインスタレーション、プロダクトでは「マモリス」、学生展では「竃」、そしてスモーキングスペースでしょうか(笑)。 LEXUSは「車が一切登場しない」代わりに鉄骨のフレームに木材をつなぎ合わせた、空中を走り抜けるようなインスタレーションで、とてもエモーショナルな展示構成。上質感の印象を非常にスタティックに構成しています。 マモリスは椅子とヘルメットと一体化したユニークな椅子。ヘルメット部分はいつも座面の下に隠れていて、いざというときに被ると、背もたれ部分は首から背中をガードする優れものです。イスのパーツが防災機能を担うという便利かつユニークなデザイン。学校の椅子に採用して欲しいなと思いました。 学生展の「竃」も即席のキッチンをレンガブロックで積み上げる簡易的なものですが、その仕組みが簡単に誰でも出来るよう指南されていて、地産地消、そのサスティナブルな取り組みが評価できます。

今回、コンテンツが大幅に増えた事もあって、全体を見るには一日必要でしたが、僕らが行った時は天候もよくゆっくり見回る事が出来ました。年々多様化するデザインの役割が、そのまま明文化されたような今年のTDW。ユニークやウケ狙いばかりでなく(笑)、多様性に富んでいてとても面白かったです。