平澤太

Designcafe™ の主宰者、平澤太のブログです。デザイン考、ライフワーク、インサイト、旅行などを不定期に綴っています。

Seoul 2016 Vol.02|三清洞・北村韓屋村・YIDO

今回の視察の目的地の一つ、三清洞(サムチョンドン)と北村(プッチョン)の韓屋村へ。 安国駅から徒歩五分。昔ながらの韓屋(ハノッ)をリノベーションしたレストランやカフェ、ショップが集まっており、近くには狭い路地に韓屋がぎっしりと並ぶ「北村韓屋マウル」があります。日本でもそうですが、昔のお金持ちは大抵高台に居を構えます。韓国でも然りで、この三清洞の韓屋は比較的裕福な家の家屋の集合で、凝った設えの家が軒を連ねます。

地下鉄3号線安国(アングッ)駅


三清洞の植樹。季節柄、夏紅葉などが点在し、街に彩りを与えます。


三清洞の典型的な路地


三清洞の鬼瓦と外壁のパターン


三清洞のショップサイン


三清洞の典型的な韓屋。重厚な外壁と門で構成されている。


三清洞、北村の典型的な路地


三清洞、北村の韓屋の外壁パターン


三清洞、北村の韓屋の路地と外壁パターン


三清洞の伝統的な家屋


三清洞、北村の路地


三清洞、北村の韓屋の外壁パターン。レンガ造は比較的近世(明治時代くらい)に建てられた韓屋。


三清洞、北村の韓屋の外壁パターン。最近のもの。


三清洞、北村の韓屋の門づくり。最近のもの。


三清洞の鬼瓦と外壁のパターン

 個人的に韓国・ソウルへは、仕事と視察で何度か訪れているものの、三清洞や北村へ脚を運ぶのは、これが初めて。14年前の視察時は、水原にある民俗村へ行き、韓国の建築の様式や素材などを見てきました。こちらの方が伝統的な韓屋の造りが、両班や農民の家と行った具合にカテゴライズされてわかり易いからです。また、民俗村の場合、サムルノリの様な伝統舞踊(音楽)や馬上武芸のような芸事も見学出来ます。三清洞や北村の韓屋の場合、時代背景が異なる家屋が街として連なっている事がポイントで、時代背景が異なっていても、外敵からの侵入を防ぐ為に重厚な外壁と門を構える造りはほぼ一緒と言った感じの特徴が見て取れます。

比較的最近建てた住宅と路地の関係。風致規制故か建築のトーンが揃っていろ


三清洞、北村の韓屋の外壁パターン


三清洞、北村の韓屋の外壁に書かれたハングル・サイン


三清洞、北村の韓屋の典型的な門構え


三清洞、北村の韓屋の典型的な門構え


三清洞、北村の韓屋の典型的な路地

民俗村を見学した時は、余り感じなかったことですが、三清洞、北村の典型的なの韓屋は押し並べて軒が低く、建物のボリュームを感じさせない造りになっています。韓国の伝統的な住宅建築は、重層にしないイメージがあり(この辺の理由はちょっと調べてみないと解りませんが)路地との関係性なのか、単に狭い土地に対して陽の光を取り入れる工夫からなのか、興味がわきました。

青磁や白磁をベースに作陶する女性作家イ・ユンシンのショップギャラリーyido。


yidoの店内。ソウルで気になるレストランの器は、この人が手がけているものが多い


yidoの作品。ソウルで気になるレストランの器は、ここで手がけているものが多い

北村韓屋村には、韓屋をリノベーションしたショップが数多くありますが、伝統的な所作を取り入れた器や陶器を扱うショップ&ギャラリーも点在します。今回の視察は器やレストランでの持て成し方もチェックする目的があったので、ソウルの有名レストラン御用達の作陶家イ・ユンシンさんのギャラリーyido(イド)にも立ち寄りました。青磁や白磁と言った韓国の伝統的な作陶技法をモダンに解釈し、使いやすい器に仕立てているのが特徴です。印象的なのは、釉薬の色彩。青磁の青でも釉薬を繊細に扱っていてシンプルな形故に印象に残りました。

食器は、その国の食生活と密接に関わっています。韓国の作法の場合、器を手に取って食べる事はNGで、箸で摘んだり、スプーンよそって食事を取ります。なので器は原則、膳の上に載せっぱなし。また、大勢でシェアする主菜やメインデッシュと御飯、副食などの個々に配食するものを明確に分けていて、陶器でも蓋をつけたり(保温)と日本とは異なる特徴があります。yidoの器もその辺を考えられて創られており、現代ならではの作陶でモダンにつくられています。後述の茶啖 (タダム) モダンコリアンキュイジーヌでは、メニューの内容に即したカタチで提供されていてとても印象に残りました。

 

SEOUL  2016 Reported by Futoshi Hirasawa

Photo / Text : HIRASAWA FUTOSHI 
Camera : Fujifilm X-Pro1 & X-T10 
Lens : Fujifilm XF14mmF2,8 & XF18mmF2 & XF35mmF1,4
Photo retouch : VSCO & Lightroom

 

Seoul 2016 Vol.01|Ibis styles Ambassador Seoul Gangnam

ibis Styles hotels kangnamの2Fバースペースのパーテーション

ある飲食店舗の業態開発と空間設計の参考の為の視察で韓国・ソウルに行ってきました。個人的には5回目の韓国で、そのうち4回はソウル市内。前回訪問したのは昨年なのですが、ソウルではなく水原でソウルには数時間しか滞在しなかった事もあり、記憶的にはその前の訪問(同じクライアントの新店のデザインネタ探し)になる2002年・・ということで14年ぶりと言った感じです。羽田空港から金浦空港という街からのアクセスの良い空港という組み合わせも初めての経験です。

金浦空港。2016年5月1日


三成駅(サムソン)。2016年5月2日

街の雰囲気は昨年の旅行で何となく掴んでいるのですが、明洞や仁寺洞は勿論、アックジョンもかなり雰囲気が替わった印象で、洗練されたお店が増えました。昔ながらの焼肉店もあり、新旧混在している雑多な部分も残っていますが、エリア事の棲み分けが進んでいる印象を受けました。

ibis Styles hotels。世界中にあるイビスのコンセプトホテル。


ibis Styles hotels kangnamのレセプションカウンター。


ibis Styles hotels kangnamのラウンジスペース。

今回はショートトリップ(三泊四日)で視察がメインでしたが、GW中の強行視察だった事もあり(笑)、ホテルがなかなか取れず苦労しました。最終的に決めたのは、江南エリアの三成駅&COEX近くにある、Ibis styles Ambassador Seoul Gangnam(イビス・スタイルス・アンバサダー江南)。世界中にあるIbisですが、バジェットラインの価格帯で「スタイル」というコンセプトの元、デザインや設えで提供しているホテルです。イビス・スタイルスの場合、明洞にも同じコンセプトのホテルがあるのですが、こちらはあいにく満室でした。ちなみに三清洞や仁寺洞、明洞あたりの観光ならこちらが便利です。

ibis Styles hotels kangnamの9Fエレベーターホール。フロアー事にデザインが異なる。

視察する先が、ソウルで流行しているオーガニックやコリアンキュイジーヌの飲食店、作陶家が運営するギャラリー&カフェ、伝統家屋が並ぶ韓屋街、ザハの遺作になってしまったDDPなど、事前に決め打ちしていたので、視察先が多い江北側の明洞辺りを定宿にした方が便利でした。同時に地下鉄とタクシーが便利で、今までの経験でだいたいの場所は地図を見なくても察しがつく事もあり(笑)空港からのアクセスの良いCOEX近くで手を打った感じです。ちなみにCOEXはバスターミナルの機能と空港チェックインの機能が備わっていて、大韓航空やアシアナ航空(とANAのコードシェア便)、JALもチェックイン出来ます。空港で並ばずにすむので、大変便利です。

ibis Styles hotels kangnamの9Fエレベーターホールサイン。


ibis Styles hotels kangnamの9Fエレベーターホールのカーペットパターン。


ibis Styles hotels kangnamのレセプションエリア。

Ibis styles Ambassador Seoul Gangnamですが、リノベーションして生まれ替わったホテル。設えというよりも若々しいデザインで勝負している感じで、バジェットライン故かホテルの部屋は全般的に狭いです。ショートトリップやビジネストリップなら快適ですが、ロングステイだと厳しいかもしれません。フロアー事にパブリックデザインが変えられていて、何回来ても飽きないように工夫がこらしています。部屋にバスダブは無く、シャワーのみで、トイレはウォシュレット完備(笑)。ソウルに限らず海外のホテルでウォシュレット完備ってまだまだ少ないのです。アメニティは最小限ですが、一通り揃っており男性なら困らないと思います。

ibis Styles hotels kangnamの9Fルーム誘導サイン


ibis Styles hotels kangnamのスタンダードルーム


ibis Styles hotels kangnamの1Fエレベーターホール

2FにBar(ただし21:30閉店。笑)とレストランが併設されていて、ジムやサウナなど一通り揃っています。ちなみに朝食を付けた場合は、大抵のホテル同様ビュッフェスタイル提供されます。フードの種類は多くありませんが、バジェットラインのホテルならこんな感じなのかなと。

ibis Styles hotels kangnamの2Fレストラン


ibis Styles hotels kangnamの2Fレストラン。サラダバーが常設されています。


ibis Styles hotels kangnamの2Fレストラン。カラーガラスの壁面とイラストレーションが楽しい。


ibis Styles hotels kangnamの2Fレストラン。ルーバー状のパーテーション。


ibis Styles hotels kangnamの2Fレストランの朝食ビュッフェ。


ibis Styles hotels kangnamの2Fバースペースのパーテーション

このホテルのネガティブな部分を上げるとすればアクセス。COEXに近いと書きましたが歩いて10分程度掛かります。三成駅までが7分程度。地下鉄駅までの歩く距離が中途半端な感じですが、これさえ目をつぶれば価格に見合ったホテルだと思います。

ibis Styles hotels kangnamの2Fバースペースのパーテーション

 

SEOUL  2016 Reported by Futoshi Hirasawa

Photo / Text : HIRASAWA FUTOSHI 
Camera : Fujifilm X-Pro1 & X-T10
Lens : Fujifilm XF14mmF2,8 & XF18mmF2 & XF35mmF1,4
Photo retouch : VSCO & Lightroom

 

 

CYUON – Project 2015-2016

 広島県・福山市に拠点を置くパウダーコーティングファクトリー「シリウス社」が粉体塗装の可能性に挑戦するブランディング・プロジェクト。独自のカラーシステムを開発し、粉体塗装の可能性に挑戦しながらオリジナルプロダクトを開発した。また、コミュニケーションシステムとして、ロゴ、VI、名刺や封筒、コンセプトリーフレット、コンセプトカードなどのツールから、ウェブサイトまで、包括的で良好なコミュニケーションを目指した。

このプロジェクトでは3年計画で進めており、初年度2015-2016では、オリジナルカラーシステム”EMBELLISH(エンベリッシュ)のメインカラーであり、粉体塗装が繊細な表現をしやすい部分に着目したグラデーションシリーズ「スケープカラー」を始め3種30色の色彩を開発。そしてスケープ・カラーの特性を生かしたメタルプロダクトとして、Origami Stool , Z-Leg , Swing Plannter,Card-Caseをプロトタイプとしてリリースし、JAPANSHOP 2016で発表した。

 

プロデュース:杉原広昭(SIRIUS co.,ltd)
マネージメント:杉原弥生(SIRIUS co.,ltd)
テクニカルディレクション:高橋佑太(SIRIUS co.,ltd)
ペインター:桒田拓哉(SIRIUS co.,ltd)
ペインター:桒田直哉(SIRIUS co.,ltd)

クリエイティブディレクション・プロダクトデザイン:平澤太(Designcafe-Inc.)
カラーエディトリアルディレクション・プロダクトデザイン・会場構成田中行(ISSUN)
プランニングディレクション:鈴木晋二(CONCENTWORKS-Inc.)
グラフィックデザイン(CI,VI):佐藤浩二(COSYDESIGN-Inc.)
グラフィックデザイン(ツール):makimo(CONCENTWORKS-Inc.)
コピーライティング:柴崎卓郎
WEBサイトデザイン:小坂直美

制作協力
ORIGAMI-STOOL:株式会社三罡技研
Z-LEG:協和技研株式会社
CARD-CASE:株式会社成和プレス
エキシビションブース製作:山中亮介(Threelight-Inc.)