平澤太

Designcafe™からのお知らせ

大阪万博1970 デザインプロジェクト

国立現代美術館で開催している「大阪万博1970 デザインプロジェクト」展を観に行ってきました。1970年3月15日から開幕した大阪万博(日本万国博覧会)は日本初の総合博であり、会期中の6カ月で6,421万人が来場。日本初の万博であり、企画も運営も全て未知の世界である大阪万博は、デザイナーにとっても空前の大舞台であり、実験の場でもあった訳です。「大阪万博1970 デザインプロジェクト」展は、万博成功の裏方でもあるデザインに焦点を当て、読み解くことにフォーカスを当てた企画展です。

 

大阪万博の開催が正式に決まったのは、東京オリンピックの翌年1965(昭和40)年。4年半後の開催に向けて矢継ぎ早に準備進める訳ですが、東京オリンピックでも活躍したデザイナー(大御所の先生たちですね)が早速テーマの決定、基本構想の策定、シンボルマークの制定などを進めます。国内外に周知させる、もしくはアピールする為にはやはりシンボルとキービジュアルが必要ですから、先陣を切る訳です。このシンボルマークは紆余曲折あって、コミッティによって最初に選ばれた公式シンボルマーク(デザイン:西島伊三雄)に当時万博協会の石坂泰三会長から物言いが入り、再度選定しなおされます。最終的な公式シンボルマークをデザインされたのは大高猛さんの案。5枚の桜の花びら(=日本)に見立てながら5大陸(=世界)も暗喩させる洗練されたシンボルです。今回の展示の良い所は、選定から漏れたシンボルマーク案も公開している所で、亀倉雄策さん、田中一光さん、仲條正義さん、永井一正さんらの競演が見られます。ボツ案ってなかなかお目にかかれないですから。。

 

 

第二部では、環境デザイン面にフォーカスが当てられています。会場構成、建築(お祭り広場や各種パビリオン)、サイン計画、バスシェルターや電話ボックス、モノレールなど主にインフラ面を支えたデザインです。1967(昭和42)年3月からスタートした造成工事は、日本のイベントではオリンピックでも経験していない「1つの会場に50万人超の来場者が来る事」を想定し、この当時から見た近未来の都市をイメージした計画を立案。チーフプロデューサーである丹下健三の基本構想のもと、イベントの中心となるテーマ館(太陽の塔)や劇場、美術館などを集めたシンボルゾーンを「木の幹」とし、動く歩道を「枝」に見立て内外のパビリオンを「花」に見立てています。

日本では高度成長期のイケイケなマインドだったと思いますが(笑)、万博の傾向として「見せる万博」から「考える万博」へとその性格を大きく変えています。公害や人口爆発、資源の枯渇など様々な地球上の問題が顕在化し、国単位ではなく地球上に住む一人一人が考えなければならない問題に直面したからなのでしょうね。大阪万博が採択したテーマである「人類の進歩と調和」は、人類の進歩を讃えるだけなく、科学技術の進歩がもたらすさまざまな負の側面にも目を向けようという趣旨は当時画期的でこの理念を表現すべく「お祭り広場」が構想され、その中心に岡本太郎による「太陽の塔」が作られ、テーマ展示が展開された訳です。 

 

デザイナーにとっては、万博開催という莫大な予算が投じられた事で、通常の仕事では経験できないようなスケールの大きな仕事に関わる事ができたことも見逃せません。

メインパビリオンである「日本館」・・上から見るとシンボルマークのようにデザインは、河野鷹思をはじめ、田中一光、高村英也、古畑多喜雄、粟津潔、中村真、田村倫昭らが展示計画を作成。横尾忠則がディレクションしたせんい館は、今で言うディコンストラクションのような外観で異彩を放っており、会場では若いデザイナーの競演の状態。 また木村恒久は「矛盾の壁」という題でフォトモンタージュを製作。当初は、原爆投下直後の広島・長崎の記録写真をもとに作品を創っていますが、開幕1カ月前に政府からクレーム(あまりに生々しく凄惨だったため)が出されたため急遽変更を余儀なくされています。この結果、悲惨な内容は目立たなくなりました。この章で思ったのは、若いデザイナーが遠慮せずにエネルギーをぶつけている感があって、この絶好の機会に自分のクリエイティビティーを遺憾なく発揮しよう・・そんな強い意思が作品全てから伝わってきます。前例の無い仕事だけに大変なのは間違いないのですが、その個の力に圧倒されます。

最終的には、大阪万博は半年の会期中に6,421万人が来場、大成功をおさめました訳ですが、この「大阪万博1970 デザインプロジェクト」では、大阪万博を成功に導いたデザインワークを振り返ることで、デザイナーにとって万博とは何だったのか考え、また個の力から集合知に向かうパワーを感じる事ができます。デザイナーの皆さんにお薦めの展覧会です。。

  • 会場 東京国立近代美術館 〒102-8322 東京都千代田区北の丸公園3-1
  • 電話:03-5777-8600(ハローダイヤル) 東京国立近代美術館 
  • 会期 2015年3月20日(金)~2015年5月17日(日) 
  • 料金 一般 430円 (220円) 大学生 130円 (70円) 
  • *( )内は20名以上の団体料金 *高校生以下および18歳未満、
  • 65歳以上、「MOMATパスポート」をお持ちの方、
  • 友の会・賛助会会員、キャンパスメンバーズ、
  • 障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。 
  • イベント開催中の休館日 月曜日(3月23日、30日、4月6日、5月4日は開館)
  • URL http://www.momat.go.jp/Honkan/expo70/index.html

2015 人形町の桜並木と浜町公園の夜桜とカメラ

10年前から事務所(と6年前からは住まいも)を人形町に移してから撮影している桜です。定点観測すると同じように見えても微妙に変化があったりします。この間撮影に使用したカメラもRICOH GR-Digital2から始まってCanon EOS7D、Olympus E-P2と代わり、今はFujifilmのX-Pro1とX-M1で撮影していて、カメラの個性がこの微妙な変化を生んでいる事も大きいです。

2013年に7DとE-P2を手放して手に入れたカメラX-Pro1は、Fujifilmが満を持してリリースしたXシリーズの最高機種で独自開発したAPS-Cサイズのセンサーを搭載するミラーレス機です。フィルムメーカーらしく往年のフィルムを再現したフィルムシュミレートが撮影する楽しさを与えてくれます。見た目もレンジファインダーライクなデザインなので所有欲も上がりますし。笑)この後にこのカメラとレンズ共有できるサブカメラ(コンパクト機の代わり)としてX-M1も購入するのですが、こちらは鞄の中に入れっぱなしにしていて、気づいた時にすぐ撮れるようにしています。iPhoneのカメラでも良いのですが、後々の記録とするのであればマニュアルで想いのままに撮れるカメラの方が、断然良いと思うからです。

今回の桜の撮影では、二台を併用しました。無理な体勢で撮影する時はライブビュー付きのX-M1を、じっくり味わって撮影する時はX-Pro1を(笑)それぞれ使い分けています。さらに夜桜で手持ち(ブレ易い)なので解放値の高い明るいレンズ標準レンズXF35mmF1.4と広角なXF18mmF2の二つのレンズを使い分けています。このくらい明るいレンズだと、手持ちでもシャッタースピードを上げられるので背景をぼかしながら手前の花びらをマクロで撮る事ができて楽しいです。

僕くらいの未熟なテクニックだとカメラの能力に負うところが大きくて、如実に結果が出ますね(笑)もっと腕を上げたいです。。

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東京都庭園美術館リニューアル記念・アーキテクツ1933

東京都庭園美術館。エントランスまでの植樹。FUJIFILM X-M1+XF18mm F2 Velvia

東京都庭園美術館。エントランスまでの植樹。FUJIFILM X-M1+XF18mm F2 Velvia

東京都庭園美術館がリニューアルオープン。

昨年末に開催していた「東京都庭園美術館リニューアル記念・アーキテクツ1933」の展覧会。公開記念展示は終わってしまったのですが、素晴らしい周辺環境と見事な調度品、そして3年の歳月を掛けて修復された建物とインテリアによって往時の様子が再現された素晴らしい記念展でした。東京都庭園美術館は、本館と新館に分かれていて、いわゆる美術館としての機能は本館裏側にある新館に集約されていて、本館は年に数回一般公開されるのみとなっています。本館そのものが都の文化財に指定されているからです。

(さらに…)

Macau / Hong Kong 2014 Vol.9|好吃的吃飯(A delicious meal)

前回訪問した時も書きましたが、香港の食で飲茶が特に好きで油断すると飽きるまで飲茶づくしになってしまいます。今回は、そういう事がないようにバランスをとってお店を選びました。やっぱり食は大切ですからね。

 “カオルーン・シャングリラ(九龍香格里拉酒店)の 朝食&ビュッフェ

和・洋・中での食で構成された朝食ビュッフェ。香港のホテルの場合、朝食はオプションである事が多い(その代わりになる飲茶や朝食が取れる外食店が多い)のですが、一點心  One Dim Sumのようなお店だと一時間位待たされてしまいます。今回は時間の制約もあったので、朝食だけは宿泊したシャングリラのビュッフェで済ましました。済ましたとはいっても、クオリティは満足いくもので、その日の体調に合わせて自由に選べるのはやっぱりいいですしね。個人的には飲茶と中国粥がメインで、サラダや付け合わせを色々チョイスして頂きました。

カオルーン・シャングリラ  九龍香格里拉酒店
ADD :  香港九龍麼地道64號
Phone:  2721-2111

名都酒楼(飲茶・レストラン)

名都酒家は、コーズウェイベイの統一中心(United Centre)の4階にある有名な飲茶老舗レストラン。今風の派手さはありませんが、オーセンティックな飲茶を楽しむのにちょうど良いお店です。この手のローカルな飲茶店に行くと衛生面というか、結構面食らう状況に遭遇したりするのですが(僕は大丈夫ですが女性はね)ここなら安心です。ランチタイムは、真ん中に炊き出しコーナーが現れて、そこで纏めて中身を見ながら注文する事ができます。味も安定していて美味しいですし、年配の方にも優しい味付けじゃないかなって思いました。9品頂いて288HKドル。

名都酒楼
ADD :  香港中環金鐘道95號統一中心4樓
Phone:  2865-1988

SOHOFAMA ( @PMQ )  

PMQの中にある、オーガニック(有機無農薬)のみで作られた果物や食物をベースに提供しているカジュアルレストラン。僕らは、PMQの見学途中に立ち寄りアルコールを少し頂いた程度ですが、しっかり創り込まれている印象。ちなみにPMQの中にはカジュアルに食事がとれるイートインやレストランが他にもあるので、お腹がすいても移動しなくて安心。ちなみにこの界隈、ハリウッドロード沿いは飲食店(バー、スパニッシュバル、イタリアン、お粥屋さんなど)が多いので、予め決めないと悩みますよ。

SOHOFAMA ( @PMQ )  
ADD :  香港中環鴨巴甸街35號 35 Aberdeen Street, Central, Hong Kong
Phone:  2870-2335
www.pmq.org.hk 

BOA MESA (マカオ・ポルトガル料理)

大堂の近くにある、ポルトガル料理のお店。ここはランチ時に利用したのですが、割とざっくりとしたポルトガル料理です。リゾット(これ美味しかったです)やフィッシュフィレット、海老のオムレツを頂いたのですが、付け合わせのフライドポテトが多くて(笑)お腹いっぱいになります。なんとなくアメリカンな感じもしますが、観光地の中にあるので致し方ないのかなと。値段も高くはないですが観光地価格といった感じです。後で知ったのですが、ここのオーナーはドイツ人だそうです(笑)ちょっと拍子抜けしました。

BOA MESA 屋企美食 (マカオ・ポルトガル料理)

ADD :  Travessa de S.Domingo,N”16A  MACAU
Phone: (853) 2838-9453
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 O Porto Interior 内港餐廳 (マカオ・マカニーズ&ポルトガル料理)

マカニーズのオーナーによって1995年に創業したマカニーズの老舗レストラン。ポルトガル料理がベースですが、チャイニーズのエッセンスが入っているのがマカニーズ。地球の歩き方やトリップアドバイザーでも「はずれ無し」と書かれている名店です。メニューもトリアングル対応で日本語も表記されています。僕らが頂いたのは、鱸のスパイシー焼、蟹と海老と肉のカレー煮込み、それとバカリャウ・ア・ブラス(写真)。取り分けて丁度いい量でどれも美味しかったです。マカオビ−ルとライスやパン、コーヒ、カスタードプリンを含めて656パタカ(HKドルとレートは一緒)でした。リーズナブルだし、お薦めです。

O Porto Interior 内港餐廳 (マカオ・マカニーズ&ポルトガル料理)
ADD : 河邊新街259號B (259B Rue do Almirante Sérgio)
Phone: 2896-7770
営業時間 12:00~23:30

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Macau & HongKong 2014 Reported by Futoshi Hirasawa

Hong Kong 2014 Vol.1|九龍香格里拉酒店(Shangri-La Hotel Kowloon)
Hong Kong 2014 Vol.2|尖沙咀 (Tsim Sha Tsui)〜油麻地 (Yau Ma Tei)〜Peninsula HK
Hong Kong 2014 Vol.3|Innovation Tower/The Run Run Shaw Creative Media Centre
Hong Kong 2014 Vol.4|朗豪坊(Langham Place)〜力寶中心(Rippo Center)
Hong Kong 2014 Vol.5|PMQ元創方 Complex〜文武廟〜中環至半山自動扶梯
Macau 2014 Vol.6|Macau World Heritage.1
Macau 2014 Vol.7|Macau World Heritage.2
Macau 2014 Vol.8|Macau World Heritage.3
Macau / Hong Kong 2014  Vol.9|好吃的吃飯(A delicious meal)

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Macau 2014 Vol.8|Macau World Heritage.3

 

聖ヨセフ修道院と聖堂(Igreja e Seminário de S. José  聖若瑟修院大樓及聖堂)

1728年に聖ポール大学とともに創設された聖ヨセフ修道院は、イエズス会によって建築された美しい教会です。中国、日本および近隣における宣教活動の主要拠点でした。聖ヨセフ修道院は大学と同等の教育課程を持ち、1800年にはポルトガル女王ドナ・マリア1世から「伝イエズスの修道士が追放された後、ラザロ派の聖職者たちに引き継がれ、1800年には「レアル・セミナリオ」と呼ばれるようになりました。ドーム型の美しい天井には、「IHS」というイエズス会のシンボルが書かれ、フランシスコ・ザビエルの上腕部の遺骨も祀られているそうです。修道院隣の1758年に建築された聖ヨセフ教会は、ユネスコ2001年発行の「Atlas mundial de la arquitectura barroca」で中国にあるバロック建築の代表作として紹介されており、建築的にも貴重なものです。

マカオの街並

マカオの街並は、他の華僑圏の街(中国本土も含む)に比べると、昔の景観を維持している故か随分と異なります。狭い所に逞しく暮らすと言う意味では一緒なのですが、ポルトガル統治時代の文化の足跡が散見し、それを現代でもうまく活用しているイメージがあります。街自体が思っている以上に清潔でしたし、夜間のライトアップも計算されていて観光客を飽きさせません。道は狭い(昔ながらの道が狭いのは日本も同じですが)区域あたりの人口密度は世界有数にも関わらず、そう感じさせないのは適度な隠密感と間合い、ヒューマンスケールが同居しているからなんでしょうね。

リラウ広場(Largo do Lilau 亞婆井前地)

もともとマカオの主要港だった現在の内港に近いペーニャの丘にある小さな広場。マカオで最初にポルトガル人が住みはじめたのがこの周辺といわれており、当時の主要な天然の水源(井戸)があった場所。ポルトガル人が早くから居住していた地区でした。当時の民謡に「リラウの水を飲んだ者はマカオを決して忘れない。マカオで家を持ち、マカオに帰るだろう」という歌があり、ここから湧き出る水はそれほどポルトガル人によって貴重でした。大きなガジュマルの木がありシンボルツリーになっています。
 

鄭家屋敷(Casa do Mandarim 鄭家大屋)

リラウ広場からすぐの所にある、西洋の建築手法を取り入れた、初期マカオの中国建築。中国近代の文豪・思想家である鄭觀應の故居で1811年に建てられています。敷地面積は4000平方メートル、最盛期では3~400名ほどが居住していたと伝えられています。複数の建物と中庭で構成されており、アーチ型の装飾に灰色レンガを使用したり、インド式の真珠貝の窓枠に中国式格子窓が取り付けられるなど、中国と西洋の影響による様式が垣間みれ、この頃のマカオの特徴である東西文化の交差する様子が伺えます。2002年からの修復で、暫く公開されていませんでしたが、2010年2月に修復を終え、一般公開されています。既にご紹介した 盧家屋敷(Casa de Lou Kau 大堂巷七號住宅)と比べても大屋敷といったかんじで、贅沢に造られています。

港務局 (Quartel dos Mouros 港務局大樓)

イタリア人の建築家、カッスートによって設計されたネオクラシカル(新古典様式)の建築。ムガール帝国の建築様式の影響も見受けます。1874年、マカオの警察部隊を補強するためにインド・ゴアから派遣された連隊(ムーア人兵士)の宿泊施設として建築されました。現在は海事水務局のオフィスビルとして使われています。建物の三方面は回廊に囲まれた(雨をしのぎながら導線を確保できる)上に風通しがよく、湿気や雨の多いマカオの気候に向いた設計で意匠と機能が合理的に結びついています。見ての通り、夜間はライトアップされ、非常に美しく見栄えのする建築物です。

 媽閣廟(Templo de A-Má 媽閣廟)とバラ広場

媽閣廟は、マカオ半島の南端の「媽閣山」に位置し、マカオ内港の入り口に当たります。中国式の非常に歴史ある寺院で、創建は1488年。マカオで最も古い寺院です。山を背に、海に面した媽閣廟の敷地は広く、大殿,石殿,弘仁殿,観音殿などの建築によって構成されています。この女神は現在でも中国沿岸地域や台湾、東南アジア、そして、世界各地の華僑の間で信仰されています。

媽閣廟があるバラ岬(バラはBaraで地名でバラ広場の由来)は、ポルトガル人が初めてマカオの地に上陸した場所であり、最初に植民を行った場所と伝えられており「媽閣」の広東語読みがマカオの名前の由来になったとされています。(ポルトガル人が、現地人に地名を聞いたところ、「媽閣」(マーコウ)と返したため、以後ポルトガル人はこの地域全体をマーコウ→「Macau」と称すようになったと言われている)。祀られている阿媽は海の女神で、台湾や中国南方で信仰されている神様です。ちなみに媽閣廟にある4つある廟のうち、3つに阿媽が祀られています。 マカオ発祥の地であり、由緒正しい古廟です。

マカオの世界遺産巡り。時間の制約とルートを吟味して廻ったので、実際は22カ所。駆け足でしたが、とても楽しかったです。前日までのポストモダンやデコンストラクションの建築に触れるのとは違った、琴線に触れる部分があり、また多くの遺産の保存状態が極めてよい(世界遺産は保存修復の可否も問うそうです)事もあり、非常に有意義な見学が出来ました。歩き過ぎて疲れましたけど、それは覚悟の上でしたし。通常は、今回僕らが廻った逆のコース(Bara広場からスタート)するのが一般的な様ですが、事前に調べた際に「地球の歩き方のお薦めコース」に従って(笑)廻りました。お昼前にマカオに到着して、タクシーで聖アントニオ教会まで行き、そこからひたすら歩きでしたが見学時間を含めても、この22カ所を巡るのに掛かった時間が7時間(途中のランチ休憩の1時間含み)ですから、そんなに無理な行程でもなかったのかなと。ちなみに、僕らが廻ったルートは(香港、マカオ共に)各ページの下にMapとルートを表示しています。

ちなみに香港から渡る際に、マカオに到着したその場で、帰りのターボジェットのチケットを購入(ゆとりを持って)しておいた方がいいです。僕らはエコノミーのチケットが買えずダフ屋で買うか悩みましたが、ダフ屋で買うならスーパークラスで帰ろうという事で(笑)ほぼエコノミーの倍の料金でしたが、軽食付きの2Fラウンジ席でゆったり1時間の船旅が堪能(と言うよりもほぼ爆睡)できました。

Macau / Hong Kong 2014  Vol.9|好吃的吃飯(A delicious meal)のページでご紹介しますが、マカオでの観光を終えたあとにマカニーズのレストランで夕食を済ませていたので、この軽食は全く無意味(お腹が空いていない)で、お世辞でも美味しそうに見えないハンバーガー(笑)のでゆったり爆睡する以外はエコノミーで十分だと思いました。

 

 

Macau & HongKong 2014 Reported by Futoshi Hirasawa

Hong Kong 2014 Vol.1|九龍香格里拉酒店(Shangri-La Hotel Kowloon)
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Macau 2014 Vol.7|Macau World Heritage.2
Macau 2014 Vol.8|Macau World Heritage.3
Macau / Hong Kong 2014  Vol.9|好吃的吃飯(A delicious meal)

 

 

Macau 2014 Vol.7|Macau World Heritage.2

 

聖ドミニコ教会(Igreja de S. Domingos 玫瑰堂)

セナド広場を奥にある教会。1587年にメキシコからやってきた3人のドミニコ会の修道士によって創建されています。中国領土内で初めてポルトガル語の新聞が発行されたのもこの教会。かつては木造だったので「板樟堂(板造り堂)」と呼ばれました。バロック式の祭壇には聖母子像が祀られており、毎年5月13日に行われるファティマの巡礼では、午後6時にここから聖母像がペンニャ教会まで運ばれます。結構見応えのある教会で、教会奥の鐘楼には約300点の宗教品が展示される美術館になっています。

 盧家屋敷(Casa de Lou Kau 大堂巷七號住宅)

中国広東省出身の商人だった、盧華紹の1889年に建てられた邸宅です。盧華紹は18世紀半ばにマカオに移り住み、銀行業や不動産業ななどで財を築きあげました。セナド広場の近くにあり、建物は灰色レンガ使いの2階建てで中庭のある伝統的な中国式の住居ですが、西洋様式や風水設計も取り入れた独特なもの。この頃のマカオの多様な社会構造(マカニーズ)を建築として表現した貴重なものです。この邸宅の素晴らしいのは、その間合い。決して大きな家ではないのですが、コンパクトながら採光や縦横の視線の抜けを意識していて、相当な美意識を持たないと造れない家です。大きさ=贅沢という概念から逸脱している点でも後に見る鄭家屋敷とはかなり異なります。

大堂周辺(Igreja da Sé 聖母聖誕主教座堂周辺)

正確な建築年数は記録されていないものの、堅固なレンガ造りになったのは1622年ごろ。その後台風で損傷したため1844年から1850年に再建されています。マカオ教区の司教座があるため、新任のマカオ総督はここで祝福を受けること慣わしで。外観はレンガの上に上海漆喰が塗られ、均整の取れたプロポーションの柱と鐘楼が特徴です。目の前の広場は噴水があり、セナド広場(後述)の喧噪から離れているので、ほっとします。昔は周りに高層ビルがなかったため、それから海を眺めることができたので、船乗りの妻たちはこの教会で夫が帰ってくるのを見ていました。そのため「望人寺(人待ち寺)」とも呼ばれていたそうです。「キリスト受難行列」の儀式もここで行われているそう。ちなみにこの廻りにはポルトガル料理やマカニーズのレストランが点在しているので食事にはもってこいですよ。

セナド広場(Largo do Senado 議事亭前地)

聖ポール天主堂跡と並ぶ、マカオ観光の顔になっている広場。ここまでに見た教会などのヨーロッパ建築は、ルネサンスやバロック建築の影響を受けているのに対し、このセナド広場に面している建物は、時代的に新しくネオクラシカル(新古典主義)の影響を受けています。広場はマカオの目抜き通りで通称「新馬路」(Avenida de Almeida Ribeiro )に面しており、付近には1929年に創建の郵便局や新古典主義様式の仁慈堂大楼など、マカオの歴史を感じさせる美しい建物が並んでいます。広場の中央にはポルトガルの大航海時代を象徴する地球儀をモチーフにした噴水があり、広場のシンボルになっています。ちなみに今年は、ポル トガルから中国へ返還されて丁度15周年という事とクリスマスが重なり、お世辞でも美しくない華美なツリー&ディスプレイが飾られていました。個人的にはかなりがっかり・・

三街會館  Sam Kai Vui Kun (Templo de Kuan Tai) (關帝廟)

1792年に建てられた関帝を祀る廟。関帝は三国志の英雄「関羽」の事で、マカオに限らず華僑圏では加護と安定をもたらすとして多くの人が家庭や職場で関帝を祀っています。この廟はかつての「三街会館」で、付近にある營地大街、関前正街、草推街の商店会議所の役割を果たしていました。公民館のようなものですね。1912年にマカオ中華総商会という団体ができてからは三街会館としての役割は終わっています。規模も小さく、寄り合いをするにはちょうどいい空間。

ロバート・ホー・トン図書館  Biblioteca Sir Robert Ho Tung (何東圖書館大樓)

1894年以前に建築されたもので、ポルトガル人のドナ・キャロリーナ・クンハの住居を、香港の実業家でカジノ王、ロバート・ホー・トンが1918年に購入して、主にマカオ滞在時の別荘として使用していた建物。ロバート・ホー・トンの死後、遺言により建物はマカオ政府に寄贈され、1958年にリノーベーションされて図書館となりました。2005年に図書館の新棟ができ、マカオ最大の図書館として市民に利用されています。クリームイエローの鮮やかなネオクラシカル様式の建物は、内部に豊かな庭園があり、学生でにぎわっています。

 聖オーガスティン教会 Igreja de Santo Agostinho( 聖奧斯定教堂)

1586年にスペインから来たオーガスティン修道会によって創建された修道院が元の姿で、現在の建物は1874年に再建されたものです。主祭壇にある十字架を担いだキリスト像は、毎年四旬節の最初の日曜日に「キリスト受難行列」の儀式の中で、いったんカテドラルに運ばれた後、翌日にこの教会に戻されます。 再建年次も古いので、ネオクラシカルよりも前のゴシック様式が垣間みれます。ちなみに、この隣には聖オーガスティン広場があり、ドン・ペドロ5世劇場、聖ヨセフ修道院及び聖堂、ロバート・ホー・トン図書館という4つの世界遺産建築物に囲まれています。

ドン・ペドロ5世劇場 Teatro D. Pedro V (崗頂劇院) 

1860年にマカオの男性社交クラブである「マカオクラブ」が主導して建設された、アジア初の西洋式の劇場。ポルトガル国王ペドロ5世に敬意を表して、この名前がつけられています。当初は男性専用の社交場でしたが、その後は劇場として使用され、「マカオ劇場」と呼ばれたこともありました。マカニーズ社会の文化の象徴としての側面を持ち、普段は内部は公開されていませんが、300席あるホールでは、マカオオーケストラのコンサートなどで時々使用されています。見学した日もちょうどバイオリンコンサートのリハーサルをしていました。。

 

 

 Photo@ Hirasawa Futoshi 

Macau & HongKong 2014 Reported by Futoshi Hirasawa

Hong Kong 2014 Vol.1|九龍香格里拉酒店(Shangri-La Hotel Kowloon)
Hong Kong 2014 Vol.2|尖沙咀 (Tsim Sha Tsui)〜油麻地 (Yau Ma Tei)〜Peninsula HK
Hong Kong 2014 Vol.3|Innovation Tower/The Run Run Shaw Creative Media Centre
Hong Kong 2014 Vol.4|朗豪坊(Langham Place)〜力寶中心(Rippo Center)
Hong Kong 2014 Vol.5|PMQ元創方 Complex〜文武廟〜中環至半山自動扶梯
Macau 2014 Vol.6|Macau World Heritage.1
Macau 2014 Vol.7|Macau World Heritage.2
Macau 2014 Vol.8|Macau World Heritage.3
Macau / Hong Kong 2014  Vol.9|好吃的吃飯(A delicious meal)

Macau 2014 Vol.6|Macau World Heritage.1

Macau 2014 Vol.7|マカオ世界遺産巡り vol.2

 

3日目は、マカオへ。主に世界遺産に指定された25の遺跡や寺院(マカオ歴史街区地区)を中心に見学してきました。Designcafeの研修旅行は「現代」と「遺跡」の両極端のテーマがあるのですが w 今回のマカオは後者。今回ベースのホテルが香港なので、ジェットフェリーでマカオに渡りました。マカオへは、九龍のチャイナフェリーターミナルから噴射飛航で約一時間の船旅から。エコノミーで一人当たりHK$164(入国手数料込み)。ちなみにこのチケットは、ダフ屋のおばさんから売り損ねのチケットを購入したので額面よりも安く乗れました。。道中、中国大陸からの観光客と大多数と便乗したのですが、完全アウェイですね。笑 わいわいがやがやで、賑やかを通り越してうるさいです。朝早かったので少し仮眠したかったのですが、全く寝られませんでした。笑

 

聖アントニオ教会

マカオマリタイムフェリーターミナルに到着してタクシーで世界遺産群の北側から聖アントニオ教会へ向かいました。1560年に竹と木で建てられたマカオでも最も古い教会の一つで、イエスズ会が初期に本部を設置下教会としても有名です。丁度営繕工事中でしたが内部は普通に見学出来ました。現在の姿は、1930に改装した姿なので歴史を反映させた建物ではないのですが、クリームカラーの美しい内装で、見る人を和ませます。マカオの教会は鮮やかなカラーを施した教会が多く、ロココの影響も色濃く反映されています。現地のポルトガルコミュニティの人々たちはここで結婚式を挙げるのが通例だったことから(花が絶えないと言う意味で)花王堂という名がついています。見ての通り改修中です。

 

カーサ庭園&プロテスタント墓地

次は、歩いて1分のところにある カーサ庭園へ。1770年代に建てられた、ルイス・カモンエス公園とプロテスタント墓地の間にある庭園と洋館で、元々は地元の名士マヌエル・ペレイラ(庭園内に銅像があります)の別邸。その後、東インド会社が警備員やスタッフを駐在させ、現在は東方基金会という財団の本部として使用されています。 プロテスタント墓地は、1821年に造成された、初めてのプロテスタント墓地でマカオ在住のイギリス人画家、ジョージ・シナリーやマカオ来訪初の宣教師ロバート・モリソン(聖書の中国語訳を作った人でも有名)の墓所でもあります。入口にはモリソンに敬意を表して名付けられたモリソン礼拝堂があります。

 

 ナーチャ廟&旧城壁 (Troço das Antigas Muralhas de Defesa 哪吒廟、舊城牆遺址)

次は、 ナーチャ廟&旧城壁へ。聖ポール天主堂跡の隣にある小さな廟と城壁です。ナーチャ廟は1888年創建の小さなお寺で神童ナーチャをまつる為に創建されています。ナーチャは孫悟空にも登場する武芸の達人で、疫病退治の神様としても有名。小さなナーチャ廟と隣接する聖ポール天主堂跡の関係性がマカオの東西交流を表している所が興味深いです。このナーチャ隣接しているのが、同じく世界遺産に認定された旧城壁。この壁は1569年にポルトガル人が町を守る為に築いたもので、材料はシュナンボーという、土砂や藁、貝殻を混ぜたもので出来ています。この辺を見てもポルトガル人がその地域に土着した技術を活用している様子が伺えますね。ちなみに汚い壁とかいうとバチが当たります、多分。

 

 聖ポール天主堂跡 (Ruínas de S. Paulo 大三巴牌坊)

次は、 聖ポール天主堂跡へ。マカオを代表する世界遺産。イエスズ会によって1582年から1602年に建築されたこの天主堂は、当時のアジアでは最大のカトリック教会です。すぐ横にはアジア初の大学、聖ポール大学があったそう。1835年の火事で教会のファサード面と68段の階段だけが残されましたが、ファザードの彫刻は見事で、「石の説教」と言われるほどに宗教的な意味が彫られています。ファザードの下から2段目のキリスト教の4名の聖人像にはフランシスコ・ザビエルを見ることができます。このファサードは、当時のカトリック建築の手法をそのまま垣間みることができて、例えば石の階段の上に立てる事で(実際の建築の規模よりも遠近感によって)大きく見せたり、上段程フロアピッチが狭くなる事で、建物正面に立った時に高さが誇張されます。デフォルメがあちこち仕掛けられているわけです。また、裏手地下にある天主教芸術博物館には宗教美術品が展示されていて無料で鑑賞する事が出来、貴重な宗教遺産を垣間みることができます。 

 

 モンテの砦(Fortaleza do Monte 大炮台)

1617年から1626年の間にイエズス会の修道士によって築かれたマカオ最強の防御要塞。敷地面積は8000平方メートルで、大砲、宿舎、井戸の他に二年間の包囲攻撃に耐えうるだけの兵器を造る工場や備えもあったそうです。四方の角に突起状の城壁があり、上から見ると函館の五稜郭のような独特の形状をしています。1965年から1995年の間には、ここに気象庁舎が設置され、その後1998年にマカオ博物館が完成しています。ちなみに僕たちは、この砦に天主堂から徒歩で階段を上ったのですが、右側にあるマカオ博物館行きのエスカレーターに乗るとそのまま上に上がれるそう。結構きつい階段だったので、行かれる方は是非エスカレーターで。笑

 

 Photo@ Hirasawa Futoshi 

Macau & HongKong 2014 Reported by Futoshi Hirasawa

Hong Kong 2014 Vol.1|九龍香格里拉酒店(Shangri-La Hotel Kowloon)
Hong Kong 2014 Vol.2|尖沙咀 (Tsim Sha Tsui)〜油麻地 (Yau Ma Tei)〜Peninsula HK
Hong Kong 2014 Vol.3|Innovation Tower/The Run Run Shaw Creative Media Centre
Hong Kong 2014 Vol.4|朗豪坊(Langham Place)〜力寶中心(Rippo Center)
Hong Kong 2014 Vol.5|PMQ元創方 Complex〜文武廟〜中環至半山自動扶梯
Macau 2014 Vol.6|Macau World Heritage.1
Macau 2014 Vol.7|Macau World Heritage.2
Macau 2014 Vol.8|Macau World Heritage.3
Macau / Hong Kong 2014  Vol.9|好吃的吃飯(A delicious meal)

 

Hong Kong 2014 Vol.5|PMQ元創方〜文武廟〜中環至半山自動扶梯

 

二日目の午後後半は、荷李活道 (Hollywood Road )にある「PMQ」→「文武廟」(Man Mo Temple)→「中環至半山自動扶梯」(Mid-levels Escalator)の順で街を巡りました。 

 

PMQは、元々は孫文も通った学校「中央書院」(1889年~1948年)でその後「警察宿舎」(1951~2000年)として再活用された建物をリノベーションした、大型デザイン複合施設。今年の6月に完成したばかりの、この建物の再活用プロジェクトは、香港行政府と香港デザインセンター、香港理工大学などの民間企業や財団が官民一体となって取り組んでおり、香港のクリエイターを育て、発信し、クリエイティブ産業の象徴的な存在(デザイン・ハブ)となることを目指した壮大なプロジェクトの象徴的施設です。施設内にはブティックや雑貨、カフェ・レストランなどのショップのほか、デザイナー&クリエイターのためのシェアスタジオが100以上入居しており、ポップアップストアや展示のためのオープンスペースが各階に設けられていて、シェア&コラボレーションが容易に展開出来るように計画されています。丁度、この施設を中心としたイベント真っ最中で、周辺エリアを巻き込んでにぎわっていました。

施設そのものは、シンプルな2棟で構成されており1Fにはピロティが、4階は二つの棟が繋がるブリッジがあり、二つの棟を繋げています。1Fにはカフェやスパニッシュレストランやオーガニックオンリーのドリンクバーなどがあり、食事やお茶休憩ができます。年間100万人以上が訪れる香港で、商業施設とデザインハブをミックスさせて、商業的な側面とクリエティブをインキュベーションさせる試みは面白いですし、とても野心的です。 商業施設として見るとアクセサリー、雑貨、衣類、靴をはじめアートギャラリーやクッキングスタジオなど厳選されたお店が軒を連ね、G.O.DやDesign galleryはセンス&クオリティーのある香港土産をさがすのに最適です。少し残念なのは、ショップとしての意識が弱いスタジオ兼ショップのようなテナントが多い故か、営業時間がまちまちで僕も覗いてみたかったお店が閉まっていたりと、ストアーマネージメントが行き届いていない印象を受けました。観光の注目スポットにもなっていくでしょうし、今後解決していってほしいです。

PMQ(元創方) 
住所:No.35 Aberdeen Street, Central
TEL:(852) 2870-2335
アクセス:中環ミッドレベルエスカレーターから徒歩10分
営業時間:7:00~23:00(店舗による)
定休日:無休(店舗による)

この荷李活道 (Hollywood Road )は山の中腹にあって、イギリス領時代の影響を色濃く残した街ですが、その中にぽつりとあるのが文武廟 (Man Mo Temple)=マンモウミュウ。文武廟は、荷李活道の途中にあって、香港がイギリスにより植民地化された後、1847年に中国人の盧阿貴、譚阿才という実力者によって建てられた道教のお寺。文武廟という名前の通り、文学の神と武道の神が祀られています。華僑圏の寺院共通の「渦巻状の線香」が天井から無数につり下げられていて、その煙の濃さと相まって圧巻。この線香は、祀られている神への敬意を表するためのお清めの意味と煙を絶やさないことで神への思いを絶やさないようにとの意味込められていて、最近の香港人の間では、願いごとを叶えるためこのお寺を訪れ、その気持ちが神へ伝わるように線香の煙を絶やさないようにしていると考える人もいるそうです。だから渦巻状になるんですね。

文武廟 (Man Mo Temple)
住所 128 Hollywood Road, Shueng Wan, Hong Kong 
住所(中国語) 香港上環荷李活道128號
TEL  2540‐0350 
営業時間 08:00~18:00 
休業日 年中無休

荷李活道 (Hollywood Road )は、香港開拓時に造られた道なのでその刻んできた歴史が垣間見られ、風情のある景観の中にしゃれた雑貨屋さんや骨董品屋、Cafeなどが並んでいます。場所柄か外人率の高いエリアで、香港島特有のアップダウンのある坂道をうねるように造成された道です。そんな環境の中にある中環至半山自動扶梯(Mid-levels Escalator)は延べ延長が800mの世界最長を誇るエスカレーターで、このエスカレーターを使うと香港駅や中環駅からほぼダイレクトで山の麓まで行く事ができます。ウオン・カーワイ監督の「恋する惑星」でフェイ・ウオンが乗っていたシーンでも有名ですが、完全に名所化しており、エスカレーターの両脇にはBarやレストランが所狭しと並んでいます。個人的に何回行っても迷う、コーズウェイベイ〜中環〜上環エリアですが、このエスカレーターのおかげで、荷李活道界隈だけは迷わず地図無しで行き来する事ができます。この密度感ですし、旅行者泣かせですが、それがまた香港の魅力にもなっていますよね。。

 

 

Macau & HongKong 2014 Reported by Futoshi Hirasawa

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Hong Kong 2014 Vol.4|朗豪坊(Langham Place)〜力寶中心(Rippo Center)
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Macau / Hong Kong 2014 Vol.4|朗豪坊(Langham Place)〜力寶中心(Rippo Center)

二日目午後からは、旺角のLangham Placeと香港島に渡ってアドミラルティにあるRippo Centerへ。Langham Placeは、旺角の再開発(複雑な街路や屋上建て増しで問題となった旺角エリアの防災面の配慮と文教エリア商業エリアが隣接する為、風紀や治安の面を憂慮の上の開発)を担う商業施設で、彌敦道(Nathan Road)の西側、亜皆老街(Argyle Street)に面する一角(砵蘭街:Portland Street)の250m×100m程度の範囲を再開発しています。設計は商業施設の建築計画では定評のあるジョン・ジャーディー。アジアの主要都市では、この人が関わった商業施設が必ずあるのではないか思われる位、様々な計画に関わっています。日本だと六本木ヒルズの商業施設エリア、大阪のなんばパークス、博多のキャナルシティーなどこれまた主要都市のランドマーク的施設を手掛けていて、迷路のように導線とショップを配置し、回遊を促すような、複雑なマスタープランを立てる事で有名な商業建築家です。 実際見学すると、ジョン・ジャーディー節健在といった感じえで、他の施設より重層的な構成(香港は狭いですから、床面積を稼ぐとなると必然的に重層的)になっており、ライムストーンやテラコッタを多用するオーガニックなマテリアルもこの人が手掛けた事を証左します。 狭い建築面積を重層的に計画していますから、空間の設えも必然的にバーチカルな方向に向かっていきます。

15階建ての建物の中に、100余りのテナントが入居しており、4階から最上階まで続くガラス張りのアトリウムをはじめ、5階分もある長大な通天電梯(エックスプレスカレーター)と呼ばれるエスカレーターや、螺旋階段状の展開など、バーチカルな空間を誇張するしかけが散りばめられています。 このモール施設の設計は、前述の通りアメリカ人建築家のジョン・ジャーディが設計を担当していますが、日本にある各施設と類似点も多く、各フロアー付近に過剰にネオンサインの看板が重なり合うような香港らしい街区の特徴を与えています。 低層階には、百貨店の香港西武が入居していおり、コスメフロアーや飲食店の中には日本でお馴染みの店舗も幾つか見受けられます。そこそこ高級な雰囲気を持っていますが、同時に服飾店などは比較的若年層向けにターゲットを当てキャッチーな印象も併せ持つなど、旺角と言う場所の性格を色濃く反映したマスタープランになっています。 

その後MRTに乗り、アドミラルティにあるRippo Centerへ。この建物はアメリカの建築家、ポール・ルドルフPaul Rudolph)によって設計されたツインタワーで、タワー1(Tower One)は高さ172mの44階建て、タワー2(Tower Two)は高さ186mの48階建て。形状は見ての通りかなり複雑な形をしていて「コアラユーカリの木にしがみついている様に見える」とか言わています。後期モダニズム建築のスターであるポール・ルドルフの代表作でもあるこの建築は何回か持ち主が替わっており、今に至ります。 周辺を見てもわかりますが、スカイスクレイパーの密度感で言えば世界最強(?)のエリアである金鐘〜中環エリアにある為、この特徴的なファサード面は限定的な角度からでしか見えません。25年近く経つ建築物ですが(出来た当時から)このエリアの建築の密度感は明らかにオーバースケールで、グランドフロアから表に出た時の圧迫感というのかな?見上げた時の巨大さは尋常ではありません。経済的な要請からやむを得ないのでしょうけど、モダニズム&ポストモダンのショーケースとなっている金鐘〜中環エリアの超高層ビル群を下から見上げて思うのは、人間の身体感覚を威圧する密度であり、これに比べればザハのJockysClub Innovation Towerやダニエル・リベスキンドThe Run Run Shaw Creative Media Centreがヒューマンスケールの範囲内に納まっている故にほっとしたりします 笑。一概に比較出来ないですけどね。。

Macau & HongKong 2014 Reported by Futoshi Hirasawa

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Macau / Hong Kong 2014 Vol.3|Jockys Club Innovation Tower / The Run Run Shaw Creative Media Centre

 

二日目の午前中は、デコンストラクティビズム(脱構築主義)二連発でザハ・ハディット(Zaha Hadid)設計で昨年竣工した香港理工大学ジョッキー・クラブ・イノベーション・タワーとダニエル・リベスキンド(Daniel Libeskind)設計の香港城市大学メディアセンターを見学してきました。 デコンストラクティビズム(脱構築主義)とは現代建築の様式の一つで、伝統的な建築の形状に頼らず非常にアンバランスな形状を常態化させた所に特徴があります。このような刺激的な形状は、社会やその土地の歴史に対して意義のない、単なる形態の実験に過ぎないと言った批判が度々湧き出ており、日本でもザハ・ハディット設計の国立競技場の立て替えが物議をかもしていますね。

 

 ザハ・ハディット(Zaha Hadid)が手掛けた、香港理工大学ジョッキー・クラブ・イノベーション・タワーは昨年竣工・今年の春にグランドオープンした、15階建ての施設。デザインスタジオ、研究室、ワークショップ、講演会、セミナースペース、教室や展示エリアを備えています。純粋な大学の施設ですが、香港の競馬協会が資金提供した施設なのでこの名がついているようです。グランドオープンしたのは今年の三月ですが、グランド面は絶賛工事中でした。笑 このタワーは、大学の施設と言う事もあって比較的自由に見学する事が出来るのですが、僕らは外側から敷地外を回り込み→その後内部を見学。 外観の形状は見ての通りレイヤードな形状でどこから見てもボリュームが異なります。このレイヤーの部分は、庇の機能も担っておりデザインコンセプト一辺倒な建築ではありません。紅磡站からほど近い香港理工大学の敷地内と言う事もあり、周辺の環境が建築の密度が比較的に低い、恵まれたエリアに計画されています。この事も関係していると思いますが、比較的こじんまりとした建築物と言う事もあり、最近計画されたザハ・ハディット設計の建築物と比較してもスケール感もそれほど違和感が無く、大学の学術施設であると言う事を考慮しても、良く纏まった建築だと思います。

 

インテリアについても、外観の形状をそのまま引き継いだようなシームレスな設えが展開されていて、見る人を引きつけます。ヴォイドの抜け、導線方向からの視線の流れがあり、恣意的な意図がうかがえます。ディティールがもう少し納まっていたらもっと良かったのと、そのディティールからインテリアが破綻している箇所があり、その辺が少し残念でした。デコンストラクションのディティールを求めるのが無理な事なのかもしれませんけど、今年3月に出来上がった割には、内外観共に汚れが目立ち、仕上げに対する対汚性能の検討がもう少しなされていれば良かったなと、個人的に思いました。建築は長く使う都市の資産ですし、ザハが手掛けた最新作。世界中からこの建築を観に来る訳ですからね。

 

ダニエル・リベスキンド(Daniel Libeskind)が手掛けた香港城市大学メディアセンターThe Run Run Shaw Creative Media Centreは、 研究所と劇場、コンピューター工学とメディア技術の教室を配した中核施設。施設そのもののサイズは、ザハの手掛けた香港理工大学ジョッキー・クラブ・イノベーション・タワーよりも小規模で、香港の繁華街旺角よりもさらに北の九龍糖にあります。こちらも文教エリアの外れにあるので、低密度で緑の広がる好立地に位置しています。「ラフカットダイアモンド」と呼ばれる結晶に見立てた外観デザインになっていおり、構造梁、窓、ドアや天井のホリゾントパターンはラインで繋がっており。すべて形状が結晶に結びついてきます。 ザハとは対照的で、先鋭的なラインとボリュームが連なりから形成されていて、膨大なスタディを行わないと導けない形状です。色々な角度で表情を変える建築ですが、香港理工大学のキャンバス側から上がってきたビューが最もこの建築を美しく魅せます。

インテリアに関しては、ザハよりもコンサバティブに纏まっており、学生が研究開発する為のコラボレーションルームに多くの面積を割いていたのが印象的でした。空間のボリュームが建築のサイズに対して大きく取られていた事にもよりますが、ボイドの抜け感やシーケンスな見え方は破綻が無く、視線やアクティビティを誘います。細かい検討もよくなされていたんでしょうね。ディティールも良く(施工精度からくる残念な面が残るにせよ)全体として使うのが楽しい空間になっています。

現在の建築界の一派閥を形成してるデコンストラクティビズムですが、今回香港で見学した二つのケースでは、建築のボリュームがオーバースケールしていない、身体感覚的にそれほど無理の無いサイズで納まっている事と、大学の付属施設の建築であるという敷地与件的に恵まれた環境にある事、モニュメンタルな建築計画を要請した大学側の意図が明解な(国立競技場のようなヒューマンスケールを超えた感覚にならない)事もあって、個人的にはこれこれでありかなと。要請する側のリクエストにも拠りますが、デコンストラクティビズムは周辺環境にゆとりのある、低密度の環境下でないと周辺生活者の理解を得るのが難しいのかもしれませんね。。

 

 

Macau & HongKong 2014 Reported by Futoshi Hirasawa

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Hong Kong 2014 Vol.2|尖沙咀 (Tsim Sha Tsui)〜油麻地 (Yau Ma Tei)〜Peninsula HK


初日の夜は、ベースホテルである九龍香格里拉酒店(Shangri-La Hotel Kowloon)近くの尖沙咀から繁華街の油麻地&旺角エリアを経由してペニンシュラ(Peninsula HK)を散策しました。香港のダウンタウンにして昔からある繁華街「油麻地」「旺角」。The香港を味わうのであれば避けて通れないエリアですが、丁度デモの真っ最中であり、物々しい雰囲気。そんな中でも、市井の人たちは冷静に営みを続けていて、物騒な雰囲気ではありませんでした。香港と言えば、無秩序に乱立する看板・・のイメージが強いのですが、僕が初めて香港を訪れた20年前から比べると、ネイザンストリートの看板は寂しくなる一方で、油麻地&旺角エリアは派手になっているような印象を受けます。 香港に限らず、台北やシンガポールでも外食の中心は屋台や露天商。あの独特な香り(行った事のある人ならわかりますよね。笑)にちょっと滅入る時もありますが、たくましさも感じ、生命力の強さを感じます。生きる基本は食べる事ですしね。僕は胃腸が弱いので香港や台北の屋台で食事をした事が無いのですが、香港の場合、ワーカーホリックが多い事もあって飲食店の営業時間が東京並みに遅い時間まで開いています。これは旅行者にとって有り難い限りで、東京と同じような感覚で飲食が楽しめます。

油麻地&旺角エリアを2時間散策しながら食事を済ませ、ホテルに戻る途中でお酒が呑みたくなり、ペニンシュラ香港へ向かいました。時期的に丁度クリスマスと言う事もあり、イルミネーションでより華やかになったファサードがお出迎えしてくれました。気温24度の香港で、クリスマスイルミネーションは、クリスマス=寒い冬のイメージが強い僕らにとってはとても新鮮。個人的にペニンシュラは5回行っているのですがこの時期に来るのは初めてと言う事もあって、しばし見入ってしまいました。

その後は中を見学しながら、休憩がてらBarへ。ちょうどジン&トニックのスペシャルメニューを薦められたので、メンバー全員で違うものをオーダーしました。女性のバーテンダーがワゴンサービスのような感じでやってくるのですが、あつらえたワゴンにはBarセットが綺麗に並べられていて、見事な所作でステアしてくれます。このジントニックがとても美味しくて、「上海の時のシャブシャブ(ジンが薄い)ジントニックとはえらく違うな」と衛(小畠)と話をしていました。笑 もとい、インテリアの設え(&歩き回った疲れ)と相まってかなり酔ってしまったのですが、空間の設えと所作が一体になると、心地よくなる。何でもそうですが、こういう経験は体感しないとわからないですね。。

 

 

Macau & HongKong 2014 Reported by Futoshi Hirasawa

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Hong Kong 2014 Vol.1| 九龍香格里拉酒店(Shangri-La Hotel Kowloon)

2014年の定例研修先は、マカオ&香港。例年に引き続き、海外の都市に赴き”感じ取ってくる”事と共有知を高める為におこなっている、Designcafeの研修旅行。それは写真やインターネットの情報で解ったつもりでも、スケール感やボリューム感、空気感、香りなど、五感を働かせて体感しないと理解出来ない事が事が多いからです。 今回の香港は、個人的には通算8回目、今年2度目の訪問だったのですが、それなりに海外旅行しているはずのうちのメンバーが、僕以外、香港&マカオに行った事が無い事が発覚して(笑)今年の研修旅行先と相成りました。

香港とマカオ、この二つの都市は租借地としての歴史を持っていますが、建築家の競演のような状態になっているスカイスクレイパーとハイエンドで高密度な商業施設&文化施設が林立し洗練された世界都市を目指している香港。そして世界遺産とカジノといった一見合いまみれない都市資産をリゾートと観光で繋げようとしているマカオ。この旧宗主国が異なる二つの都市には、人と環境の繋がりの視点で観ると高密度故にユニークで、昨年行ったシンガポールとはまた違った人の営みと環境感が見てとれます。

一応研修旅行なので(笑)、事前にプログラムを組むのですが、香港サイドでは市井の暮らしぶりや様子(尖沙咀〜油麻地、旺角)を感じながら、高密度環境下での新旧建築&空間見学(ダニエル・リベスキンド設計の香港城市大学メディアセンターザハ・ハディット設計の香港イノベーションタワーのデコンストラクティビズム二連発、ポール・ルドルフ設計のリッポセンター、ジョン・ジャーニー設計のランガムプレイス、ノーマン・フォスター設計の香港上海銀行本店ビル、孫文の通った中央書院をリノベーションした複合施設PMQや欧中が入り混ざったSOHOエリアの散策、マカオサイドでは世界遺産巡り(セントポール天主堂のファサードからナーチャ廟、メナド広場)など観たい場所が目白押しで、これらの見学や体感から得た情報を”引き出し”として、今後の仕事に役立てられればと。

今回のベースとなるホテルは、九龍(Kowloon)にある定番老舗ホテル “カオルーン・シャングリラ(九龍香格里拉酒店)”にしました。このホテルは尖沙咀の東側にあり、駅から地下道でアクセス出来るだけでなく、今回訪問するエリアの中心にあるので、タクシーで廻っても近距離で行けるロケーションにあります。地元資本のホテルですが、2010年に改装しており素晴らしい設え。王道系のホテルで、豪華絢爛でジム&プールも自由に使えます(←個人的にこれ結構重要)。空間としては見所満載と言う感じではないのですが、この価格感を感じ取る事とバジェットラインのホテルではないので、そのホスピタリティに接してみる事も大切な要素でした。細かい配慮が至る所に見られ、意識しないと気がつかない事も多いのです。あと、このホテルの素晴らしい所はコンシェルジュ。今回はデモが真っ盛りだったということもあり、行き先のアドバイスやルートを確認してもらったりとかなり安心して相談できました。

 単純に部屋がきれいで清潔だけであれば他を探す事も出来ますが、やはり価格なりのサービスを経験するとなるとこのクラスのホテルを選ばざるを得ないし、なぜ日本のアクティブシニアに圧倒的な支持を受けているのか?理由が解ったような気がします。あと朝食(香港のホテルの食事は全てオプション)のクオリティーも素晴らしかったのですが、これは後ほどレポートします。お楽しみに。。

Photo: Futoshi HIrasawa / Rie Sakuma

 

 

Macau & HongKong 2014 Reported by Futoshi Hirasawa

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