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Designcafe™ の主宰者、平澤太のブログです。デザイン考、ライフワーク、インサイト、旅行などを不定期に綴っています。

Barcelona España 2015 Vol.03|バルセロナ現代美術館〜サンタ・カタリーナ市場

バルセロナ現代美術館(MACBA)

バルセロナ二日目。バルセロナ現代美術館から徒歩でサンタカタリーナ市場まで。

二日目は、バルセロナ現代美術館からスタート。グエル邸、エル・バリ・ゴシック(ゴシック建築の街並)、サンタ・エウラリア大聖堂、サンタ・カタリーナ市場、カタルーニャ音楽堂などを中心に散策しました。今回のエントリーでは、その前半。バルセロナ現代美術館からサンタ・カタリーナ市場までの事を中心に書きます。

MACBA バルセロナ現代美術館

バルセロナ現代美術館(MACBA)ファサード面。


バルセロナ現代美術館(MACBA)ファサード面。

リチャード・マイヤーが設計、1995年に完成したバルセロナ近代美術館。歴史的な風致地区ラバルにあるモダンな美術館ですが、目の前の広場は冬期スケートリンクになるなど、路地が狭く薄暗いラバル地区に広いスペースと一筋の光をもたらせたともいえます。マイヤーがリスペクトする「白」を基調としたコンポジットなファサードに、恣意的な曲線が織りなし、バルセロナの空とのコントラストが絶妙にとけ込んでいます。

MACBA バルセロナ現代美術館。近影


MACBA バルセロナ現代美術館。ファサード内階段のボリューム。

館内の展示は、常時展示と企画展示とが行われており、美術館のコレクションを展示する常展示は、5700点のコレクションから4~5ヶ月ごとに展示を変えています。残念ながらこの日は休館日。後日見学するとして、周辺の環境を見学しました。

MACBA バルセロナ現代美術館。キースへリングがエイズ撲滅活動のために描いた壁画が再現

美術館の外には、スペインの有名な現代彫刻家 Jorge Oteiza の作品「波」が常設。近くには1989年に、キースへリングが当時のラバルの公園の壁にエイズ撲滅活動のために描いた壁画が、この美術館の広場に再現されています。

MACBA バルセロナ現代美術館。目の前の広場の西側


MACBA バルセロナ現代美術館。デルサンジェルス広場の対面にある建物。


MACBA バルセロナ現代美術館。デルサンジェルス広場の対面にあるCafe

さらには、美術館の向かいにある中世からの教会とその建物が、バルセロナ現代美術館の一部として、大きな作品の展示や、一部の作品の保管などに利用されています。美術館としての役割は、単に美術収蔵品の展示、啓蒙、管理に留まらず周辺環境との調和、アートに対する積極的な発信がありますが、このバルセロナ現代美術館は、非常によく纏まっていて、裏手に当たるバルセロナ現代文化センター(Centre De Cultura Contemporanea De Barcelona)との環境面の連携は見事でした。

MACBA (Museo de Arte Contemporáneo de Barcelona)
バルセロナ現代美術館
設計:リチャード・マイヤー
ADD : Plaça dels Àngels, 1 08001 Barcelona
Tel.: + 34 93 412 08 10
Fax.: + 34 93 412 46 02
URL: http://www.macba.cat/
月曜閉館 

CCCB バルセロナ現代文化センター 

バルセロナ現代文化センター(Centre De Cultura Contemporanea De Barcelona)ヘムンタグレ通りからエントランス&コリドーを眺める


バルセロナ現代文化センター(Centre De Cultura Contemporanea De Barcelona)ヘムンタグレ通りからのビュー


バルセロナ現代文化センター(Centre De Cultura Contemporanea De Barcelona)。敷地はこじんまりしている

バルセロナ現代文化センター(Centre De Cultura Contemporanea De Barcelona)は、1994年2月にオープン。建築、デザインなどバルセロナの20世紀の現代アートを代表する作品が常に展示されている地元の人たちの間で人気のアートスポットです。バルセロナ現代美術館と同じく月曜閉館(2015年8月現在)なので中は見学出来ませんでした。

バルセロナ現代文化センター(Centre De Cultura Contemporanea De Barcelona)

CCCBは、約15,000平米の延べ床面積があり、1802年に創設されたバルセロナ慈善団体(Casa de la Caritat de Barcelona)の建物をリノベーションしています。設計したのは、エリオ・ピニョン&アルベルト・ビアプラーナ。U字型の配置、北側の地上30メートルの全面ガラス張りの建物でへムンタレグレ通りからは、中に踏み込まないと中が窺い知れない造りになっています。

CCCB バルセロナ現代文化センタ
設計:エリオ・ピニョン&アルベルト・ビアプラーナ
ADD: Montalegre 5 Plaza Catalunya (L1, L3)
TEL: 93-306-4100
URL:www.cccb.org
営業時間:11時から20時まで 
月曜閉館
入場料:大人4.4ユーロ 16歳以下は無料

ランブラス通り(La Rambla)・サン・ジュセップ市場 (Mercado de Sant Josep)

ランブラス通り(La Rambla)に合流する車道


ランブラス通り(La Rambla)に合流する路地で見つけた自転車屋


ランブラス通り(La Rambla)に入る前に見つけたCafe


ランブラス通り(La Rambla)


ランブラス通り(La Rambla)


ランブラス通り(La Rambla)


ランブラス通り(La Rambla)


ランブラス通り(La Rambla)


ランブラス通り(La Rambla)の沿道にあるサン・ジュゼップ市場(Mercat de Sant Josep)

ランブラス通り(La Rambla)はバルセロナを代表するメインストリートで、旧市街地に位置し、市の中心部から臨海地区まで続く長さ1.2kmの並木道です。沿道には、サン・ジュゼップ市場(Mercat de Sant Josep)や少し入った所にグエル邸があります。 このランブラス通りは、バルセロナきっての繁華街であるのと同時にスリの名所(前回、個人で行った時はポケットに入れていたダミー財布が見事にすられました。苦笑)でもあるのですが、今回はスリ対策を施していったので幸い被害には遭わずにすみました。最近はiPhoneスリなる、スマートフォンを狙ったスリがヨーロッパの各地で多発しているらしいので、行かれる方は対策が必要ですよ。

Mercado de Sant Josep (サン・ジュセップ市場(ボケリア))
ADD:La Rambla 85 -89
TEL:(34) 93 318 2017
開店時間:8:00~20:30
定休日:日曜

ゴシック地区 Gothic Quarter (Barri Gotic) 

ゴシック地区のサン・ジャウマ広場 (Plaça de Sant Jaume)


王の広場(Plaça del Rei)

 ゴシック地区は、ランブラス通りの東側に位置する、ゴシック建築の街並が林立する旧市街エリアにあります。ゴシック様式で建てられた建築物が中心なのでこの名がついている訳ですが、中世からの建物も多く、サグラダ・ファミリアやカタルーニャ音楽堂などの所謂モデルニズモ様式よりも前の時代の様式感ですから、バルセロナの人からするとちょっと古くさい感じに映るのかもしれません。

ゴシック地区のアパートメント


ゴシック地区 (Barri Gotic) のフェラン通り

 路地そのものはとても狭く、迷路のように入り組んでいるので、油断すると迷います(笑)。歴史がある街だけに、スペイン内戦時の傷跡も残しており、時代性を感じる事ができます。また狭い路地故に薄暗く、夏の日差しが強く日中暑いバルセロナでは、日陰の中で散策出来るのはここぐらいではないでしょうか。

バルセロナ市庁舎(Casa de la Ciutat de Barcelona)

バルセロナ市庁舎(Casa de la Ciutat de Barcelona)


ゴシック地区 (Barri Gotic) の路地


ゴシック地区 (Barri Gotic) の路地


ゴシック地区 (Barri Gotic) の路地


ゴシック地区 (Barri Gotic) の路地


ゴシック地区 (Barri Gotic) の路地


ゴシック地区 (Barri Gotic) の路地

サンタ・エウラリア大聖堂  La Catedral de la Santa Creu i Santa Eulàlia 

サンタ・エウラリア大聖堂

サンタ・エウラリア大聖堂 (La Catedral de la Santa Creu i Santa Eulàlia)は、ゴシック地区の中心にあるカトリック教会の教会で、13世紀から15世紀にかけゴシック様式で建てられています。バルセロナ市民からは単にラ・セウ(La Seu)と呼ばれており、バルセロナ大司教座が置かれています。入場は無料(2015年8月現在)ですが、帽子は被らず手で持つ、肌の露出が多い洋服を着ている場合はストールなどで肌を隠すなど、一定のドレスコードがあります。

サンタ・エウラリア大聖堂


サンタ・エウラリア大聖堂のコリドー


コリドーに配置された噴水もディティール

サンタ・エウラリア門から入場して、中庭のコリドーを眺めながら本堂内部へ進みます。中には13歳で殉教した聖エウラリアにちなみ13羽の白いガンが飼われており、ユニークです。コリドーに配置された噴水もディティールが素晴らしく、思わず見入ってしまいました。

サンタ・エウラリア大聖堂の本堂内部


サンタ・エウラリア大聖堂の本堂内部


サンタ・エウラリア大聖堂の本堂内部


サンタ・エウラリア大聖堂の地下納骨堂。聖エウラリアの遺骸は、当時のバルセロナ司教フロドイによってここに収められている。


サンタ・エウラリア大聖堂の本堂内部。プリンシパル門側からのビュー。


本堂内部

本堂内部は、他のゴシック様式で建てられた教会建築と違わず壮厳です。現在はLEDでライトアップされているので、見ての通りですが創建当初は薄暗く(ロウソクなどあったにせよ、窓のある最上部を除けば)ここまで見えなかったのでしょうね。神聖な雰囲気と外の喧噪。このギャップも良いのですが、バルセロナの代名詞であるモデルニズモ建築と比較する上でも、見ておきたい聖堂です。

サンタ・エウラリア大聖堂

ADD:Pla del la Seu, 08002 Barcelona
開館時間:8:00~19:30
入館料:平日 8:00~12:45、17:15~19:30:無料/13:00~17:00:寄付制
日曜祝日 8:00~13:45、17:15~19:30:無料/14:00~17:00:寄付制
休館日:無休
URL:http://www.catedralbcn.org/index.php?lang=en(英語版)

 サンタ・カタリーナ市場 Mercado Santa Catarina

サンタ・カタリーナ市場 Mercado Santa Catarina ファサード面


サンタ・カタリーナ市場 Mercado Santa Catarina ファサード。バル&レストラン入口。

旧市街にあるサンタ・カタリーナ市場は、個人的に二度目のバルセロナで特に見たかった建築の一つであり、「建築と食」をシームレスに具現化している数少ない施設です。a+uのスペイン特集でも表紙を飾った、リノベーション後の恣意的で情熱的な屋根形状のおかげで一際目立っています(笑)。 設計を担当したのはエンリック・ミラーレス、ベネデッタ・タリアブーエ共同主宰のバルセロナの設計事務所EMBT

改修前の旧市場は、かつてのサンタ・カタリーナ修道院の跡地に1848年にオープンし当時バルセロナで唯一の屋根付きの市場でした。この改修(1997-2005年)ではトレードマークの「新しい屋根」が架けられ、旧市場の名残は屋根から下のファサード面や入り口にのみ見ることができます。この改修そのものはバルセロナ市が主導し、新しいランドマークとしての期待も込めた事から、このような挑戦的なリノベーションになったようです。実際、大抵のガイドブックには掲載されているサン・ジュセップ市場(前出)や他の市場だけでは、観光客を賄いきれないと思いますし、保守的なゴシック地区にこのような市場を蘇生させる事には意味がありますからね。

サンタ・カタリーナ市場 Mercado Santa Catarina ファサード。バル&レストラン入口。


サンタ・カタリーナ市場 Mercado Santa Catarina。バル&レストランそ側面入口。

この特徴的な屋根は、主軸を鉄骨、補助フレーム以降は木製(恐らくパイン材)で、外部屋根に六角形のテラコッタタイル敷き詰める方法で施工されており、日本では雨仕舞いが怖くてなかなか出来ない事にチャレンジしています。屋上面のユニークなタイルパターンは上から見ないと見えませんが、こんな感じです。ちなみにこのパターンは、野菜やフルーツをイメージしています。設計開始が1997年、竣工が2005年でその期間は約8年!。その間、市場は閉鎖される訳ですから関係者は相当な忍耐が必要ですし。エンジニアリング的にもかなり野心的ですから、これだけ時間もかかったのでしょう。

サンタ・カタリーナ市場 Mercado Santa Catarina。内部天井。


サンタ・カタリーナ市場 Mercado Santa Catarina。裏口エントランス。


サンタ・カタリーナ市場 Mercado Santa Catarina。裏口エントランス。


サンタ・カタリーナ市場 Mercado Santa Catarina。裏口エントランス。


サンタ・カタリーナ市場 Mercado Santa Catarina。裏口エントランス。


サンタ・カタリーナ市場 Mercado Santa Catarina。裏口エントランス。

派手な形状ですが、ストラクチャブルな内観は新設した鉄骨をベースにしながらも既存のコンクリートフレームも利用しており、無理が無く破綻していません。スペインのローカル・アーキテクト(地場で活躍している建築家)の底力を見せつけた作品とも言えます。実際彼らはこの作品で、世界中からオファーが殺到する事になった訳ですからね。ちなみに上海万博のスペイン館は彼らの手に寄ります。比較すると解りますが、彼らのお作法(コンテキスト)を、このサンタ・カタリーナ市場とスペイン館で感じるはずです。

サンタ・カタリーナ市場 Mercado Santa Catarina。併設のレストラン。


サンタ・カタリーナ市場 Mercado Santa Catarina。併設のレストラン。13:00からオープン。


サンタ・カタリーナ市場 Mercado Santa Catarina。併設のバル。こちらはAMから営業している模様。

 丁度この市場に着いたのが昼食どきだったので、市場に併設されているバルに直行し、ビールとタパスを堪能しました(この時の食に関しては後で詳しく)。このバルとレストランは市場直営で、市場の食材を料理して振る舞うコンセプト。古今東西どこでもそうですが、新鮮なものをそのまま食べたいのは変わらない訳です。この二つの店舗は隣り合わせに併設されていて、レストランの方は午後からの営業とのことでした。 インテリアに関しても、市場のストラクチャーがそのまま生かされていて、明るく開放的。華美な装飾は皆無ですが、市場のバル&レストランですし、好感が持てます。強いて難点を言うのであれば、この市場にはトイレがありません(泣)。近くの店のトイレを借りているそう(笑)

サンタ・カタリーナ市場(Mercado Santa Catarina)場内市場。屋台が軒を連ねています。


サンタ・カタリーナ市場(Mercado Santa Catarina)場内市場。屋台が軒を連ねています。


サンタ・カタリーナ市場(Mercado Santa Catarina)場内市場。屋台が軒を連ねています。


サンタ・カタリーナ市場(Mercado Santa Catarina)場内市場。屋台が軒を連ねています。

市場の中は、場内市場的な展開になっていて、構造的には大屋根とファサード壁面と屋台がセパレートになっています。全般的に価格も安く、プロシュートなどの試食なんかもできます。午後の早い時間だったので客足は多くありませんでしたが、屋台の見せ方には賑わい感やシズル感があり、思わず立ち寄ってしまいます。基本的には日本と一緒で、魚屋、肉屋、チーズ屋、果物屋、八百屋、オリーブ関連食品など専門化されているのでわかり易いです。

サンタ・カタリーナ市場(Mercado Santa Catarina)場内市場。屋台が軒を連ねています。


サンタ・カタリーナ市場(Mercado Santa Catarina)場内市場。屋台が軒を連ねています。


サンタ・カタリーナ市場(Mercado Santa Catarina)場内市場。屋台が軒を連ねています。


サンタ・カタリーナ市場(Mercado Santa Catarina)場内市場。屋台が軒を連ねています。

このサンタ・カタリーナ市場を設計したミラーレスは、この市場の完成を見る事無く、2000年に45歳という若さで他界しています。その意思を継いだパートナーのベネデッタ・タリアブーエ(彼女はプライベートでもパートナーで奥さん)とスタッフが彼の意思を継ぎ、2005年に完成させています。この市場は、彼の出世作の一つであり、今後の活躍が期待されていたスペイン建築界の一人でしたから関係者の悲しみは大きかった事でしょう。ガウディ然り、ピカソ然り。スペインのアーティストは、志半ばで逝去してしまう事が多いのは、彼らの情熱が大き過ぎるからなのでしょうかね。。

サンタ・カタリーナ市場 Mercat de Santa Caterina

設計:エンリック・ミラーレス(Enric Miralles)、ベネデッタ・タリアブーエ(EMBT
ADD : Av. Francesc Cambó, 16
TEL : 933 195 740
URL:http://www.mercatsantacaterina.net/

 

 

Barcelona 2015 Reported by Futoshi Hirasawa

過去のDesigncafeのデザイン旅行記はこちらのページでご覧ください。

Barcelona 2015 Vol.02|カイシャ・フォルム〜モンジュイック・タワー

カイシャ・フォルム・バルセロナ。エントランス部分。

カイシャ・フォルム・バルセロナ。ファサード面。

カイシャ・フォルム・バルセロナ。

El Pabellón de Barcelona(バルセロナ・パビリオン)

El Pabellón de Barcelona(バルセロナ・パビリオン)

El Pabellón de Barcelona(バルセロナ・パビリオン)

El Pabellón de Barcelona(バルセロナ・パビリオン)

到着初日

バルセロナ空港から、H10 Itacaに到着したのが14:00でしたので、少し休憩してから近所のモンジュイック地区を散策しにいきました。モンジュイックにある多くの施設は、1929 年の世界博覧会、さらには1992年のバルセロナ・オリンピックのために作られたもので、文化施設とスポーツ施設が林立する、バルセロナの歴史を語る上で重要なエリアです。

Caixa Forum(カイシャ・フォルム・バルセロナ)

カイシャ・フォルム・バルセロナ

カイシャ・フォルム・バルセロナ。ファサードからの近影。


カイシャ・フォルム・バルセロナ

カイシャ・フォルム・バルセロナ。ファサード面近影。


カイシャ・フォルム・バルセロナ。ファサード面近影。

カイシャ・フォルム・バルセロナ。ファサード面近影。

タクシーに乗って向かったのは、Caixa Forum(カイシャ・フォルム・バルセロナ)。スペインの銀行大手であるラ・カイシャ銀行が所有している複合アート施設です。バルセロナ・パビリオンやカタルーニャ美術館にほど近いこの建物は、モデルニズモの著名な建築家の一人プッチ・イ・カダファルクが設計した紡績工場「カサ・ラモナ」として1911年に建設されその後閉鎖。 その後長らく廃墟となっていましたが、2002年になって地元最大手銀行の「La Caixa」によって文化センターとして改築しました。

カイシャ・フォルム・バルセロナ

カイシャ・フォルム・バルセロナ。余りにスッキリしていて気づかないけどエレベーターです。


カイシャ・フォルム・バルセロナ。エントランス面近影。

カイシャ・フォルム・バルセロナ。エントランス面近影。

その際エントランス部分は、バルセロナ・オリンピックの屋内競技場パラウ・サン・ジョルディ(Palau Sant Jordi)を設計した日本の建築家、磯崎新が担当しています。 期間限定のイベント(僕らが訪問した時はアルヴァ・アールト Alvar Aaltoの企画展)や常設展示が並び、またモンジュイックエリアでは貴重なCafeが併設されている事もあって、複合的な文化施設として親しまれています。

カイシャ・フォルム・バルセロナ。エントランス面近影。

カイシャ・フォルム・バルセロナ。エントランス面近影。


カイシャ・フォルム・バルセロナ。エントランス面からファサードを見上げる。

カイシャ・フォルム・バルセロナ。エントランス面からファサードを見上げる。


カイシャ・フォルム・バルセロナ。エントランスホールの受付。

カイシャ・フォルム・バルセロナ。エントランスホールの受付。


カイシャ・フォルム・バルセロナ。エントランスホールの受付の対面にあるミュージアムショップ。

カイシャ・フォルム・バルセロナ。エントランスホールの受付の対面にあるミュージアムショップ。


カイシャ・フォルム・バルセロナ。2Fギャラリーエリア。

カイシャ・フォルム・バルセロナ。2Fギャラリーエリア。


カイシャ・フォルム・バルセロナ。2Fギャラリーエリアのパティオから見上げる。

カイシャ・フォルム・バルセロナ。2Fギャラリーエリアのパティオから見上げる。

磯崎新が設計したエントランス部分の大半は、地下にボリュームがあり、目透で貼られた大判のビアンコが、バルセロナの強い日差しに照り返され、バックにそびえるカダファルクの棟とのコントラスト、対比が誇張されています。地上からのアクセスはシンプルで規模も大きくないので、一見地味な感じに映る施設ですが、破綻が無く、またバルセロナの気候風土とマッチしていて非常に好感が持てます。それ故か現地の人には穴場的に利用する人が多い様ですね。笑

Caixa Forum (カイシャ・フォーラム、カイシャ・フォールム・バルセロナ)
ADD : Av. Marque’s de Comillas, 6-8 
Phone : 93 476 8600
※入場無料
※このエントリーの情報は2015.8.23時点の情報です。バルセロナの施設は頻繁に開業時間が変わるので詳しくはCaixa Forum Websiteで確認するのをおススメします。

El Pabellón de Barcelona(バルセロナ・パビリオン)

El Pabellón de Barcelona(バルセロナ・パビリオン)

El Pabellón de Barcelona(バルセロナ・パビリオン)


El Pabellón de Barcelona(バルセロナ・パビリオン)

El Pabellón de Barcelona(バルセロナ・パビリオン)

この建築は、余りにも有名すぎて説明不要かもしれませんが(笑)、ドイツ人建築家の巨匠ミース・ファン・デル・ローエが1929年にバルセロナで開催された万国博覧会の際に、ドイツ館として建築したモダニズム建築の傑作です。ちなみにこの建物自体は元々仮設建設され、博覧会終了後取り壊された初代の設計図と仕様書を元に復元した二代目で、1986年にこの地に建ちました。 ちなみにこのパビリオンの為に製作されたバルセロナ・チェアはスペイン国王夫妻をお迎えする為に製作されたものとして有名ですね。

El Pabellón de Barcelona(バルセロナ・パビリオン)。赤瑪瑙(オニキス)、バルセロナチェアと青瑪瑙の壁に囲われた中庭の池。

El Pabellón de Barcelona(バルセロナ・パビリオン)。赤瑪瑙(オニキス)、バルセロナチェアと青瑪瑙の壁に囲われた中庭の池。


El Pabellón de Barcelona(バルセロナ・パビリオン)。青瑪瑙の壁に囲われた中庭の池。

El Pabellón de Barcelona(バルセロナ・パビリオン)。青瑪瑙の壁に囲われた中庭の池。

赤瑪瑙(オニキス)と青瑪瑙(バンデッドアゲット)の壁に囲われた中庭の池。この色の対比、その中に鎮座する彫刻の存在感。ドアの無い硝子スクリーンが一つの結界になってこの空間の佇まいを際立たせています。この石も復元時に探し求めたものでしょうから、当時とニュアンスが異なるかもしれませんが、端正な規則性に対しての派手な表情の瑪瑙の壁。寸分違わない目地の納まりといい、その割り付けといい溜め息が出てきます。

El Pabellón de Barcelona(バルセロナ・パビリオン)。裏庭へ続く回廊。

El Pabellón de Barcelona(バルセロナ・パビリオン)。裏庭へ続く回廊。


El Pabellón de Barcelona(バルセロナ・パビリオン)。青瑪瑙の壁に囲われた中庭の池。

El Pabellón de Barcelona(バルセロナ・パビリオン)。青瑪瑙の壁に囲われた中庭の池。


El Pabellón de Barcelona(バルセロナ・パビリオン)。左側の柱は解りにくいですが十文字断面のクロームメッキされた鉄柱。瑪瑙の壁に比べて非常に華奢な造り。

El Pabellón de Barcelona(バルセロナ・パビリオン)。左側の柱は解りにくいですが十文字断面のクロームメッキされた鉄柱。瑪瑙の壁に比べて非常に華奢な造り。


El Pabellón de Barcelona(バルセロナ・パビリオン) 重厚なトラバーチンの壁。

El Pabellón de Barcelona(バルセロナ・パビリオン) 重厚なトラバーチンの壁。


El Pabellón de Barcelona(バルセロナ・パビリオン) 重厚なトラバーチンの壁。

El Pabellón de Barcelona(バルセロナ・パビリオン) 重厚なトラバーチンの壁。


El Pabellón de Barcelona(バルセロナ・パビリオン) シャープな庇、重厚なトラバーチンの壁と水盤を眺める。

El Pabellón de Barcelona(バルセロナ・パビリオン) シャープな庇、重厚なトラバーチンの壁と水盤を眺める。


El Pabellón de Barcelona(バルセロナ・パビリオン) 水盤からの全景。

El Pabellón de Barcelona(バルセロナ・パビリオン) 水盤からの全景。

約100年前、19世紀以前の建築様式を批判し、現実に合った建築をつくろうとする近代建築運動により生まれたモダニズム建築ですが、ガウディに代表されるモデルニスモ様式の対極であり、そのミニマムで薄く軽く、禁欲的な設えは当時これを見た人さぞかし度肝を抜かれたと思います。このモダニズム建築の傑作は、ガウディの死後3年足らずで完成している事を考えると、二つの様式は意識的にはラップしていますし、この未知の建築に対し、未来感みたいなものを醸成したに違いありません。

El Pabellón de Barcelona(バルセロナ・パビリオン)
ADD : Avenida Francesc Ferrer i Guàrdia, 7, 08038 Barcelona
Phone :  +34 934 23 40 16
※入場料 5ユーロ
※このエントリーの情報は2015.8.23時点の情報です。バルセロナの施設は頻繁に営業内容が変わるので詳しくはWebsiteで確認するのをおススメします。

Museu Nacional D’Art De Catalunya Mnac(カタルーニャ美術館)

1929年のバルセロナ万博の際に建てられ、開会式が行われた場所。


その後に美術館として使われ現在に至る。国立宮殿の前にあるのが、マジカ噴水。

MNACとも呼ばれるカタルーニャ美術館は、11世紀から13世紀初めにヨーロッパで栄えたロマネスク様式の作品のコレクションを主に収集している美術館。ロマネスク様式とは、簡単に言ってしまうとキリスト教の啓蒙と密接に関係しているアートや建築の様式です。カタルーニャと名付けられている通り、この地方に根付いたコレクションを集めており、ゴシック、ルネッサンス、バロック、モダンの各様式ごとに数々のコレクション、貨幣や当時のリーフレット、さらにはピカソやダリの絵画やガウディがデザインした家具まであります。

バルセロナにある美術館としては、最大級の規模を誇る。


Museu Nacional D’art de Catalunya(カタルーニャ美術館)のファサード面。

僕らが到着した初日は月曜日。あいにく休館日でしたが、折角なのでということで上まで上がってみました。そこで見える風景がこんな感じで素晴らしいのです。

美術館のテラスから、スペイン広場方面を眺める。


美術館のテラスから、スペイン広場方面を眺める。


美術館のテラスにはカフェテラスも併設。

この建物は、モンジュイック国立宮殿という1929年の万博の際に建設されたもので、非常に重厚なネオバロック建築。このモンジュイック・エリアの殆どの建造物は、1929年の万博に創られたものであり、そのヘリテージを引き継いで行われた1992年のオリンピックとバルセロナの歴史を語る上でのターニングポイントを背負っているエリアとも言えます。観光客や地元の人でにぎわっていますが、夏と言えでも夕方以降は比較的涼しいバルセロナなので、夕方に行くのがお薦めです。

Museu Nacional D’art de Catalunya(カタルーニャ美術館)
ADD:Palau Nacional Parc de Monjuic
TEL:(34) 93 622 0360
閉館日:月曜定休(時期ごとにコレクション保護の定休があり要確認)
開館時間:火曜~日曜10:00~20:00
入館料:12ユーロ
※このエントリーの情報は2015.8.23時点の情報です。バルセロナの施設は頻繁に営業内容が変わるので詳しくはMuseu Nacional D’art de Catalunyaの公式サイトで確認するのをおススメします。

Torre de Comunicacions de Montjuïc(モンジュイック・タワー)

スペインの建築家・構造家のサンティアゴ・カラトラバ(Santiago Calatrava 1951年7月28日-)が設計。

 バルセロナオリンピックに合わせて建造されたモンジュイック・タワーは、スペインの建築・構造家のサンティアゴ・カラトラバにより設計されたものです。構造家らしく有機的なフォルムを構造計算から導き出して創り上げる手法で有名であり、アーキテクト・エンジニアの大家です。ここバルセロナではバッグ・ダ・ローダー橋を手がけている事でも知られています。

オリンピック開催に合わせて建てられたスペインの通信会社テレフォニカの電波塔。


タワーの傾斜は夏至の太陽角度に合わせた日時計としての役割も

この塔は、スペインの通信会社テレフォニカの電波塔であり、タワーの傾斜は夏至の太陽角度に合わせた日時計としての役割も担っています。構造計算を駆使した3点支点のベースなど、カラトラバ節炸裂と言った感じのタワーです。

Torre de Comunicacions de Montjuïc(モンジュイック・タワー)

ADD : Avinguda de Estadi 48, 08038 Barcelona
入場無料
http://www.calatrava.com/  

初日終えて

そんな感じの初日ですが、このモンジュイック・タワーを見学した後オリンピックスタジアムを覗き(笑)時計を見たら19時近く。行きのドバイのトランジットが4時間あった事もあり、そのまま食事(食については後で纏めてご紹介します)してホテルに戻りました。比較的緻密に旅程を作ったのですが、初日は特にキツかったです。まあ、テンションも高かったですし、これもよしかな。と。ちなみにバルセロナで4人で移動する場合(徒歩での移動が厳しい距離)は、タクシーがお薦め。初乗りが2ユーロ2セント(2015年8月時)なので、市内であれば大抵10ユーロ以内で移動出来ます。東京に比べればだいぶ安いですし、疲れも軽減出来ます。駅から近いサグラダ・ファミリアなどは地下鉄での移動もいいかもしれません。そういう意味でもホテルの場所がとても重要ですね。 

 

 

Barcelona 2015 Reported by Futoshi Hirasawa

過去のDesigncafeのデザイン旅行記はこちらのページでご覧ください。

Barcelona España 2015 Vol.01|Hotel H10 Itaca(H10イタカ)

2015年の定例研修先は、スペイン・バルセロナ。

例年に引き続き、海外の都市に赴き”インプットしながら感じ取ってくる”事と”共有知を高める”為におこなっているDesigncafeの研修旅行。それは写真やインターネットの情報で解ったつもりでも、スケール感やボリューム感、空気感、香りなど、五感を働かせて体感しないと理解出来ない事が事が多いからです。今回のテーマは「環境、建築、空間、食。カタルーニャ&バルセロナ豊かな気候がもたらす恵みを五感で感じてくる事」。 今回のバルセロナは、個人的には12年ぶりの通算2回目だったのですが、これまでのDesigncafeの研修旅行はアジア圏でしたので、そろそろヨーロッパにも出かけようとなり(笑)今年の研修旅行先と相成りました。とは言っても、渡航時間や時差の関係もあり「プロジェクトに穴を空ける」という意味でクライアント&取引先の理解が無いと難しい訳でして(笑)、ご理解頂いたクライアント&取引先の皆様に感謝を申し上げる次第です。お礼にはならないかも知れませんがが研修旅行らしく(笑)これから12回に渡って、レポートを綴って参ります。 ご笑覧頂ければと。

hotel H10 Itaca

H10 Itaca。ホテルエントランス。


H10 Itaca。ホテルエントランス。

今回のベースとなるホテルは、サンツ駅(Sants)に程近いH10 Itacaにしました。H10というのは地元ホテルチェーンの記号で、サンツ駅のすぐ近く、アイシャンプル地区の中心部にありランク的にはバジェットライン(通常のツアーで普通に組み込まれる、比較的低廉な価格)のホテルです。H10というホテルグループのツーリズム向けのホテルで、日本で言えばさしづめ「設えの良いAPAホテル」といったところでしょうか。笑。値段的にはAPAホテルよりもだいぶ上ですが、バルセロナのバジェットラインでは比較的低廉なランクのホテルです。

H10 Itaca。ラウンジのリトリーフとブックシェルフ。


H10 Itaca。ラウンジに面しているバーカウンター。


ラウンジに常設されているリーフレット什器。パーテーションの役割も担っている。

研修旅行なので当然ながら予算があり(笑)、立地と価格と設えのバランスで決めたのですが、到着初日からモンジュイック(Montjuïc)を巡ったり、四日日目にはモンセラット修道院(Montserrat Monastery)を巡る予定を入れていたのでその中間に位置するアイシャンプル地区にあるホテルの方が便利という判断もありました。写真を見ての通り、このitacaは「ライブラリ」がテーマで、バルセロナの観光に必要な情報が本、リーフレット、Wifiから簡単に得られるように配慮されています。

H10 Itaca。ホテル目の前のロマ(Roma)通り。

このクラスのホテルだと他の都市では余り期待出来ない事が多く、トリップアドバイザーでホテルだけセパレートして予約するのがオチなのですが、バルセロナの場合、世界的に有名な観光地ということもあってか、バジェットラインのホテル・クオリティーが高く、清潔で、大抵は設えも良く快適に過ごせます。一番利用者の層が厚くニーズがある訳ですから、オリンピックを控えた東京もこのラインのホテルのクオリティーを上げる事がとても重要でしょう。また、バルセロナに限らずヨーロッパの場合、景観規制が厳しい事もありますが、大抵のホテルはリノベーションとコンバージョンで賄われており、建築にかかるコストが利用者に向かわないように配慮されていて、その分設えやデザインで解決する姿勢が見て取れます。

H10 Itaca。ホテルラウンジ全景。

客室はそれ程広くありませんが、トランク2つは楽に広げられる落ち着いた雰囲気の部屋でしたが、客室側は(築年数ゆえか)傷みがそれなりにあり、メンテナンスがもうすこし行き届くと良いのかなと思いました。とは言ってもバスルームも清潔感があり、お湯の出もよく快適でした。インターネットはWiFiが無料で使用でき、とても快適です。普通の観光であれば十分です。

H10 Itaca。ダイニングラウンジ。手前の可変パーテーションで会議室にも使えるようになっている。


H10 Itaca。ビュッフェの食事。

H10 itacaでは、通常の申し込みだと朝食のみセットされます。朝の遅いバルセロナですが、大抵のホテルは7:00から朝食が取れるようになっていて、見ての通りのビュッフェスタイルです。スパニッシュ中心ですが、種類も豊富にあり想像していたよりは良かったです。朝はちゃんと食べないと力も出ないですしね。

H10 Itaca。プールサイド。


H10 Itaca。プールの夜景。


H10 Itaca。プールの夜景。


H10 Itaca。プールの夜景。

H10 Itaca。バーメニュー。ワインリスト(左)カクテル&アラカルトメニュー(右)

バルセロナの大抵のホテルにはプールが完備されていて、気軽に利用する事ができます。なので水着は必須。(僕は忘れてしまったけど。笑)プールサイドもWiFiがきっちり飛んでいるので、夜半はここにきて日本からのメールの返信などを返していたりしました。写真のモヒートも美味しかった。夏のバルセロナは日が沈むのが遅いですし、その分22時くらいまではかなり賑やかな感じですが、外食して戻って来てもゆっくりできる空間があるのはやっぱり良いです。東京も含めアジア圏のホテルだとこういう隙間の部分の空間が余りなかったりするので、今後増えてくる事を期待したいです。 

H10 Hotels “Itaca” 
Av. Roma, 22 E-08015-Eixample-Sants Station-Barcelona
T (34) 93 226 55 94
F (34) 93 226 43 15
h10.itaca@h10hotels.com

 

 

Barcelona 2015 Reported by Futoshi Hirasawa

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