世界遺産、ポルト歴史地区の街並み(Historic Centre of Oporto)
ポルトガル3日目は、あいにくの雨でしたがホテルからサンベント駅に向かう道中の歴史地区の散策からスタートしました。世界遺産に指定されているポルト歴史地区(聖グレゴリウス聖堂、大聖堂、ポルサ宮、聖フランシスコ聖堂などを含む旧市街地)とHistoric Centre of Oporto, Luiz I Bridge and Monastery of Serra do Pilarは英文の正式名称の通り、橋、セラ・ド・ピラール修道院を含むエリアを指します。
雨でしたが、このエリア全体が世界遺産に指定されていることもあり、建物は古くアッシュな雰囲気で、快晴の時の風景とはまた異なった街の表情が見れます。街全体はゴシック様式で建てられた建築が後世になってバロック様式にコンバージョンされていたり、ロマネスクの作法も垣間見れて、ポルトがたどった歴史が垣間見れます。
僕が愛用しているカメラ(FUJIFILM X-Pro1とX-E3)でXシリーズの宣材写真でポルトの風景が使われていたこともあり、このカメラを選んだのですが(笑)そのコントラストは、この写真でも伝わるかなと。
メトロ駅、カーサ・ダ・ムジカ。ソウト デ モウラ 設計。
メトロ、カーサ・デ・ムジカ駅(Casa de Musica Station )は、ポルト出身のプリツカー賞受賞者、ソウト・デ・モウラの設計によります。アルヴァロ・シザの一番弟子でもあるのですが、作風に関してはモダニズムのシザに対して、ソウト・デ・モウラはモダニズムの基本路線を守りつつ多様性があります。ちなみにポルト・メトロの新駅のいくつかをソウト・デ・モウラが手がけており、カーサ・デ・ムジカ駅もその一つ。
この駅の場合、レム・コールハース設計のCasa de Musicaの最寄駅と長距離バスのターミナル機能も兼ね備えていて、一つの建物に二つの機能があります。大きな円のトップライトが印象的でシンプルな大屋根のモダンな建築です。
設計:ソウト・デ・モウラ
29, Av. da França 256, 4050-256 Porto, ポルトガル
www.metrodoporto.pt
+351 914 667 072
Casa de Musica(カーサ デ ムジカ)レム・コールハース 設計
Casa da Musica (カーサ ダ ムジカ)は、ポルトがEU文化首都(2001年)に定められたことを記念して建設された、ポルトガル初のスタジオや研修施設を兼ね備えた総合音楽施設です。設計は、国際指名コンペを勝ち得たレム・コールハース+OMA。この時の審査員に地元出身のアルヴァロ・シザが務めています。完成当初(2005年)から多くの建築メディアに取り上げられた有名な建築であり、秀逸なアイデアが散りばめらています。
外観はコンクリート打ち放しの多面体で、どのビューから見ても同じ形状が現れません。日本の建築で多い、コンクリートの精密感のようなものは皆無で割と大雑把な仕上げ。この辺は、ザハ設計の香港のジョッキーズクラブインベストタワーのエントランスと同じ印象。同時に建築は何十年使っていく都市の資産ですから、経年後の見え方や街との共生を果たしていくかという命題もあります。そういう意味で、このCasa de Musicaは経年変化も悪くなく、施設的にも上手く機能していて、違和感がありません。建築は新築よりも経年後の方が本質が見えます。
1Fのカフェで休憩してから上層階に上がって見学したのですが、野心的なチャレンジも多く、この頃のコールハースの勢いのようなものを感じます。コールハースも凄いですけどこの施工に関わった施工関係者も大きな情熱を持って取り組んだ感じが伝わってきます。
建築のボリュームに呼応する空間の設えは、とてもダイナミックで野心的な造り。CADの断面ビューポートを駆使しないとデザインできないような複雑なプランニングを試みていて、アグレッシブなチャレンジはディティールを見れば一目瞭然です。無機質な素材を多用し、既視感を打ち消す努力が垣間見れる建築を審査員のアルヴァロ・シザがどのように評価したのか審査員評を知りたくなりました。
Casa da Musica カーサ・ダ・ムジカ
設計:レム・コールハース
Av. da Boavista 604-610, 4149-071 Porto, ポルトガル
www.casadamusica.com
+351 22 012 0220
ポルト大学建築学部 アルヴァロ・シザ
ポルト大学建築学部。ポルトガル最大の大学であり、この大学のOBで教授のアルヴァロ・シザが手がけています。今回の旅で、ポルトガルで二つ目のアルヴァロ・シザ設計の建築物です。シザが標榜する「その土地にないもの、足りないものを建築で補う」建築で、場所も決して便利ではないポルトの郊外にこの施設を建てる上で、起伏に富んだ地形をうまく利用しながら建築と地形が溶け込み、建物はシークエンスで連なる集合体ようなプランニングを試みています。土地の不合理感を建築で解消しているわけです。事前申し込みができなかったので外観のみですが、実直でシザらしい建築群です。
ポルト大学建築学部
Via Panorâmica Edgar Cardoso 215, 4150-564 Porto, ポルトガル
www.fa.up.pt
+351 22 605 7100
Lisboa / Porto / Madrid 2018 Reported by Futoshi Hirasawa
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